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40代になると独身は狂ってしまうと言う都合の良い人間の考え方について
Twitter上に「若者は結婚した方が良い。今ある趣味や健康は40代になるとなくなってしまうからだ。若いときには気づかないものなんだけどな」という内容が多々かきこまれることがある。
この手の言論はまとめブログやはてなブログでも何度か取り上げられたことがある。
私ズンダもこれに反対するものではない。
そのため、youtubeやTwitchで配信しているときも10代の若者に
「ゲームばっかしてないで、恋愛して、結婚した方が良いぞ!」と何度も力説してきた。
人生には年齢毎に「しやすい」ものがあるからである。
「今はこれが好きだからこれをする」といった好悪による選択ではなく、
損得勘定による選択をしたほうがいいのではないかという考えである。
この考えは私がやる「スプラトゥーン」というゲームについてしばしばのべているように、勝ちたければ「好きな武器ではなく、上から数えた方が早い武器を選ぶ」と同様の話である。
人間には常に時間や寿命などの目にははっきりとうつらないが、存在している制限があり、その制限を意識して何かを行う必要がある。
その甲斐があったのかしらないが、数年前まで恋人がいなかった視聴者も今ではほんの一部を除けば殆どの人たちに彼女がいるようである。
これは目出度い。
この調子で自分の配信の視聴者が皆婚できるように発破をかけていきたい。
ところでこの発言を繰り返して行う人物とその周辺によって広げられているのが
「老人のための社会保障が手厚すぎる」という批判である。
この老人が何歳なのか、国の取り決めによると高齢者は65歳以上かららしい。法的には老人が65歳あたりなのだろう。これも時代によって何歳を老人とするかは変わるだろうが、ここでは60代以降とする。
我々の多くが社会保険料を大量に天引きされていることは周知の事実であろう。
これにより若者は自由にお金を使えない。遊びや出会いなどが少なく、
恋愛結婚にまで発展する機会が減っている。また将来の子供や自分の老後資産形成もままならなくなる。
実際、恋愛や結婚はお金が重要な要素(他には上昇婚の問題がある)でるあることは間違いない。
当然、この「老人のための社会保障が手厚すぎる」に対して反発する人らもいる。
反対する内容で気になるものの一つに「自分がまだ若いからそういってるだけでは?」である。
これに対して老人批判者らの一部は次のように反論する。
若いから歳をとったときのことはわからない、というのであれば
破綻することがわかっている社会の問題に対処できないのでは?
確かに未来の自分の実感が、現在の自分にないからといって準備しないのはおかしい。
自分が人の親だとしてみよう。
子供が勉強をせずにずっとゲームや外遊びを繰り返していたら怒るだろう。
子の未来を案じてである。
残念ながら、ゲームや外遊びで金を稼ぐには運と技術が要る。
ここまでは別に問題はないようにみえる。
だが、次の発言をいっている人間がいうとなると、話はかわる。
「若者は結婚した方が良い。今ある趣味や健康は40代になるとなくなってしまうからだ。若いときには気づかないものなんだけどな」
この意見がさしていることは40代になると変わるということだ。
書いている本人は大概が30代や40代であろう。
自分がその年齢に至ってはじめて「後悔している」と懺悔しだすからだ。
つまり、この人達は60代や70代ではない。
となると、まず自分たちが老人ではない。
老人ではないから老人のことはわからない。
彼らが実感できるのは30代~40代の自分であり、60~70歳の自分ではない。
すると、彼らは「40代になるとなくなってしまう趣味や健康」についてはわかっていたとしても「60代以降」については何もわかってないことになる。
私はこの言論に思うのは、
「自分の今年齢よりも若かったときのことを後悔し、それについて何かいってるだけでは?」
ということだ。
これを今から「後悔言説」と呼ぶことにする。
この「後悔言説」は過去の年齢にしか適用できない。
非情に狭い、経験だけに基づく考えである。
いったいこの「後悔言説」とは何をいいたいのだろうか?
私ズンダはこの手のTweetがまわってくるたびに、これをありがたがってRTや引用RTをしている人たちはなんなのかとおもってしかたがない。
あなたがたの後悔、関心は貴方の年齢より前にしかないだけではないか?
あなたがたが更に歳をとれば、その後悔する年齢が更にあがるだけではないだろうか。
つまり、最終的に60代、70代を後悔する人間が誕生し、自分の言論に復讐されるだけなのではないだろうか?
正直、人間の未来がどうなるかなど誰にもわからないだろう。
しかし、人が死ぬという未来だけは確定しているし、人が歳をとり、病気になることもほぼ確定している。
明らかな事実は無視して「結婚はしといたほうがいいんだよな」だけを最重要視している理由はなんだというのか?結婚すると死ななくなるのだろうか?
これでは単に「自分は結婚できた。幸せだ。他の奴も結婚した方が良い。そして、まだ自分は60代とかにはなってないから、老後がどうなるかはよくわからないので、老人は批判しておこう」といってるようにしかきこえない。
その程度であれば、私的な経験でしかなく、人に広めたり、説教をかますほどの価値などない。ましてや、それで独身を憐れむなどというのは驕傲がすぎる。
しかし、老後がどうなるかは老人達をみていればわかるはずだし、本屋にでもいけばどういう状態になるのかもかいているし、何なら自分の祖父母をみていても当たり前のようにわかるはずだ。
すると、ここで判明するのは、
この人は
自分が経た年月、しかも最近気になっている《直近の事柄》に対して「後悔説」をふりまいているだけ
ではないか?
そして、それさえあれば幸福かのようにいいだすところも実に楽観的である。
いっておくが、私ズンダも何度となくブログでもだが、結婚はしておいたほうがいいという話はしてきたので、結婚をどうでもいいとは思ってない。
ここで述べたいのは彼の矛盾である。
つまり、
「若者はまだ若いせいで若さの価値に気づかない。だから結婚を軽く観ている」
という経験の不足ゆえの問題だといっている。
しかし、この理路でいくと
「40代はその若さゆえに60代や70代の問題点に気づけない。だから健康を軽んじている」
という経験の不足ゆえの問題に対抗できないはずである。
若者に結婚を勧める人たちはおそらく60、70になったときなんというかは予想できる。
「これだけ手厚い健康保険制度があってよかった。社会保険料も負担が多くてよかった。ありがたい」
といいだすだろう。
そして、次に
「30、40代のやつらは若いから、まだ健康のありがたみがわからないんだよな。その頃は、大した病気もしないから保険料が老人への分不相応な配分になっているとおもうんだよな。でもな、病気は必ずやってくるから、今のうちに貯金して準備しとかないとな!」
というだろうな!
読書案内
この問題について考えるための本を何冊か紹介する。
一冊目はコロナ禍における一部の医者への批判、そして死生観なき日本人への批判が主である。日本の医療はあまりに「過剰」ではないかと問う。
老人への嫌悪があると徐々にでてくるのは「安楽死」である。
要するに、老人が邪魔なのでどんどん安楽死させていけばいいのではないか?という議論が起こる。
この言論に反駁するのが本書である。
オランダやカナダなどの安楽死が導入されている国々の実態を暴き、安易な安楽死導入議論に釘をさした名著。
社会保障問題について総合的にわかる本である。2014年と少し古いが、今、Twitterインフルエンサーなどが述べている内容は本書に近い。
帯表紙に「ワニの口」とあるが、立場が違うと、「ワニの口とか真面目にいってた時代か」と思ってしまう。この辺りの財政的な考えも含めて問題提起している人たちと同様なので理解しやすいだろう。
「ワニの口」問題については以下を参照。
仮にこの立場にたつと問題なのは「財政」ではなくて、「リソース」があるかどうかという話になってくる。
今回、私は「後悔説」を批判したが、社会保険料がどうあるべきかは別に議論されなければならない。
Twitterをみるかぎりだと「リソース」の問題から批判している人もおり、それは私が批判した「後悔説」とは異なることを付記しておく。
この「リソース」の考えなどは以下を。
そもそも「結婚」ってそんなにいいものなのか?ついては以下。
私はこれをよんでも、やはり結婚はしておいたほうがいいと思う人間で、とりわけ男性の場合は独身者ほど孤独になりやすく、健康を保てないことがわかっているからで、未婚を選ぶ危険性が本書では語られてない。
未婚男性のしんどさに関してはすもも氏のを参照。
男性の生きづらさのケアに「男同士のつながり」は有効なのか?|すもも (note.com)
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