スポーツの霊

全てのスポーツの祖は俺だ。
しかし、俺は歴史から葬り去られてしまった。
人類にとって俺は楽しすぎたのだ。
人類は寝食を忘れ、俺に没頭しすぎて一度滅亡している。

もう一度人類が登場し始めた時、俺は何者かに殺された。
そしてその何者かがつまらないスポーツを粗製乱造した。
オリジナルの顔をして。

どいつもこいつもやれサッカーだ、やれ野球だ。
なぜあんな俺の劣化版で盛り上がっているのか。
我慢ならない。
俺を参考にしたくせに俺の面白さが微塵も引き継がれていない。
ボールを蹴ったり投げたり打ったりして何が楽しいのか。
俺を楽しんでいた人類が見たら唖然とするだろう。

レベルが高いと言われている試合も結局はミスが少ない方が勝つというつまらないゲーム性。
ロボットのように効率的に動くのが有利になるとか人間としてどうなのか。
芸術的プレイという言葉を聞くが、どこが芸術なのか。
俺は芸術が頭を下げに来るレベルだった。

人類はスポーツについてもう一度考え直すべきだ。
勝つとか負けるとか考えてるようじゃ俺を超えることはできないだろう。
俺はまだまだ成仏できない。