見出し画像

人間の真実

 人間は内臓、具体的には腸の損得で生きている。腸の損得とは、栄養成分が腸に入ってくるかどうか。この基準ですべての行動は決定されている。決定は完全に無意識に行われる。脳の実験で、意識が指を動かそうと決心した時点よりも0.5秒前にはすでに脳は活動を開始しているという事実がある。意識は決定がなされた後、あたかも自分が決定したかのように語るという役割を担っている。社長が決めたことを説明する広報みたいなものなのだ。決定しているのは腸である。それで、腸は、野生の生物であって(もちろん、身体全体として生きているのだが)、野生の思考をしている。生き延びるためにどういう判断が必要なのか、よく分かっている。意識のように、他人の言葉を信じたり、騙されたりするような愚かな存在ではない。すべての決定は腸が行っている。人生の大事な場面で、どうしてそういう選択をしたのだろう、と自分でも分からないことがある。しかし、冷静に、腸の立場に立って考えると、最も利益が最大になるような決定がなされていることが分かる。その決定は意識が信じる常識などには一切囚われていない。社会の法律も、ルールも常識も、野生生物には関係ないのだ。私の人生は、多くの人もきっとそうであるように、全く平均的なものではなかったが、すべて腸が決定していたと考えると腑に落ちることが多く、本当にぞっとする。

 人は過ちを犯すものだ。だが、それは意識で理解した場合の話だ。腸的には、内臓的には、「本当の自分」的には、良い選択をしているのだ。それは意識が関与できないところで決定されている。

 だが、意識は腸の決定をストップする権限はあるとされている。結局、意識は、決定を止めなかったということで、決定の責任をすべて負わされ、後悔し、反省し、悩み続ける運命にある。腸は、悩む仕事は体壁系の脳に押し付けて、ぬくぬくと生きているのだ。意識は悩むのが仕事だとも言えるだろう。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?