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週末偏頭痛

 ここ最近、週末になると原因不明の頭痛に悩まされる。除湿器も最近は動かない。知恵熱ではないことも確かだ。(余談だが、知恵熱という明確な病気はないらしい。頭の使いすぎで発熱するものを知恵熱と言うこともあるが…。はて?)

 当初は低気圧のせいだとばかり思っていた。丁度、梅雨の時期に突入したこともあって、天気の崩れる日が多い。おまけに今夏の猛暑がすでにその片鱗をチラつかせて来ている。この突発的で不連続的な頭痛は、きっとこの国の異常気象のせいだ。

 「低気圧の日は頭痛が起きやすい」とは言うけれど、そういえば明確なメカニズムを考えてみたことがなかった。取り立てて別に解決して納得する気もなかったが、念のため調べてみると、案の定よくわからなかった。要するに「風が吹けば桶屋が儲かる」的なハナシのようだ。理系的な理論を咀嚼せずに無理やり胃に放り込むのは、文系脳お手の物である。文系絶賛脳死中。

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 せっかちな人のために簡易的な肯定をしてあげよう。"週末に雨がよく降っていたことが原因で頭痛が発生していた"ということで異議ナシ!ここに結論を下そう…とした矢先に、ふと別の論調が現実味を帯びてきたのである。

 それは「気圧」説ではなく「気」説である。

 平日は賃労働者を演じることに暇がない私だが、休日になると全身を這いまわるその集中の糸はプツリと切れて、私は役目を終えたマリオネットのようにうなだれる。この集中の"糸"というのは存外に重要なもので、ある種の麻薬、麻酔のような働きをするのだ。乾いた糸につながれている間は意図せずともワーカホリックとなれる。賃労働者を"演じられる"のだ。

 これぞまさに緊張と緩和である。クスリの効き目が切れたらほらね、なんにもないだけの日なのです。根幹が堕落に染まりきっている私を賃労働者たらしめているモノは、この"社会"その人である。カロリーを気にしながら昼食を買うように私を仕向けたこの"社会"…。

 1週間のうち5日も"クスリ"をぶち込まれてラリパッパになってしまった私は、その強烈な副作用に中2日を苦しめられることになる。脳内麻薬が回り、動体視力が上がり、戦闘モード。バカらしい社会を抜け出してやっかましい特急電車で帰ろう…。

 つまり、休日における私の頭痛の原因として考えられるのは「低気圧」そして「(ある種の)知恵熱」ということだ。あれ、最初期に棄却した論調が息を吹き返したぞ。 

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  皮肉なものだ。本来の私は、操り手のいなくなったマリオネットのような人間だったのに、その状態であるがゆえに自らを苦しめることになるとは。「頑張りすぎない」「もはや頑張らない」は私のモットーである。平日の"緊張状態"をほぐしていかなければならない。このままでは、オンとオフの境目もなくなって、ゲーム機のスリープ状態みたいになってしまう。

 グッバイ低気圧、グッバイ頭痛、2000マイル飛び越えて高気圧の彼方まで連れて行っておくれ。


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