考察 第一回目:イチローの年収は高いか


先日触れた「学生時代の文章の授業」について、アップしていきます。全八回、どうぞお付き合いください。

第一回目のテーマはサンデル教授の「正義の授業」を取り上げた新聞記事を題材にしたものでした。
「イチローの年収は学校の先生の400倍、オバマ大統領の42倍だ。彼の年収はフェアだといえるだろうか。」

それについて当時の私が書いた文章が以下です。

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 私は、イチローの年収は確かに高いと思いますが、もらい過ぎではないと考えます。
 なぜなら約十億という年収は彼の努力と実力の結果であり、それだけ多くの額を出しても球団が欲しがるような人物だということだからです。
 また、球団もそれほどの額を出せるということは、それだけお金を出してでも野球観戦を楽しみたい人口が多いということです。
 確かに、球団同士でオークションのような形になり、額が上がり過ぎていることは否めません。しかしそれはイチローが決めたことではなく、彼自身が自分の市場価値を努力と実力で高くした結果であるといえます。
 例えばもし、イチローが全く結果を出せなくなったら、球団から解雇され、年収も大幅に減少するでしょう。しかし彼はそのようなこともなく、活躍を続けています。だからこそ多くのファンが付き、球団も彼に投資するのでしょう。
 
世界には貧しい人がたくさんいるのに、というのはイチローの年収を減らす理由にはなりません。
 なぜなら、彼の年収を減らしたところで、その分が貧しい人に分配されるでしょうか?私はそうは思いません。貧しい人を救いたいと思うなら、イチローに募金などをするように言うのが妥当だと思います。
 得た収入をどう使うかは、彼の自由です。私はイチローの年収は彼にふさわしい額であり、もらいすぎではないと考えます。

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 正直私は野球に関しては全くの無知で、「誰もが知っているような活躍」とその年収についての意見を述べることのみでした。言いたいことは、額云々よりもその記事に書いてあった「貧しい人がいるのに」という、平等を意識した文章に正当性がないと思ったこと。確かに、国内だけでも「なんであの人が、あんなにもらっているんだ」なんて、いくらでも身近にあります。でも、自分の収入を「もっと少ない人がいるんだから…」と、フェアではないとされ下げられるようなことがあったらどうでしょうか。それこそフェアではないですよね。まあ私は、イチローにはこれっぽっちも及ばないので、心配する必要はありませんが…。


ちなみに先生のコメントは、
「※それなりの観点が貫かれており、すんなり読める。基本はできている。」でした。
第一回目としては、良かった良かった。

一方で、他の学生が書いた作品にこんなものがありました。
(先生が何点かピックアップしてプリントにして配り、解説する)

「年収が高い、高くないの話なんて私自身、関心はない。あれだけの偉業を成し遂げているんだから、契約金が増加していくのも無理はないと思う。」一〇年連続二〇〇本安打、ヒットを打つ難しさ、そもそも試合に出場し続けられていること、怪我で万全ではない状態からもヒットを打ち続けること、足もめちゃくちゃ速いというわけではないのに、打ち損じを内野安打にする技術…二流三流の選手が著した野球の指導本を読むくらいなら、彼のプレースタイルを見て勉強した方がよっぽど素晴らしい選手になると思う。(抜粋)

先生のコメントは「野球を知っている人でないと書けない文章。読ませる。」
いいな。そう思いました。

別の回でも、自身がやっていた自転車競技のことを挙げている人がいました。
 スポーツを続けていた人が書く文章は、臨場感があり、「その人しか書けない文章」の色が強くなる。
 私はスポーツを続けてこなかったけど、続けていたら、そんな文章が書けたかな、と思った雨の日でした。


イチローの年収、皆さんはどう思われますか。


※当時の原稿もアップします。
授業で使用したものなので、次回からは限定記事(有料記事)にしたいと思います。


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サポート受けてみたいなぁ…。