父を支えてくれた2匹のロン
今日はとても天気がよく、暖かい朝になった。
セロトニンがたくさん出るといいな、と、散歩。
陽の光をあびて、ゆっくり歩くと自然にニンマリしてくる。
傍らに、ロンがいればもっと楽しいに違いない。
ロンとは、ロンリーオブアトラクティブオーシャンJPというのが血統証明書の正式名称らしいシェットランドシープドッグ。
通称シェルティ。
最初に父が飼った犬だ。
コリーに似た、鼻が高くて毛が長い犬。
とても優しい目をしていて、おとなしかった。
生活に余裕などなかった父がなぜ、血統証明書付きの犬を飼う気になったのかは不思議。
たぶん、上目遣いの寂しそうなロンに相通じるものを感じ、連れて帰りたくなったのだろう。
ロンは、父の話し相手になり、外に出る機会と、生きがいを与えてくれたことだろう。
父が入院することになり、しばらく世話ができないため、私が引き取ることになった。
車酔いするロンをなだめながら、5時間かけて連れてきた。
新しい街を散歩しながら、ロンは何を考えていたのだろう。
私や、子どもたちはとても嬉しく、はしゃいでいたのを思い出す。
狂犬病の予防接種をした。
次の日の朝、冷たくなっていた。
父になんて言ってよいかわからなかった。
*
父が退院してしばらくした日、また、ロンを飼い始めたと知らされた。
同じシェルティかと思ったら、ミニチュアダックスとのこと。
「俺と同じ短足だ」
と、機嫌よく笑う電話の向こうの父。
名前は、ロン。 自然にそう呼んでいた。
初代ロンと同じく、おはぎや、プリン、飴など、甘いものでもなんでも、父が食べるものは一緒に食べていた。
ロンが一緒だと、父は外に出ることも多くなった。
ある日、ロンを連れて夜中にコンビニに買い物に行った帰り、車にはねられ亡くなった父。
一緒にいたロンも、即死だった。
一人だと寂しいから、一緒にいってくれたんだと思う。
むこうで、初代ロンと2代目ロンと、楽しくやっているだろうか。
今日のような天気のいい朝は、散歩をしながら、そんなことを思う。
ありがとうございます。優しさに触れられて嬉しいです。頑張って生きていきます。