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祭りばやしに誘われて。

 今日は近所の八幡宮のお祭りの日。

 コロナの影響で中止が続いていたが四年ぶりの開催。

 お祭りのハイライトは山車を急斜面から突き落とす勇壮なもの。

 この時の山車の傾き具合でその年の豊作を占う意味があるそうである。

 元禄15年から続いているそうなのでおよそ三百年以上の歴史がある。

 由来や歴史は大人になってから知ることが出来たが、お祭り自体は子どもの頃から大好きであった。

 何が楽しいと言えばそれはもう決まっている、屋台である。

 私が子どもの頃は沢山ので出店があり会場になっている歩行者天国にびっしり並んでいた。

 それでもお店が収まりきらず毎年歩行者天国の道が延長されるくらい盛り上がっていたものである。

 屋台は焼きそば屋、たい焼き屋、かき氷屋、クレープ屋、綿菓子屋、鶏卵饅頭屋、飴屋、スーパーボール掬い、金魚すくい等まだまだ他にもあった。

 その中で私が一番好きだったのはなんといってもくじである。

 一回二百円のくじを引いて狙うは一等の大人気ゲーム機だった。

 店のお兄ちゃんに一回と言ってお金を渡してくじをめくると85番と書かれている。 

 さて何がもらえるのかなと思っていると見たこともないバッタ物のキン肉マン消しゴムだったりした。

 それが悔しくてむふぅとなって二回目にチャレンジするのだが、やはり出てくる数字は大きくてもらえる景品はすぐに壊れそうなプラスチックのヨーヨーでがっかりしたものである。

 お祭りの日特別お小遣いで父から千円も支給されていた。

 この金額があれば間違いなく豪遊できるのだが愚かな私はくじに大半の予算をつぎ込んでいた。

 というのも友達の知り合いがあそこのお店で二等を当てたんだってという出どころの怪しいうわさに翻弄されて俄然やる気が空回りした。

 結局千円全部使い果たすことも珍しくなかった。

 焼きそばのソースの焦げる匂いやクレープ屋の甘い香りを嗅ぎながらあっという間にお金を使い果たした自分の愚かさを恨んだものである。

 もう来年はやらない!と心に誓うのだが、私はアホなので次のお祭りでもがっつりくじにハマるのであった。

 結局小学生時代はほとんどこの空しい勝負に軍資金を使っていた。

 なので屋台の食べ物を口にするには兄におごってもらうか、父にねぇお祭りに行こうよと熱心に誘うしかなかった。

 幸い付き合いのいい父だったのでお祭りには一緒に行ってもらえた。

 そこで食べたかったかき氷やたい焼きを思う存分食べた。

 何だかんだでお祭りの開かれる二日間は非日常感にあふれていて大好きだった。

 昨日の夕方に久しぶりに会場に足を運んでみたが屋台はほとんど出ておらず人出もあまりなくて何だかひっそりとしていた。

 うわぁ、寂れたなぁと思って少し切ない気分になった。

 それでもくじ屋さんが一件出ていたので懐かしさにひかれて一枚引いてみた。
 
 もちろん番号は大きな数字で貰えたのはLEDで光る宝石のおもちゃだった。

 これで一回五百円、うーん高いとみるか思い出代と思うか微妙な所。

 空前の盛り上がりを見せていた昭和のお祭り会場が懐かしい。

 あの水銀ランプのチカチカしていた原色の風景をもう一度見たいものだ。

 そんな事を思いながら昨日の晩御飯の話を少しだけ。

 昨日は姪っ子が遊びに来ていたので実家におよばれ。

 お祭りに行った後でお邪魔するといつものように父はテレビの野球中継、母は台所でパタパタと動き回っていた。

 ほどなく全員が揃ったのでおかずの仕上げ。

 久しぶりに母と一緒に台所に立つ。

 昨日の献立は鶏のから揚げ、サーモンの刺身、チョレギサラダ、ポテトサラダ、きんぴらごぼうと豪華版。

 私は早速柵のサーモンを刺身に引いた。

 脂の乗りが良くて包丁で切りにくかったが身がグズグズにならずに何とか形になった。

 その間に母が大根をカツラ剥きにしてツマを作っていた。

 次はメインの鶏のから揚げ、下味はついていたので片栗粉をまぶして揚げるだけ。

 油を一リットル全部鍋に注ぐという普段なら絶対にできない豪華な行為に頭がクラクラした。

 150度まで加熱している間に鶏肉に片栗粉を大量にまぶす。

 温まったら少しづつ投入。

 シャワーッというおとなしい音がする。

 じっくり揚げたらいったん取り出して余熱で火を通す。

 仕上げに油の温度を180度に調節して一気に揚げる。

 これで二度揚げ鶏からの出来上がり。

 他のおかずもテーブルに並べていただきます。

 昨日のお酒はビール。

 ショコッとプルタブを起こしてグラスにクックックンと注ぐ。

 では乾杯をしてクビーッ。

 うひぃ、ウメェ。

 ではまずはお刺身から食べよう。

 サーモンの脂が醤油を弾く、ワサビもつけてアムリ。

 口の中で脂が溶けてトロリとする。

 ううん、お刺身久しぶりと思って身をよじる。

 ポテトサラダを間に挟んで熱いうちに唐揚げを食べる。

 一口かじるとカリッとした歯ごたえの後にジュッと肉の旨味が口の中に溢れる。

 いやこれはビールだビールだとガブリと飲む。

 たはは、これは参ったというコンビネーションに撃沈である。

 二本目のビールを飲みながら食べるきんぴらごぼうもしみじみとした味でなかなかいい。

 久しぶりの家族団らんでついお酒を飲みすぎてしまった。

 お酒は四本ほど、ただし500ml。

 ご馳走様をしてからみんなで片付けて食後にサプライズでケーキが出てきたのでありがたく頂いた。

 昨日はお祭りに家族に会ったりと楽しい一日だった。

 さて、今日は何を食べようかな。

 お祭りご飯もいいけれど昨日食べすぎたからあっさりした食卓も良いだろう。

 そうと決まれば買い物だ。

 こっそりくじを引きに行ってみようかしら…。
 
 一度でいいから見てみたいくじ屋で一等当たるとこ。

 ロジャーです。


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