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2023年9月22日の日記

 仕事終わりの足で電車に乗り込み、名古屋に向かっている。横に座ってるオッサンの寝顔を見ていると、私もそろそろ寝たいという気持ちになってきた。

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 横並びのロングシートで本を読んでいると、向かいの席に座っていたテーマパーク帰りと思われる女の子2人組が、私に聞こえるくらいの声で、恋バナをしていることに気がついた。
 "恋バナをしている"ということを認識してしまうと、もう私の意識はそっちに向かってしまって、聞きたくもないのに問答無用で内容が脳内に流れ込んでくる。これでは読書もままならない。
 二転三転しながら、やがて話題は「好きな異性のタイプ」にシフトしていた。年下の子は〜、とか、同い年は〜、とか言って、あることないことを言いふらす。クラスメイトの男の子が標的になったり、気になる男の子のことを神聖化したりと女は忙しい。てことは、この流れで次にくるのは、
 「やっぱり年上の人かな〜」、そう聞こえた時、敢えて落としていた視線をふいにその女の子たちに向けてしまった。一体私の中のどういう反射神経が作用したのだろうか、予想していたフレーズがバッチリとハマったからか。そしてよりにもよって、片割れの子とバッチリ目が合った。それはまさに「年上の人が好き」と言っていた女の子だった。

 慌てて視線を本に戻した。ガールズトークは淀むことなく続けられている。
 今の一瞬で私はおそらく、「無謀にも恋バナに参戦しようとした自意識過剰のオッサン」として見られたことに間違いない。よりにもよって「年上の男性が好き」というフレーズで視線をあげてしまったのだ。弁解する余地もない。弁解したらそれこそ不審者である。
 とはいえ、恋バナをしているその女の子の顔はとてもキラキラしていた。一瞬しか映らなかったが、この薄暗い車内でもわかるくらい、それはキラキラしていた。そりゃ楽しいもんな、恋バナ。

 あの女の子と視線があったとき、私はどんな顔をしていたのだろう。年下の子たちの浮いた話を盗み聞きしていた不届き者の私の顔は、どんなのだったのだろう。まだまだ終点は遠い。

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