美の殿堂の歴史と変遷を垣間見る

アーティゾン美術館で開催されている『パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂』を見に行ってきました。

アーティゾン美術館て、そもそもどこにあるのか?と調べてみたら、旧ブリヂストン美術館だったんですね。しかも2020年オープン。リニューアルして間もない美術館で、東京駅から徒歩で行けて、美術鑑賞の後はちょっと歩けばすぐ銀座という好立地でした。最高かよ。

6階までが美術館になっていましたが、収蔵庫はその上にあるのかな…それとも別にあるのか…?などと色々気になってしまいました。

さて、今回見に行った『パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂』は、芸術の都パリの象徴、オペラ座を中心に、オペラ座の歴史やそこで育まれた芸術の変遷を辿る展覧会と言えるでしょう。展示品の殆どが、パリ、フランス国立図書館か、パリ・オペラ座で、この量の資料が一度に見られる機会はなかなかないのでは?と思いました。(作品リストがもはや小冊子の16ページ…‼︎)

前半はパリ・オペラ座の建築に関する資料や、舞台美術のイメージボードが多いのですが、パソコンのない時代にこの精度…‼︎というような精緻な図面が並んでいて感動を覚えます。
(しかもちゃんとその資料を国が責任を持って保管・管理しているという当たり前の事実に感動してしまう美しい国・日本の私)

モーツァルト先生の自筆譜が1点出品されているのですが、まぁ汚い‼︎噂通り‼︎また、別の出品作品の解説にサリエリ先生の名前もあって、『アマデウス‼︎』と思ってしまったのでした。

中盤からは、やはりパリ・オペラ座といえばバレエ‼︎なので、その関係の資料が多いです。
マリー・タリオーニのトゥシューズが現存しているとは…‼︎全体的に小降りで、足の甲の幅が凄く細い印象を受けました。

また、エドガー・ドガの踊り子の絵やブロンズ像も何点か展示されていて、まとめて見られるのは大変お得感がありました。ドガだけでなく、エドゥアール・マネやオーギュスト・ルノアールなど、著名な画家の作品も何点かあり、芸術という分野における繋がりが感じられました。後半にも、マティスやピカソ、シャガールといったレジェンド達の作品も出てくるので、いかにパリ・オペラ座が芸術の中心であったかが解ろうというものです。
シャガールの、有名なパリ・オペラ座ガルニエ宮の天井画の最終習作も間近で見ることが出来ます。
また、個人的にはアルフォンス・ミュシャの舞台衣装のリトグラフを興味深く見ました。ミュシャの展覧会は行くとだいたい同じものが出品されているのですが、これはあまり見たことがないものでしたので、まじまじと見てしまいました。そのほかにも、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて、ゲルマントのほう』やガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』の自筆稿がサラリと展示されていてテンションが上がります。ファントム…‼︎

後半は舞台衣装やビデオ上映などもあって、現代のパリ・オペラ座を見せる作りになっています。クリスチャン・ラクロワや高田賢三の衣装デザイン画など、馴染みのある名前が出てきてほっとするとともに、今までちゃんと守られて伝えられてきていることの素晴らしさに感動を覚えました。

『パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂』の会場を出ると、アーティゾン美術館の収蔵品も見ることが出来ます。事前にアーティゾン美術館の無料アプリをダウンロードしておくと収蔵品の解説が聞けるのでおすすめです。(しかも、細谷佳正さんが担当されていてやった〜‼︎となりました)
館内の無料Wi-Fiがちゃんと整備されていたり、アンケートもQRコードを読み込んで答える形(終わったあと、受付に画面を見せるとポストカードがもらえる)になっていたりするなど、都会の最先端の美術館の在り方を垣間見た気がしました。

特にバレエやオペラなどの舞台美術がお好きな方にはおすすめの美術展でした。
本当にこれだけの資料をまとめて見られることはそうそうないと思いますので、興味がある方はお出かけになると良いと思います。
来館予約もできますし、そこまで混み合っている感じではありませんでしたが、私が行ったのは平日の開館直後でそれなりに人がいたので、迷っている方はお早めに。

また、この日の午後には別の美術展に赴いております。そちらの感想も記しましたので、よろしければどうぞ。

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