夜野

愛についてのいくつかのこと

夜野

愛についてのいくつかのこと

マガジン

最近の記事

月報:2024年5月

 春になったおかげで、朝の光が清々しい。ある休日に早起きをして、近くのパン屋さんまで歩いた。大通りを進み、住宅街を抜け、並木道を渡る。風はぬるく、咲く花々の色がまぶしい。  温かいパンの袋を下げながら帰路についたとき、散歩するいぬといぬが挨拶を交わす場面を見かけた。それだけでもう良い日だ、と思えたことがうれしかった。 ■Edenのあたらしいアルバムのこと  Edenのあたらしいアルバムである『ENSEMBLE STARS!! ALBUM SERIES ー TRIP Vol

    • 月報:2024年4月

       春の眠りが生クリームのようにやさしいから、たくさん眠ってしまった。気がつけば白木蓮の季節は過ぎ、桜が街を一色に染めあげていた。花が咲いてようやく、その木が生きているのだと実感する。  いっせいに咲いていっせいに散るのがなんだか怖いけれど、蕾たちがひそひそ話を繰り返しては咲く日を決めているのだとしたらかわいいな、と夢想する。 ■最近のこと   SCRAPが提供するサブスクリプションサービス「Mystery for you」を契約した。「謎の定期便」と銘打たれているとおり、

      • 月報:2024年3月

         愛すべき友人から花束のようなお菓子が届いた。明るい紅と桜色が眩しい。春はもう密やかに訪れていたみたいで、目の前の景色が明るいひかりを帯びた気がした。  窓を開けて、まだつめたい風を浴びる。遠くの方で鳥がさえずっている。マカロンを齧ったとき、かすかに立ちのぼる苺の香りが世界の匂いと混じりあう。こうして春は芽吹いてゆくのかもしれない。 ■最近のこと  先日、漢字検定の準1級に合格した。172点でした。うれしいね〜。  他の勉強の息抜きに取り組んでいたので合否が心配だったけれ

        • 季報:『楽園へ*無垢なる望みのアブソリュート』、そして愛により青年へと羽化すること

          ※『あんさんぶるスターズ!!』の『楽園へ*無垢なる望みのアブソリュート』のストーリーの核心にふれています。  私が楽しく遊んでいるソーシャルゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、ユニット新曲クライマックスイベントを順次開催している。いくつものユニットの「最高潮」を描き、ついにEdenの番が訪れた。不穏な予告にかすかな緊張を抱きながらも、彼らの「最高潮」がどのように定義されるのかを楽しみにしていた。  物語のあらすじはこうだ。「ゲートキーパー」の呼び出しにより一路アメリカ

        月報:2024年5月

        マガジン

        • 月報
          11本
        • 季報
          6本

        記事

          季報:泊まれる演劇『Moonlit Academy』とあなたの月がそこにあること

          ※2024年1月19日〜3月17日開催 泊まれる演劇『Moonlit Academy』の物語の核心にふれています。  触れるだけでスプーンを曲げてみたかった。まるで散歩するように宙を浮いてみたかった。  斜に構えた子どもだったから、私に超能力が備わっていないことに気づくのはそう遅くもなかった。どれだけスプーンに手をかざしてもびくともしないし、私の足は地を踏みつづける。  それでも世の中には超能力をもつとしか思えない人々がいた。彼らはすばらしい絵を描き、スポーツの試合の場で

          季報:泊まれる演劇『Moonlit Academy』とあなたの月がそこにあること

          月報:2024年2月

           私の咳が止まるのと入れ替わるように春一番が吹き荒れた。猛々しいのにあたたかくて不思議な風だ、と毎年のように思う。  この月報のヘッダーは龍が如く8のワンシーン(©️SEGA)だけれど、このゲームが気になっているひとは必ず龍が如く7からプレイしてほしい。理由はきっと、このキャプチャのシーンにたどり着いたときにわかるはずだよ。 ■原稿のこと  久しぶりに筆を取り、ジュン茨の短篇を書いた。そのうちどこかに載ると思うので、楽しみに待ってくれるとうれしいな。冬に書いたから冬のはな

          月報:2024年2月

          季報:『軋轢♦︎内なるコンクエスト』、そして相互理解のこと

          ※あんさんぶるスターズ!!の『軋轢♦︎内なるコンクエスト』のストーリーの核心にふれています。  私が楽しく遊んでいるソーシャルゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、ユニット新曲クライマックスイベントというものを順次開催している。残すところあと数ユニットとなり、私がこよなく愛するユニット『Eden』の順番が訪れるのももはや秒読みの状態である。  せっかくなので、彼らのこれまでの物語を振り返っておこう。そう思い立ち、『あんさんぶるスターズ!』のストーリーから順次読み返していた

          季報:『軋轢♦︎内なるコンクエスト』、そして相互理解のこと

          月報:2024年1月

           年が明けてから本当にいろいろなことがあって、悲しみや無力感にぐったりして、すべてを覆い隠すように白く染まった街を見つめていた。今は感染症の後遺症の咳が止まらないのだけれど、咳をするたびに私は生きているのだと実感する。みんなでご自愛しようね。 ■最近のこと  荒野をゆくような気分で日々を過ごしていたので、クッキー缶を作った。丁寧さが求められる営みをこなすことで、安寧や平穏といったものを手繰り寄せることができる気がする。  クッキー缶とはいっても、ゼロから組みあげるようなも

          月報:2024年1月

          季報:文房具と美術のこと

           先日といえるほど最近のことでもなくなってしまったのだけれど、このようなメッセージをいただきました。ありがとう。  ■文房具のこと  文章を書くことを愛しているから、どうしても筆記具に心が惹きつけられてしまう。私は万年筆で日記をつけて、手紙を認め、思考とタスクを書き留める。  その際に愛用しているインクが、PILOTのiroshizuku【色彩雫】シリーズだ。万年筆用のインクとして販売されているシリーズであり、日本の美しい情景をモチーフにした20色以上が展開されている。ミ

          季報:文房具と美術のこと

          月報:2023年12月

           冬を乗り切るための営みは、なんだか儀式めいているような気がする。やわらかい毛布を膝に掛け、紅茶に温めた牛乳と蜂蜜を混ぜ、ぬいぐるみたちをそっと撫でる。街からは木々のざわめきが失われ、うっすらと雪が降り積もっている。静かな世界ではページを繰る音がよく響く。「寒さは豊かさだ」という言葉がとても好きです。 ■2023年のこと  年の瀬のどこか落ち着かないような、浮き足立っているような慌ただしさが好きだ。今年もいろいろなことがあったなと思い返していると、記憶の遠近が必ずしも現実

          月報:2023年12月

          月報:2023年11月

           寒いね。ひとつ雨が降るたびにぬくもりが洗い流されて、無駄が削ぎ落とされた冬が来る予感がする。なんだか風邪ばかり引いていた月でした。 ■「永遠の都ローマ展」のこと  某日、東京都美術館にて「永遠の都ローマ展」を観た。  ローマ美術といえば、その後の時代に大いなる影響を与えた存在という印象が強い。およそ2000年ほど前に生み出された美が脈々と受け継がれ、生き残り、あるいはその魂が様々な文化に組み込まれ、いま/ここに展示されているのだと思うと不思議な心地になる。  美術は人

          月報:2023年11月

          月報:2023年10月

           夏の残り香が消えないうちにクリームソーダを飲んだ。いまの季節が永遠だったらいいのにな。芸術も食も行楽も読書も、すべて秋でなくても楽しめるけれど、秋の夜長においてはなんだか特別に思えてうれしい。 ■『次元交わる学級会からの脱出』のこと  某日、リアル脱出ゲーム原宿店にてリアル脱出ゲーム×にじさんじ『次元交わる学級会からの脱出』に参加した。  本公演はバーチャルYouTuberグループ「にじさんじ」とリアル脱出ゲームのコラボ作品だ。にじさんじ公式ライバーの月ノ美兎さん、剣

          月報:2023年10月

          月報:2023年9月

           季節は、吹く風から先に秋に変わる。陽光はまだ夏だけれど、それも次第に薄れていくのだろう。かすかに感じる金木犀の香りは現実のものなのか、あるいは記憶のなかで香っているのかがわからない。お散歩をしたいと思っているうちに冬になりそうだ。 ◾️brilliantdays42のこと  某日、brilliantdays42に参加した。ジュン茨プチオンリー「純白の茨の花」が開催されており、すさまじい活気だったように記憶している。暑かったり涼しかったりして不思議な日だった。  弊スペー

          月報:2023年9月

          季報:『The Cosmic Wheel Sisterhood』が突きつける運命のこと

          ※ 『The Cosmic Wheel Sisterhood』のゲーム性や終盤の展開に言及しています。致命的なネタバレはありませんが、プレイ前に読むとあなたのゲーム体験を著しく損なう可能性があります。 ※『The Red Strings Club』の核心にふれています。  『The Cosmic Wheel Sisterhood』をクリアした。途方もない体験で、この文章を書いている今でもどこか放心したような気分になっている。  Deconstructeamが開発した本作は

          季報:『The Cosmic Wheel Sisterhood』が突きつける運命のこと

          月報:2023年8月

           世界が暑すぎる。暑い。真昼の街のなかにいると、からだの縁がうだるような夏に溶けていくような気さえする。  陽射しの熱が抜けなくて、何度も何度も熱を出した8月だった。それでも、暑くないと書けない文章があるような気がするから夏は嫌いになれない。うそ、たぶん冬の方が好き。 ◾️原稿のこと  7月に受けた資格試験の結果が出た。知的財産管理技能検定という試験の2級で、無事に合格していたので安堵する。これでようやく腰を据えて原稿に取り組むことができそうだ。すぐにあたらしい試験勉強が

          月報:2023年8月

          季報:『ガーディアンズ◆アイとラストミッション』、そして愛のこと

          ※あんさんぶるスターズ!!の『ガーディアンズ◆アイとラストミッション』のストーリーの核心にふれています。  私が楽しく遊んでいるソーシャルゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、ユニット新曲クライマックスイベントというものを順次開催している。「物語はそれぞれの最高潮へ」と銘打たれてはいるものの、ソーシャルゲームという媒体の性質上その変容には限界がある。そのようなことを考えていたからこそ、2023年7〜8月に開催されたDouble Faceのクライマックスイベント『ガーディア

          季報:『ガーディアンズ◆アイとラストミッション』、そして愛のこと