のらねこ

読書記録やつぶやき。まずは1000回書いてみる。

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マガジン

  • 本、読んだで。

    読んだ本の記録です。浅く軽く、書き残しております。

  • 20世紀末・北海道自転車1周記

    1990年代、自転車で北海道を1周しました。当時の記録を見ながら、今の記憶と合わせて、旅行のエピソードを書きます。

最近の記事

【810回】香山リカ「61歳で大学教授やめて、北海道で『へき地のお医者さん』はじめました」

香山リカ。 90年代か、ファミコン通信(ファミ通)で、「尻に目薬 目に座薬」という連載をされていた。 子ども時代の自分には、「なぜ、ゲーム雑誌に、精神科医?」と首を傾げていた。 しかし、人形の名前を使ったペンネームの印象は強く、僕の脳の中にその存在はすぐインプットされ、残り続けていた。 著作多数。大学の先生。精神科医。自分の意見をきっちり述べる人。 都会で活躍されている方よねえ。 それなのに、北海道で働くという。しかも穂別にいらっしゃる。 「えっ」と口を開けて、「なんで?

    • 【809回】旅行記・高速ゆうばり号に乗ろう(でもなかなか乗らない) その1

      ちょっと出かけたい。 列車とバスに乗りたい。 占冠村営バス、南富良野、落合…。そういえば、昨年、夕張から新札幌までバスに乗ったなあ。夕鉄バスだ。路線バスで、のんびりと。 そして、廃線になってしまった。 そうだ。高速ゆうばり号ってあるよな。乗ってみようかな。 新夕張までJR。新夕張から夕張市街地へ夕鉄バス、そして夕張から札幌駅まで高速ゆうばり号。よし、これでいこう。 降りた。石勝線・追分駅。 新夕張まで乗る計画を、最初から守らない。 そもそも出発時刻さえ、守らない。 普通

      • 【808回】中村淳彦「パパ活女子」

        コロナパンデミックで収入が途絶えた女性。 学費を払うためにお金が必要が女性。 稼ぐための仕事として活動する女性。 20代だろうと、50代だろうと。 様々な、女性が、不特定多数の男性に出会い、デート、食事、そして場合によっては、セックスをする。 そのような、パパ活女子が登場する。 男性側の取材もされている。 どのような思いでパパ活をしているのか。 相手を意のままに操り、支配したいという男性ではない。 高収入で落ち着いた男性の語りが掲載されている。 パパ活が行われる理由は3つ

        • 【807回】姫野桂「ルポ高学歴発達障害」

          例えば、「空気を読めない」「マルチタスクが難しい」「言葉をそのまま受け止める」「思いついたら考えるより動いてしまう」「考え込む結果、人の話を聞いていない」「覚えるのが苦手」などの様々な行動特性は発達障害がある人が有している特性として考えられる。 本書では、そのような生きにくさを抱えながらも、有名大学から社会に出た人たちのルポだ。すべからく、社会人になって苦労している。 本書は、当事者のルポ、発達障害当事者の横道誠准教授の話、精神科医の熊代享先生の解説、筑波大学での学生支援

        【810回】香山リカ「61歳で大学教授やめて、北海道で『へき地のお医者さん』はじめました」

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        • 20世紀末・北海道自転車1周記
          7本

        記事

          【806回】阿部恭子「高学歴難民」

          「東大、京大、阪大、名大、北大、九州大…なんて頭いいんだろう」 20世紀末、高校生だった僕にとっては、手の届かない狭き門。 ああ、有名大学に進んだ人たちには、エリートコースが約束されているんだな。 僕には縁のない世界だな。 時は流れ、「高学歴」の人たちが社会の中で苦しむ本が登場した。 エリートだから、世の中を進みやすいはずでは?いや、そんなことはない。 勉強は得意でも、社会に出て、会社で働く生活が苦手な人。 高学歴にプライドを持ち、まわりを見下してしまう人。 阿部恭子「

          【806回】阿部恭子「高学歴難民」

          【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」

          例えば、相模原障害者施設殺傷事件のような大変な被害を及ぼした殺人事件の裁判報告は、報告されていると思う。 この本は、小さな小さな裁判の様子を丁寧に描写した本である。「覚醒剤、窃盗、詐欺」といった目立たない小さな事件の裁判傍聴記録が提示される。 というのが、この本の趣旨である。 第四章「社会福祉士が刑事裁判の支援する」とあるように、読み終えて、司法には福祉が関わってきていることを確認した。 犯罪者の高齢化、障害がある人の増加、生活困窮者の累犯者化という状況では、執行猶予にな

          【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」

          【804回】安部公房「カンガルー・ノート」

          僕が大好きな漫画に、ジョジョの奇妙な冒険がある。 合計120巻を超えるストーリーの壮大さ。そのような中で、生物の体に植物が関わってくる場面も登場する。 第4部の猫は、植物と同一化する。 第6部の主人公は、体から植物が生えてくる。 そういえば、手塚治虫「ブラックジャック」でも、体から芽が吹き出してくる少年の物語があったな。 何にせよ、体から植物が生えてくるという表現は異質である。恐怖がある。 それなのに、安部公房が選んだ表現は、「脛からかいわれ大根が生える」であるから、一瞬

          【804回】安部公房「カンガルー・ノート」

          【803回】春こそ新年

          朝6時。 洗濯物を干すために外に出る。朝の光と温度が、一日の始まりの香り。今日も生きている!命の確認をする僕を包み込んでくれる。 鳥が、急にこちらへ飛んできた。ピピピピピ。 鳴いている。 僕の方を向いて、ピピピピピ。 まるで手が届くような位置で、電線の上で、鳴いている。 僕もピピピピピと返したらいいのか? 言葉での返答が思いつかず、笑顔を返す。 鳥は首を傾げて去っていく。 朝はいい。毎日が新たな人生の始まりだ。 そして、春はいい。 吸い寄せられるようにじっと眺めていた桜

          【803回】春こそ新年

          【802回】「日本全国 地元パン」から社会の授業を空想して…

          以下の地元パンについて、「製造地」「製品の特色」「価格」「北海道で買う方法」について調べよ。 1)クリームボックス 2)頭脳パン 3)サラダパン 4)マンハッタン 5)食パン「むろらん」 6)学生調理 7)チョコブリッコ 学びのゴールと、学びの方法が具体的に示す必要があるだろうな。 調べた結果をどういうまとめ方をするのか。 調べる方法には何があるのか。 などと空想して遊ぶ。 社会科の学習指導要領を眺める。 「俺はおもしろく思うけど、子どもは楽しんで学んでくれるかな?」

          【802回】「日本全国 地元パン」から社会の授業を空想して…

          【801回】甲斐みのり「日本全国 地元パン」

          表紙を見るだけで、口腔が刺激される。腹減った。 2024年の時代でも、これほど、各地域にしかも何か懐かしさを漂わせるようなパンが存在していることに、僕は敬意を表するッ! 本書で記載されたパンの中で、特に手に取りたいパンを5つに限定して書いてみる。 1)福島県の「クリームボックス」 2)石川県の「頭脳パン」 3)滋賀県の「サラダパン」 4)広島県の「メロンパン」 5)福岡県の「マンハッタン」 これらのパンを手にするために、現地を訪れる。そういう旅行もいいな。

          【801回】甲斐みのり「日本全国 地元パン」

          【800回】勝田茅生「ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある」

          第2次世界対戦での、ドイツが行った歴史上最悪行為の虐殺が行われた「絶滅収容所」の体験を記した「夜と霧」の作者、精神科医・心理学者の「ヴィクトール・フランクル」 何度か、本を開いてみたが、どうしてもすっきり理解できない言葉がある。理解できないというより、忘れてしまう言葉。 「人生が私たちから何を期待しているのか」 自分の人生に何の意味があるのか。 自分の中へ中へ降りていって考えてしまう。答えはもちろん、出ない。 自分は相談業務や、通級指導教室のように児童生徒の個に応じた支援

          【800回】勝田茅生「ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある」

          【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

          本書を手にしたのは、出版社のページで目次を確認したからだ。 つまり、「図工の評価について知ろう」と「不安解消用具指導のポイント」である。 特に、「作品の評価の仕方」の項は、強く唇を噛んでしまった。 どれだけ、今まで、「本人が楽しそうだからいっか」「一生懸命やっていたなあ」「思い思いの作品を作っていた」と感覚で評価していたか。 おそらく生徒は、自由に作った、楽しかった。けれど、これが何の勉強になるんだ?と思っていただろう。 大切なのは、「目標」なのだ。 いくら、おもしろい

          【799回】細見均「絵心がない先生のための図工指導の教科書」

          【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」

          ナチスの親衛隊の誕生、拡大、実験や虐殺、戦後の裁判、ドイツ社会への復帰まで。 偏った考え方を持つカリスマを称える群衆が、日本でナチ親衛隊のようにならないように。 ところで、ナチ親衛隊は、国民の密告を受けてユダヤ人を見つけ捕らえていた。特に日本のように閉塞性が高い社会———右に倣えといえば、右に倣うような社会―———カリスマの有無は問わないか。空気が醸成してしてしまう。差別せよ、見つけろ、訴えろって——— 例えば、コロナ時に、他県ナンバーの車に、文書で警告を貼って逃げた人

          【798回】バスティアン・ハイン、若林美佐知「ナチ親衛隊(SS)」

          【797回】高松美咲「スキップとローファー 10巻」

          前巻から、友人を連れて主人公の故郷に行くエピソードが描かれていた。 本巻は、その続きである。 主人公の故郷が、能登半島ではないか?と気になってはいた。その通りだった。 巻末に著者の思いが書かれていた。 著者の親族も地震に巻き込まれたこと。 著者が描いていた景色は消えてしまったこと。 この漫画の世界の能登は、地震もなく、同じ景色が続いていくと思う。 自身の大事な故郷を漫画で描いていたのに、現実では崩壊している。著者の心中を思うと、察するに余りある。 人生、楽しさがある。 この

          【797回】高松美咲「スキップとローファー 10巻」

          【796回】渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」

          うつ状態では決して開けない。 置かれた場所で、何をどう咲かせろというのか。怒りが湧いてくる。 そして、咲かす気がない、力もない自分を責める。 でも、変わってきた。 咲かす咲かさないはどちらでもいい。 咲かせなければならないとも思わない。 自然と咲いてくれるでしょう。 やっと、渡辺和子の言葉と向き合えた。 今を苦しむ子どもたちが目の前にいたら、今をまず楽しんでほしいと願う。そのために何ができるか考える。 今が過ごせる子どもたちが目の前にいたら、どうする? むしろ、子どもたち

          【796回】渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」

          【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」

          牧師が、精神科の閉鎖病棟に入院する? 牧師、精神科、閉鎖病棟というあまりつながらないように見えるキーワードで構成された本。 著者と自分の共通点が身に沁みる。 すなわち、 という姿勢。もう20年以上前になる学生時代の自分。今は逆に、「他者」ではなく「ありのままの理想の自分に到達できない自分」を断罪し続けているのだ。 責める方向が他者か自分か。責めながら生き続けてしまっている。 仕事がうまくいっているときは、責める量が少なくなった、もしくは、うまく回避できた。責める癖はず

          【795回】沼田和也「牧師、閉鎖病棟に入る」