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1. GKS 書類準備ガイド - 会社員が国費で海外の大学院に行くまで

コロナ禍が幕を開けた2020年3月に音大を卒業してから4年間、東京の某楽器店兼音楽教室でサックスを教える仕事などをしてきました。

日本での生活を整理し、2024年9月からソウル・成均館大学校の一般大学院芸術学連携課程にてアートマネジメントを勉強しています。

そして、私は国費で留学しています。

学費に生活費、往復渡航費など、留学にかかるほぼすべての費用を韓国政府から支援を受けています。

外国人を韓国国民の税金で勉強させてくれるこのシステム、審査は厳しく、1年以上前から多大な量の書類準備に追われました。

特に、会社員生活をしながらの準備は本当に大変!

退勤後や休日、書類に不備はないか、無事に期限までに出来上がるのかどうか、手に汗を握りながら睡眠時間を削ること数ヶ月。何とか全ての選考を通過することができました。

今研究に集中できているのも、日本の家族や先生方、韓国の先輩、友人、そして韓国政府からの手厚いサポートのおかげでした。そして、過去の先輩方のブログもとっても大きな合格の助けになりました。

ご多分に漏れず、これから韓国に住まれるであろう皆様のためにドタバタ受験記を事細かにお届けします!


はじめに

私が応募し合格したのは、世界中同じタイミングで募集が行われる、2月要項発表・10月入学のGKS韓国政府奨学金でした。

ただ、最近久々に募集サイトを見ると、日本人学生が利用できる韓国政府による奨学金の制度が変更になったとの記述があります。そちらでは、10月要項発表・3月入学と書いてありました。

近年、日本人向け募集方法に変更点が多くなっているのでご自身でもよく!お調べになりますように!


出願スケジュール

出願準備の第一歩として、まず韓国でどのような研究が行われているのかをリサーチしました。次に、学校ごとの特徴やカリキュラムを比較し、最終的に志望校や研究室まで絞り込むことができました。

昼休みは、論文や報告書を読んで情報収集する日々でした。入学後に充実した研究活動をするためにも、指導を希望する教授について事前に詳しく理解しておくことは大切です。

韓国語の専門用語や現地の学界のトレンドを把握するだけでなく、学生の卒業論文から、教授が最近注目しているテーマも掴んで理解を深めました。

書類選考時、

  • いかに学資金を使い

  • いかに韓国での学業を効率的、

  • いかに社会に貢献し

  • いかに両国の関係改善に役に立つのか

という視点に立って、書類を作成する必要があります。ここで事前に読んでおいた資料と知識が役に立ちます。


実際の書類提出に係る募集要項は、例年日本側のサイト(JASSO)よりも本国側のサイトで早く発表されます。2024年度は韓国側が2月8日(木)、日本側が2月22日(木)に発表がありました。


2024年度の受験スケジュールをまとめると、こうなります。

2/8 韓国語・英語版募集要項 発表
2/22 日本語版募集要項 発表

3/11 0. 国内書類選考 願書締切
~3/19 0. 国内書類選考 駐日本韓国大使館から合否発表

3/19 1. 国内面接 面接試験
~3/22 1. 国内面接 駐日本韓国大使館から合否発表

4月末 2. NIIED書類審査 ※受験者はやることなし
5月予定 3. 志望校別面接
6月下旬 4. 最終決定

要項が発表されてから書類締切までが1ヶ月ほどしかありません。そのため、書類を全てまとめていると、到底締切に間に合いません。

受験を決めたのであれば、JASSOのサイトに1年間残っている前年度の書式に則っていち早く作成に取り掛かることを心から!強く!お勧めします。


2024年の変更点

2024年度は、大きな改変が多々ありました。

  • 韓日共同高等教育留学生交流事業との統合

  • 日本人が出願できる学校が大幅減少
     → 計71校から選べる他国籍者に対し、日本国籍者は計21校のみ

  • TOPIK5級または6級保有者向け奨学金の廃止
     → 和文出願要項に記載が残っているのはミスの模様

対象外になった学校に事前の研究室訪問を済ませていただけに、要項発表後に衝撃が走りました。


…と、ここまででひと記事分くらいのボリュームになってしまいました。笑

ここから先は、実際に提出した書類それぞれについて書いてあります。とてつもない量の書類を提出するので、なかなか不安も多かったことを思い出します。

今後受験される皆様にとって、参考になることをお祈りしています。




① 韓国文または英文出願書類 - 東京の大使館へ郵送

1. Form 1 Application Form

こちらは空欄に沿って埋めていくだけです。


2. Form 2 Personal Statement

韓国語で자기소개서、日本語で自己紹介書。韓国では入試や就活時にも提出する、ド定番の書類形式です。

私は日本国内で音大を卒業しています。卒業論文も書かず楽器を吹いて卒業し、一般的な就活も経験していないので、エントリーシートすらもろくに書いたことがありませんでした。

そのため、YouTubeなどで雰囲気を掴みながら作成していきました。

実際に合格を勝ち取った自己紹介書を、有料ですが公開しています。もしも必要な方がいれば、ぜひご覧ください。


3. Form 3 Study Plan

韓国語で연구계획서、または학업계획서、日本語で学業計画書。こちらも院進する場合は必須で書かなければならないものです。

今年から、GKSの先輩たちが直接添削してくれるサービスも始まったようです(ただし料金が高いこともあり、利用しませんでした)。


そして、まずはこの2と3の書類で自分をアピールすることになります。これらの書類で与えた第一印象で、大量の受験者たちを画面越しに会い続ける面接官の態度が決まってくるでしょう(あくまで主観です)。

韓国現地で一般的なこうした文書を、未だ留学に飛び立っていない段階の志願者が外国語を駆使し形式に則って作成することは非常に難しかったです。

駐日本韓国大使館とJASSO、韓国国立国際教育院、そして各志望校の審査で他の志願者より魅力的、かつ支援の必要性を感じてもらえるような文書作りを、と韓国人の友人に何っ回も言われました。

こちらも有料ですが公開中です。もし必要でしたらどうぞ!


5. Form 5 ONE Letter of Recommendation

数年前までは二通必要だったため、ONEが全て大文字になっています(と解釈しました)。

そして韓国大使館側に送る推薦書は、過去の指導教員に韓国語か英語で作成をお願いしなければなりません。受験を決意した段階で、学部時代の先生に可及的速やかにお願いしました。


7. Form 7 GKS Applicant Agreement

8. Form 8 Personal Medical Assessment

9. Form 9 Consent to Collect and Use Personal Information

7から9までは、英語をよく読んでからWord上でチェックボックスを埋めてから1部だけ印刷、そして署名してからさらに3部印刷で終わります。


10. Applicant's/Parent(s)' Proof of Citizenship and family relationship Document

  1.  戸籍謄本、ないし戸籍証明書を日本語で取得

  2.  自分で全て英訳

  3.  英訳したものも含めてアポスティーユ取得

  4.  念の為、両親のパスポートの写しも添える

この流れで準備し、全てを提出する必要があります。

1は、家族全員分で発行します。マイナンバーカードがあればコンビニのコピー機でも可能ですが、本籍地と現住所が違う場合は、本籍地の自治体に申請が必要です。この申請も、コンビニのコピー機から申請ができます。

2からは、英語に訳してアポスティーユ取得までを代行してくれる業者もあります。ただし、極限まで節約したいマインドの私は、苦労しましたが自分で行いました。

まず2の英訳は、福岡県太宰府市のサイトにテンプレートが載っています!こちらを有難く利用させていただき、再度確認した上でアポスティーユを取得しました。

3は、余裕を持って公証役場へ!アポスティーユは、東京か大阪の外務省、または全国各地の公証役場で取得できます。ただし、この後の11と11'など、大学法人が発行した書類には、外務省でアポスティーユを発行することはできないとのこと。迷わずに公証役場へ!

そして春先、こうした役場は混み合います。予約が必要な公証役場もあるそうなので、よく確認してから行くべしです。何より、選考の中でこのアポスティーユが一番お金がかかりました(合計約3万円ほど)。


11. Bachelor's Graduation Certificate (or Diploma)

卒業校にて英語で卒業証明書を発行していただいた後、別途アポスティーユを取りました。


11'. Bachelor's Degree Transcript

こちらも本当に大変!(涙)

  1.  成績証明書

  2.  scholaro.com等に自ら成績を入力し、GPA式に成績変換したレポートを作成(要課金)

  3.  2を卒業校側で認める文書

  4.  これら3つをまとめてアポスティーユ取得

母校である京都市立芸術大学は、GPA形式で成績を算出していません。昨年末から、お電話とメールで事情の説明とお願いにあたってきました。

そして、無事に上記三点を英語で作成していただき、提出しました。春先の忙しい時期にも関わらず、丁寧に対応してくださり本当に感謝で一杯です…。


19. Score report of valid TOPIK (original) or English Proficiency Test (copy)

前年度にTOPIK6級を取得しておきました。TOPIKの場合は有効期限が2年間!認定される開催回の記載があるので、過ぎていないか要確認です。


20. Awards and other certificates, etc. (copy)

これまでに取得した賞状の中から厳選し、

  • 日本クラシック音楽コンクール

  • 日本ジュニア管打楽器コンクール

  • Lady Natasha Wilson Asian Youth Orchestra Scholarship Fund

この三つにしました。

要項に英訳をつける旨の注訳がなかったので、日本語のままでお送りしました。


21. Applicant’s Passport (copy)

こちらは、顔写真が載っている身分事項ページをコンビニでカラーコピーして、提出しました。次の②和文出願書類でも同様に必要のため、複数部印刷しました。

…とここまででもかなりのボリューム。先述のGKS Mentorsのインスタライブでも、「前年からあまり書式が変わることはないので事前に作成を開始するべし!」と話されていました。


──


② 和文出願書類 - JASSOへPDFで提出

1. 和文出願書

JASSOのサイト内、和文出願書に原本があります。①の韓国語または英語で作成したのち、同じ内容を日本語で埋めていきます。


2. 経歴書

3. 留学計画書

2と3も1. 和文出願書同様、①の韓国語または英語で作成したのち、同じ内容を日本語で埋めていきます。


5. 推薦状

①の韓国大使館行き書類では開封厳禁で準備、②の和文では日本語版の推薦書をPDFにして提出しました。


7. 誓約書

8. 自己診断書

9. 個人情報取扱同意書

7と8と9は、①で英語の書類を作成したのち、自身で日本語訳を作成しました。


10. 応募者及び両親の国籍を証明するもの

11. 学士課程の卒業証明書

11’. 学士課程の学業成績証明書

19. 韓国語の語学能力証明書 (TOPIK)または英語の語学能力証明書の写し

20. 賞状や証明書等の写し

21. 応募者のパスポートの写し

ここまで、そのままコンビニでカラーコピーして提出しました。


──


見落としがちなタスクリスト

ここまでで一旦書類の準備は終わりです。

ですが、この多さなので要項もまあ複雑!読み込みづらい二言語の要項を事あるごとに読み比べながら、抜けがないように確認していきました。

が、それでも途中でヒヤヒヤしたリストがこちらです。

① 韓国文または英文出願書類

  • 直筆で署名はしたか?

  • アポスティーユは余裕を持って!

  • 4部とも書類が全て揃っているか?

  • 4部とも、右上に書類番号と書類名を英文で記入したか?

  • ①の推薦書は別途開封厳禁!

  • 郵便の配達は年々遅くなっています

  • ヤマトの信書問題について

下二つについては、また別途記事にまとめます。

2024年は、トラックドライバー不足が世の中を騒がせていました。郵便局でも「遅れるかもしれない」と言われていたため、書類が到着したことを確認できるまでは本当に!生きた心地がしませんでした。


② 和文出願書類

  • 直筆で署名はしたか?

  • 右上に書類番号を記入したか?

  • 発行された証明書が日本語以外の場合、全てに日本語訳をつけたか?

  • 日本語訳を自身でつけた書類には全てに理由と翻訳者名を記入したか?

  • 右上に要項にある書類番号を振ったか?

  • ファイル名を指定の通り変更したか?




以上です!

実はこの記事、書類を送った直後、忘れないように大枠となる部分を書き留めてありました。当時の熱量もあってか、書類選考編だけで6千字近くになるとは思ってもいませんでした(笑)

何回も書いてしまいますが、毎年変更がありますので、細かく要項をご確認ください!

それでは、次は国内の面接編に続きます。大変大変!


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