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2021年11月6日の日記

 生活に現実感が伴わなくなってきたのは、漠然とした未来への不安と渇望によるものか、それとも単に私の思考力と洞察力の鈍化の所為か。
 先日の健康診断、視力がかなり低下していた。すでにコンタクトをつけている矯正視力であるのに、はてどうしたものか。それにしても目から来る疲れというのは、生活の随所を静かに蝕む。私の場合は、目の疲れが突発的な頭痛を発生させることも多い。拭っても拭っても消えない、壁の薄いシミのようなものが、ずっと眼にこびり付く感覚。結構、疲れる。今日も空に幾つもの月が昇る。

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 喫茶店で座った前方の席で、スーツの男とマスク越しにも何となく香る小綺麗な女性が話し込んでいた。男は私に背中越しになるように座っているので顔は見えなかったが、調子の良い上ずった声がなんとなく嫌な感じだった。
 テーブルの上にその女性のものと思われる履歴書が見えたことと、断片的に聞こえた「経理」「正社員」という単語からおおよその予測はついた。それ以降、2人の会話に耳を傾ける気も起きなかったので私はずっと本を読んでいたが、ふと顔をあげた時に視界に映る女性のボヤけた顔が、少し魅力的に見えたりもしたが、店内が薄暗い所為にした。
 その2人が席を立ち店を出ていこうとしたとき、女性側にあったアイスコーヒーが半分ほど残されていた。あの残量であれば、私ならば去り際に一気に飲み干すのだがなぁ。

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 コーヒーカップの底に溜まった、ほんの少しの心残りほどの冷めきった液体を、グイと胃に流し込むあの瞬間のような、気まずくて少し不愉快な感覚。私はこれをこれから何度も思い出し、これから何度も経験するのだろう。

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