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笑うドッペルゲンガー

 転職して早1ヶ月が経った。

 海に集団で身投げするレミングの群れのごとく、自分のひとつ下の世代の子たちが新たに社会の荒波に漕ぎだしていったのを見送ったのも束の間、私も少し遅れて後を追うことになったのだが...。まぁ、タイタニック号に乗りこんだつもりでどーんと行こうや。

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 調子は心身ともにすこぶる良い。朝に弱い私ではあったが、"やるならやらねば"の精神が体に染みついた今では、勝手に目が覚めるようになった。

 二ヵ月のニート生活によるブランクを取り返すのは意外と容易であった。"慣れ"とは怖いものだ。このたった二ヵ月ほどのニート生活ですら苦痛であったのに、年単位のニート生活なんて私にはトンデモナイ。

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 自分が"社会人"という肩書を背負っている事実が非常にウケる。一通りの教育を終えたら無条件で社会に放り出されてしまうことがまず大問題だが、なにひとつとして社会に属するに値する素質も資格もないのに申し訳ない。 

 愛想笑いとスーツで武装してなんとか社会に溶け込んでいる私はとても滑稽だと思う。正直誰にも見られたくない姿ではある。これになりたかったのかと問われると、自信をもって答えられないあたり自分はダメだ。早急に日本海を渡ってウラジオストクからシベリア鉄道に乗り込みたい。バイカル湖を横目にウオツカをグビリとしたい。

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  どうしたら社会人らしくなれるんですかね。いや別になりたい理想像があるわけでもないんですけども。心のどこか片隅にニヤケ顔の自分がいて労働中もこちらを見ているような気がして、ずっとフワフワしてるんですわ。

 これ五月病???


 

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