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街まるごとサブスク・サービス? 「街パスポート」の可能性:都市づくり5.0のヒント  



こんにちはnoteメンバーシップ:ツギ・マチ・ラボ(次世代の都市・街づくりラボ)を運営する松岡です。今回は鉄道の定期券の発展サービスとして、「街パスポート」の提案です。

よろしくお願いします。


内容:

Ⅰ 街ビジネスの必要性 

Ⅱ 街ビジネスの考え方 

Ⅲ 街パスポートによる活動創発


Ⅰ 街ビジネスの必要性

⑴ スマートシティは誰のため?

コロナ禍により「リアル都市の価値」が問い直されています。

これまでの利便性や集積性のメリットだけではない、新しい都市の価値が必要になってきているのです。

都心部ではスマートシティの議論が活発です。東京都でも西新宿や丸ノ内、竹芝などがモデルエリアに指定され、技術革新に対応しセンサーやカメラで都市を「データ化」しようというスタンスです。

リアルタイムでの人流解析と都市のファシリティとのマッチングによって利用効率を高めようという論理ですが、そこには具体的にその都市で活動する人たちが、どのような負担で、どう恩恵を受けるのか?の議論が抜けているのではないでしょうか。

行政などの管理側のサービス効率化は理解できますが、スマートシティ化に向けた設備投資の原資、あるいは投資回収の方策が見通せず、迷走するプロジェクトが多いと聞きます。


⑵ 街の共益費をどう負担するのか?

一方 エリアマネジメントなど地域のコミュニティ活動にも手詰まり感があります。

地域におけるコミュニティの必要性は理解し、対話を通じて地域の潜在力についても共有できた。何度か活性化イベントも開催したが、その先はどうなるのか?がやはり見通せません。

ある大企業幹部が「エリアマネジメントというからには、地域をマネジメント(=経営)するという意味があるはずだけれど、今のエリマネ活動は、コストセンターでしかないよね」とコメントしていました。

ほとんどのエリマネ団体は活動原資不足と言われます。

資金不足は人材不足と連動し、継続的な活動が困難な状況と言えるのではないでしょうか。

このような状況を打開するためにも、単に街を活性化させたいというスタンスから、街のニーズとリソースとを事業としてマッチングする、「街ビジネス」発想が必要です。

その上で街ビジネスに向けてリソースを精査する手段として、或いはマッチングの効率を高める手段として、デジタル技術を活用し収益力を高めるという思考が必要なのだと考えます。


Ⅱ 街ビジネスの考え方

⑴ 街のリソースとニーズを考える

都心部における「リソース」と「ニーズ」とはなんでしょうか?

西新宿を例に取ると、まずリソースとして

① 日本有数のビジネス街で20万人のレガシー企業のワーカーがいます。

② 平日9時〜17時オフィスアワーしか利用されず、夜間や土日は未利用のオフィススペースがあります。③

③ 世界最大のターミナル駅に隣接して、道路を含めると東京ドーム10個分のオープンスペースが存在する。。。などが挙げられます。


一方でアンケートによると西新宿の街は、ワーカーが「平日9時〜17時に働くための街」でしかなく、もっと公私ともに多様に活用し、街にも愛着と誇りとを持てるようになりたいというニーズがありました。


⑵ ヨリ活サービス

これらをマッチングする方法として「ヨリ活サービス」を提案します。主に平日のアフター5の帰宅前に「チョット寄り道を楽しめるサービス」です。

着眼点としては

① 仕事が終わったら会社は出たいけれど、毎日直帰するのもつまらない。

②毎日飲み歩きたいわけではないけれど、チョット立ち寄って楽しめる場所もない。

② 帰宅ラッシュに揉まれるのは嫌だけれど、ブラブラ散歩しているわけにもいかない。

ある調査では日常の中で「1時間の自分時間の有無」が生活の充実感を左右するという結果が報告されています。

これらのインサイトを元に会社から、家に帰るまでの「モードチェンジ・ニーズが高い」と想定し、アフター5の1〜2時間程度のモードチェンジ・サービスを提供するのです。

まず「街なかウォーク」を促進します。

XR技術を活用して見慣れた街&道を、素敵な散歩道に一新します。声優・俳優による当該エリアの解説やナレーション、アーティストによるその街らしいBGMの提供や、回遊ゲーム化がショートトリップを彩ります。

加えて当該エリアに点在する生活関連企業のショールーム、各種学校、文化施設などが持ち回りで「街まるごと学校」を開催してはどうでしょうか。

そこで気軽に学んだり、教えあったりして過ごすことで、日々の会社帰りに新しい出会い・発見が生まれます。

駅や各種施設で「モードチェンジ・ドリンク」を提供するのも有効だと考えます。さらに有料ユーザーになれば、美術館やシネマ、寄席などの有料文化施設や健康美容施設が利用可能になる上、空いた列車で座って帰宅可能になるのです。


Ⅲ 街パスポート化のよる活動創発

⑴ 街パスポート

「ヨリ活サービス」で有料ユーザーを集めることができれば、そのユーザーを基点にして、より拡張したサービス提供が可能になります。

街の多彩なリソースを活用し、ワーカーのウエルビーイングを向上させる総合サービス「街パスポート」です。

サブスク定額制で対象エリアにおける「ON/ OFF」ライフの質を高めたり、視野を広げたりする「深化/探索」活動を支援します。

具体的にはお互いのビジネスに役立つ人同士のマッチングやサロン開催、街じゅうに点在する様々なバリェーションの集中スペースの利用、多彩なオープンスペースを使った健康づくりやチームビルディングプログラムなど地域のワーカーが、「街を使い倒す」ツールが用意可能です。


⑵ 次世代の福利厚生サービスとして

その効用としてワーカーの大幅な生産性の向上や、自分時間の充実、仲間づくり、気軽な副業参加など、公私に渡り当該エリアで過ごす時間が多彩に楽しめるような活動創発を実現します。

実施に当たっては当該エリアの法人の新しい福利厚生サービスとして位置づけることで、活動原資の下支えと活動参画への心理ハードルを下げることが可能です。

このパスポートの活用により、当該エリアワーカーの活動が質・量ともに増大し、ビジネスイノベーションや新しい社会事業の創発が見込まれます。

さらに XRリテラシーの高いユーザーコミュニティの見える化することによって、様々な新しいXRサービスの実証実験の場として認知向上を図ります。

街パスポートが、当該エリアのビジネス・プレゼンスをアップデートするのです。


【 都市づくりヒント 街パスポートによる活動創発】


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