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バラ園の追いかけっこ
その日、ウサギとカメは生田緑地のバラ園にいた。まるで小さな天国に迷い込んだかのように、色とりどりのバラが太陽の光を浴びて煌めき、甘い香りが空気中に静かに溶け込んでいた。二人は言葉もなく、ただ立ち尽くし魅入っていた。
カメはゆっくりと言葉を選びながら言った。「ここには800品種のバラが集められていて、その中には世界中から選ばれた『バラの殿堂』の品種も全部含まれているんだ」
ウサギは目を輝かせて言
謎をよぶ デ・キリコ展
国際子ども図書館を過ぎたウサギとカメは、やがて東京都美術館に到着した。正面玄関のエスカレーターを降り、二人は「デ・キリコ展」の世界に身を委ねた。
ジョルジョ・デ・キリコ。その人物は謎に包まれている。時に画風を変え、さらには自らの作品を偽作だと訴え、裁判にまで発展させた画家だ。デ・キリコの作品は、まるで時空が歪んだかのような、不思議な雰囲気を纏っており、二人はその深遠なる謎に向かった。
「デ・キ
東京タワーに登るなら
その日、ウサギとカメは東京タワーのメインデッキに立って、広がる都市のパノラマに心を奪われていた。空は青く澄み渡り、遠くには海をまたぐレインボーブリッジがくっきりと浮かんで見えた。
「それにしても…」とウサギが話し始めた。「今日は外階段が使えないなんて、どうして前もって確認しなかったのかしら」彼女の声は元気がなかった。一方で、カメは安堵の息をついていた。「外階段が使えない日で、本当に良かった」