【810回】香山リカ「61歳で大学教授やめて、北海道で『へき地のお医者さん』はじめました」
香山リカ。
90年代か、ファミコン通信(ファミ通)で、「尻に目薬 目に座薬」という連載をされていた。
子ども時代の自分には、「なぜ、ゲーム雑誌に、精神科医?」と首を傾げていた。
しかし、人形の名前を使ったペンネームの印象は強く、僕の脳の中にその存在はすぐインプットされ、残り続けていた。
著作多数。大学の先生。精神科医。自分の意見をきっちり述べる人。
都会で活躍されている方よねえ。
それなのに、北海道で働くという。しかも穂別にいらっしゃる。
「えっ」と口を開けて、「なんで?」と口を閉じたのは覚えている。たぶん北海道新聞の記事を読んだ時ではなかろうか。
2,3回穂別には訪れた。むかわ町鵡川地区から、車で約1時間程度。山の中へ進んでいくと現れる静かな小さな街だった。ここに、あの、香山リカさん、いるの!?
そして、なんで、穂別に来たの?
手に取った本を一気に読んだ。
香山さんは奥尻に行くつもりだったという。ところが、行き先は穂別。
穂別を見つけた。
穂別が現れた。
人生、何が起こるかわからんものだなあ。
自分が興味のある人生になるように、意図的に必要な部品を組み合わせて、自分の道筋を作る。そんな人生なんて不可能なのではないか。
偶然とか、昨日発見できなかったのに今日になると気になってしまったとか。
香山さんの穂別との出会いは運命だ!という見方ができる。
目に入る意識が体に埋め込まれていて、見えてしまった。そんな自分の能力なのではないか、ともいえるな。
香山さんのお母さんの言葉、香山さんの行動。
そうか。自分もまだまだ、在り続けていけそうだな。
そうだ。
5月12日 北海道新聞朝刊。
香山リカさんの連載「香山リカ ふわっとライフ」にも、本書について触れている箇所があった。
ネット上に書かれた言葉は残る。
批判であれば、何度も見ることで、自身への攻撃感を強めてしまう。
だから、逆の言葉を残そう。
「ありがとう」
「ありがとう」
「ありがとう」
「この本に出会えて、ひとつの挑戦を体験させてくれて」
「そして、むかわ町穂別について、改めて教えてくれて」
「自分の人生はまだ先があると、一歩進みたくなる気持ちにさせてくれて」
ありがとう。香山リカさん。