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駅ピアノの前で、夜に。

人出の少ない夜の駅で、「駅ピアノ」の音が聞こえた。電車の発車時刻まで15分弱。今弾いている人が去ったら、あるいはチャンスかもしれない。私が弾くなら、人の少ない時がよく、今日のように人の少ない夜に駅にいることは、めったにない。機会としては、検討に値する。

先の人が去ってピアノは空いたが、飲料を買ったり手を洗ったり、ホームにまで移動する時間を考えると、時間的にやや微妙に思われた。さらに注意書きを見ると、弾く前に県の感染追跡アプリをインストールせよとある。厚生労働省のそれはインストール済みであるが、昨今は各県で同じようなアプリのインストールが求められる。インストールには2分もかからないと思うが、各県ごとにこの種の登録をさせられるのは面白くないし、この重複は行政の無駄そのものではないのか。(同じようなアプリを、47都道府県がそれぞれ個別に発注して、誰かの「友達」の業者が大儲けしているとは思いたくないが。)

時間はどうあれ、電車を1本遅らせることに問題はなかった。しかし、結局は弾かずにその場を後にした。新年、「新しい挑戦」という観点から弾いてみても良かったのだが、新年早々の「軽挙」を自重することが、日々の慎重さが求められる今の私には必要であるようにも思われたのだった。それにやはり、楽譜なしで格好よく弾ける曲が、実はほとんどないことが大きい。ピアノを趣味の一つと思ってきたが、まだまだ精進が足りない。今年は「駅ピアノ」を弾くことを想定して、練習に励みたい。

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