タマシイが抜けるコンビニの昼時。どんな仕事でも胸をはって。
処理能力を超えると、人は思わぬことをする。
ビルからサラリーマンがドッと放出される昼休み。
コンビニでは、スタッフが大忙し。
3台の電子レンジも、2台ある珈琲マシンもフル稼働。
「いらっしゃいませ。」
「レジ袋はご入用ですか?」
「お弁当あたためますか?」
「お箸は何膳お入れしますか?」
「スプーンはお付けしますか?」
「お手拭きは、お入れしますか?」
「コーヒーのサイズはいかがいたしますか?」
「ポイントカードはお持ちですか?」
「お会計は、そちらにタッチしてお願いします。」
「ありがとうございました。」
「いらっしゃいませ。」
今日は何度言っただろう。
のどがカラカラになってくる。
並んでいる列も長くなっているのが見える。
スタッフの処理スピードがあがっていく。
レンジの前での動き、カップを取る動き、FF(チキンなど)を取り出す動き。スタッフ同士、ぶつからないよう、じゃまにならないよう、カラダが自動的に動く。
だんだん、タマシイが抜けていく。
しゃべる自動販売機と化していく。
「ありがとうございましたぁ~!」
そう元気に言ったと思ったら
くるっと振り向き、電子レンジの扉を開ける。
何も入っていない電子レンジに向かって
「いらっしゃいませ~!」
あ・・・。レンジに「いらっしゃいませ」言っちゃったよ。
昼時ハイの状態になっている店長だった。
電話が鳴る。
「はい、お電話ありがとうございます。〇〇、◇◇店だと思います!」
「あ、あ・・・すみません。◇◇店です!」
え・・・「だと思います」って・・・本当はどこなんだって突っ込みたくなるよね。
落ち着いた時間帯にはタマシイが戻ってくる。
「昼間さぁ~」って言って爆笑大会。
自分では憶えていないことも、たくさんあるけどね。
***
世の中では「コンビニでも働けないのか」と言われることがある。
仕事の底辺のように思われることもある。
仕事に上下はない。
どんな仕事が素晴らしくて、どんな仕事が最低だなんてない。
仕事にはすべて価値があって、それをしてくれる人がいるから世の中が成り立っている。
どんな仕事でも、胸をはって生きて欲しい。
ありがとうございます。優しさに触れられて嬉しいです。頑張って生きていきます。