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※以下、映画「しあわせのパン」のネタバレを含みますので、ご注意ください!


「月とマーニ」

少年マーニは
自転車のカゴに月を乗せて
いつも東の空から西の空へと
走っていきます

ある日
やせ細った月が言うのです

「ねえマーニ、太陽をとって。
一緒にお空にいると、とっても眩しくって」

ダメだよ、太陽をとったら困っちゃうよ

「どうして?」

だって、太陽をとったら、君が、いなくなっちゃうから
そしたら、夜に道を歩く人が迷っちゃうじゃないか

大切なのは
君が照らされていて、君が照らしている、ということなんだよ

しあわせのパン


絵本の「月とマーニ」から始まる「しあわせのパン」という映画を観ました。かれこれ、10年くらい前の映画です。

この作品に流れているテーマは
“しあわせってなんだろう“

象徴的な「パンを分け合う」場面が、あちこちに出てきます。

月には
これからやって来るいのちや
空へと帰ってしまったいのちがあって
人生が連動して満ち欠けするシーンが散りばめられて

月が、優しく物語を進めてくれるのです。

物語は、人肌くらいの温度が、最初から最後まで設定されて
観終えると、じわじわと透明になっていくような感覚になります。

新年に、とても素敵な映画に出会えました。

しあわせってなんだろう


湖のほとりにある
Cafe Mani(カフェ・マーニ)には
りえさんのいれるコーヒーと
水島くんの作る焼きたてのパン
季節のお野菜の料理
そして、遠くからのお客さまが泊まれるよう
2階にはあったかいベッドが用意してあります

しあわせのパン

には
今まさに人生の夏を迎えている
若い失恋した女性がやってきて 夜中にわめき散らす
痩せた月の下で

幸せのかたちの輪郭を帯びないままに
幸せになりたいと踠いている、そんな時期が

には
奥さんが出ていってしまった家庭の
父と子がやってきて 一緒に泣く
夏より少しだけ太った月の下で

幸せってなんだっけ
わかったつもりでいたけど
わかっていなかった
人生の失敗もある、そんな時期が

そして
厳しいには
老夫婦がやってくる

もう妻の残された短い時間を止めてしまおうかと
吹雪いて月が見えない夜に

先に亡くなってしまった娘に会いにこうとする
十三夜月の下で

老いの困難さに負けそうになる
人生の総決算の季節
懸命に生きて、死ぬ

“今日も乾杯“と一日を締めくくれたらいい
満月の夜に

また
がやってくる
新しいいのちの芽生えとともに

幸せってなんなのか、まだ私にはわかりません
でも、私は決めました
水島夫妻のところに、生まれることを

しあわせのパン




この映画の舞台となった「カフェ・マーニ(Cafe Mani)」は、実在するそうなのです。

それは、北海道の洞爺湖近くにある「ゴーシュ(gauche)」というお店です。
HPからは、この映画の世界がそのままあるようにあるお店だと感じています。


「生涯発達」のことを、生徒にうまく伝えられないなぁと思っていました。
それは「しあわせってなんだろう」を、自分でも掴み取っていないことに通じているのだと思います。
この素敵な映画が伝えてくれる「しあわせ」と「私の生きる時間」。
私は、“しあわせ“を感じて、きちんと受け取れていただろうか。
商業主義の毒にやられて麻痺していないだろうか。
無理して笑っていないだろうか。
自分の時計は何時だろうか。
また生まれたいだろうか。

しあわせってなんだろう


もう少し時間がかかりそうです。



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