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#1 Student's VOICE! 【文学部】

はじめに

 その学部で実際に学べることはどんなことだろうか。私は高校時代、このような疑問を抱いていました。大学のパンフレットを見ても小難しいことばかり書いてあり、結局何が言いたいのかいまいち分からずじまい。また、大学のパンフレットの「学生の声」的なコーナーを見ても皆さんすごいことばかり話していて、「みんながみんなこんなことしているのか?」と正直胡散臭く感じていました。さらには、オープンキャンパスで模擬授業を受けても所詮それ用の授業一コマではやはり何を学ぶのかは腑に落ちませんでした。
 そこで、”Student’s VOICE!”と題し、普通の現大学生から話を聞き、大学のパンフレットのような忖度なしに学部紹介をする企画をすれば少しは世の中の学部ミスマッチを減らせるのではないかと考えました。
 もちろん、学生個々人の意見ではあり、それすなわち主観の塊です。しかしながら、学生がリアルに感じたことが分からずしてその学部での学生生活をイメージすることは難しいと思います。ですから、あくまで個人の感想と理解しつつ、他の情報とも比較しながら参考にしていただければと思います。
 そして最後に、この企画は私一人では絶対に成り立ちません。大切なお時間をいただき協力してくださる方々にこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。

  

明治大学文学部M君。
サークル活動やファストフード店でのバイトに勤しみながらも大学の授業もまじめにこなしているM君。もともと文学に興味があったようで、最近は古本屋で本探しをしている。

忙しい中ありがとう。今日はよろしくね。(聞き手 私、以下同)
うん、こちらこそよろしく。(M君、以下同)
まず、Mは具体的に何を専攻しているんだっけ?
正確には、文学部文学科文芸メディア専攻だね。
簡単に言ってしまえば芸術学部みたいなところかな。
メディア専攻?アナウンサーとかテレビ局志望ってこと?
 えっと、メディア専攻では「メディア」とは何か、という根本を問い直すことから始めるんだ。よく勘違いされる、ニュースなどのマス・メディアではなく、文学・哲学的にmedium(メディア)とは何かを考える、という感じだね。メディア専攻ができたばかりの時、アナウンサー志望の人間がたくさん来てしまって困ったとかいう話を聞いたことがあるよ。
 もちろん、マスコミ志望者は多いけど、生半可な気持ちで選ぶと苦労するんじゃないかな。
じゃあ、学部で何が学べるのか教えて?
書評の書き方、テクスト読解、江戸文学研究など。日本文学だろうと、英米、仏、独、演劇、映画、アニメ、なんでもできる。逆に、やりたいことがないと4年間きついんじゃないかな。
えっ、書評って?読書感想文とは違う?
書評は、読書感想文の上位互換って感じだね。一冊の本に対して、それをまず解釈し、それはどういう本なのかを筆者なりに批評する行為と言えばいいかな。
文学部で学んでいて何が楽しい?
僕は書くことが好きだから、演習の授業でルポやエッセイを書くのは楽しいね。
ルポとはなに?
ルポルタージュの略。大雑把に言うと、ノンフィクション、と呼んでもいいかもしれないけど、厳密にはちょっと違うね。
逆に大変なことってある?
卒論レベルの文章を当たり前のように書かされることだね。つらい人にはつらいと思う。
へえ~(レポートがあまりない法学部生の返事)、ちなみに字数はどのくらい?
去年は期末レポートに3万字書いた。卒論が最低2万字と考えると、それより多かったね笑。
そんな文学部だけど、文学部生はどんな人が多い?
コミュ障陰キャが多い感じがするね笑。演習でも語学でも、みんな発言しないよ。もちろん、きゃぴきゃぴした女子や、本を読まなそうなDQNもいるね。けど、割合として静かな人は多いですね。
あと、それほどみんな本を読まないし、文学上の常識に詳しくない感じがするね。島崎藤村すら知らない人間がいて、その時はほんとにびっくりした。
そんなに文学マニアばかりではないんだね。
むしろ、純粋に文学が好きな人は少数。あはは、不思議だね。
法学部もみんな法律マニア(法曹志望)ではないのと同じかもしれないね。
ところで、卒業単位数は?
124単位。ただし資格過程は別だけどね。
資格過程?文学部って教職取ってる人多いの?
教職を取っている人こそ多いけれど、途中で挫折する人も多い印象。実際に教員になる人は少ないだろうね。
挫折者が多いとは意外だった。
教職を取ると、時間割が被って好きな授業が取れなくなる上に、先ほど述べた通り、卒業要件に含まれないものが多いからね、、、
ちなみに他には?
学芸員や図書館司書もいるね。
これすごく気になるんだけど、文学部の成績評価教えてもらえる?
本当に教授次第だよ。出席自由の代わりに成果を出せというタイプもいれば、普通に定期試験で決める人もいる。
定期試験があるとは意外。レポートで成績を決するのかと思ってた。
 もちろんレポートもよくあるね。しかし、教養科目は期末試験が多いな。また、演習やゼミは発表で決まってる。
 あくまで僕個人の話だけど、レポート:テスト=6:4といった感じ。ただ、コロナ禍の影響もあってのこの数字だから、それがなければテストの割合がもっと多かったかも。
テストの形式はどんな感じ?
 資料の持ち込みは可で、具体的には教授の書いた本かレジュメだね。スマホ持ち込み可の先生もいるが、これはごく少数。また、持ち込み一切不可の厳しい先生も中にはいるね。試験内容としては、半期の授業内容の要約とかかな。
法学部は原則持ち込み不可で、よくても六法のみだからここは違うね。
卒論はどんな内容?
僕の専攻だと内容が「文芸」である限り自由だよ。ほかに卒業制作も認められているけど、こちらはかなり大変だね。
話変わるけど、文学部なんだから本屋でバイトする人多い?
本屋バイトは募集自体が少ないから、そんなに多くないね。飲食か塾講が多いよ。
そしたら法学部と一緒だね。あ、ゼミに入ってるんだってね。何やってるの?
今所属しているところでは、前期にカミュの『ペスト』、『異邦人』とドストエフスキーの『罪と罰』を読んでいるね。後期は各自の研究発表かな。
やっぱり頑張っているんだね。そしたら最後に進路について教えてもらえるかな?
僕はとりあえず院に進むつもり。周りの志望としては、マスコミ、印刷業界が多い印象があるけど、実際に大手に行く人はそこまで多くないかな。数年前にKという大手に就職した先輩は、今でも専攻の語り草になっているよ。
今日はありがとう
こちらこそ。

 法学部は就職に強いイメージがあるけど、文学部はそこまでではないから、純粋に文学が好きな人が多いかと想像していたけど、実際はそれほどではないんですね。また、試験が思ったより多かったことが印象に残りました。そして、静かな人が多いと話してくれたので、そういった人には雰囲気が合うかもしれません。M君、お話ありがとうございました。


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