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睡眠を学びながら気づいてしまったバス運転士のハードさ

「快眠セラピスト」という資格取得を目指し勉強している今日この頃。まだ勉強中だが、学ぶほどに、自分の仕事環境が睡眠の面でいかに過酷かを思い知らされてならない。
適応障害と診断され休職すること5ヶ月目の今となっては、どうして3年半も連続でこの環境で働き続けられたのかという疑問すら抱いてしまうほどだ。現段階で何を学びそのように感じているのか、以下に書き散らしていきたい。

睡眠時間は7〜8時間がベスト

よっぽどこんなに寝れない。週6で仕事をするとして、翌日が仕事の日でここまで寝られるのは週0〜2日くらいだろうか。現状、勤務終了から翌日の勤務開始まで8時間以上空けることが法で定められているが、8時間ギリギリしか空いていなければ、通勤時間20分として睡眠時間は最長6時間ほどだろう。この6時間という計算も、自分の場合なら以下の内容で計算してのことである。

仕事の合間に夕食を済ませ、帰宅して風呂にも入らず制服のまま寝て起きて出勤

帰宅してちゃんと食事や入浴をする人は(というかさすがに入浴はする人の方が多いと思う)だと睡眠時間は5時間とか4時間とかがざらで、中には通勤時間が長い人で3時間がデフォルトだと話す人もいた。こんなカツカツな中でメイクもする人は一体どのように頑張っているのか、自分には分からない。
ちなみに、勤務開始時間より早く出勤しないとその日に乗る車両の点検(場合によっては始発地への回送時間も)が間に合わないので、そもそもが実質8時間も空いていない。今後は法改正により、勤務終了から翌日の勤務開始まで11時間空けるようになるという話もある。実現すれば身体への負担は軽減されそうだ。しかし、1人1人が勤務時間の間を空けねばならなくなる分、人手が足りるのかは心配になる。現状でも足りていないのに。

歳をとると睡眠時間が短くなるというのは一般に知られていると思うが、これは自然で正常なことらしい。この事実だけを見れば、この仕事をしていると歳をとりたくもなってしまう。といっても、20代でも5〜6時間睡眠を続けているうちに長時間連続では寝れなくなるのだが。
心底ショートスリーパー(短時間睡眠者)が羨ましい。ショートスリーパーは1日6時間未満の睡眠でも問題なく活動できる人のことを指すそうだ。そういう人ならこの仕事でも睡眠時間はおおよそクリア出来るはず。

ストレスは不眠の元

では限られた睡眠時間をめいっぱい使って寝られるかというと、自分の場合はなかなかそうはいかなかった。
よく言われる「不眠」というのは、具体的には布団に入ってから寝付けない時間が30分から1時間以上続くことを指すらしい。今思えば自分も十分にこの不眠の条件を満たしていた。

不眠を引き起こす原因のひとつはストレス。
バス運転士はストレスと仲が良いと言っても過言ではないだろう。全長10m以上の車を繊細な動作で周囲の車の挙動をも読み込んで動かすだけで神経を使うのに、車内にも気を配り、場合によっては車内外問わず理不尽なことが起きても耐えねばならない。いや、耐えても理不尽なクレームが会社に入り会社が鵜呑みにして指導をしてこようものなら、会社に対しても耐えねばならない。
寝る前になると、クタクタになっているのに妙に神経がたかぶって寝られなくなっているのが自覚できる日も少なくなかった。気を紛らわすためにスマホを触りながら頭を空っぽにするのだが、寝る直前の電子機器の光も不眠の原因になる。仮にどうせ寝られないならいっそ風呂でゆっくりしようとしたとしても、風呂上がり後すぐに布団に入るのも不眠の原因になる。体がある程度冷めるまで寝られない。この状況下では、寝やすい環境は一体どのようにして整備できようか。

つまり、バス運転士はストレスが元凶となり不眠になりやすい職業なのではないか、と睡眠の勉強をしてみると感じるのである。

昼間に軽い仮眠をとると良い

人間には24時間のリズムだけでなく12時間のリズムも存在し、昼過ぎの眠気が来る時間帯に15〜30分の仮眠をとるとその後の活動が捗るらしい。
バス運転士は、拘束時間が長い日には何時間ものまとまった休憩が挟まっている日がある。3,4時間はよくあり、長いと6時間とか。その時間が慢性化した睡眠不足を緩和する有難いチャンスだ。

自分の場合は4時間の休憩があれば2時間は寝る。仮眠なんて生ぬるいことは言っていられない。元々発熱でもしない限り昼寝が出来ないタイプだった自分も、この仕事に就いて経験したことのなかったレベルの睡眠不足が続いたことで、強制的に昼寝のスキルが上がった。
ただ、しっかり寝てしまうと起きた時にしばらく寝起きのふわふわが続く。夜までふわふわしたまま走り切ったこともある。さすがに少し怖いので、長く寝る時には休憩が終わる1時間前にはアラームをかけるようになった。こうしてまた少し削られる睡眠時間が恨めしい。
ところで、昼寝のし過ぎも不眠の条件になるのだが、昼寝のし過ぎで寝付けなくなったことはない。一体どれだけの睡眠負債を抱えていたのだろう。

なお、軽い睡眠をとると良いとされる時間帯は交通事故も増えるというデータもある。勉強中のテキストには「この時間は運転を控えるようにしましょう」という旨のことが書いてあり、そんなの無理!とツッコんでしまった。実際にこの時間帯にウトウトしてバスで民家の塀に突っ込んだ大先輩も知っているので、気をつけようとは思う。

不眠はうつ病の原因になる

勉強していて今のところ最も心にグサッと来たのがこの文言だ。
バス運転士をしていれば多くの人が睡眠不足にはなる。睡眠不足になると些細なことでもストレスを大きく感じ、イライラしてしまう。その状況が慢性的に続き、ストレスが原因で不眠になれば悪循環だ。うつ病を引き起こしやすい環境なのもうなずける。
余談だが、不眠は生活習慣病の原因にもなる。睡眠不足になると食べ過ぎてしまうのが一因というだけあり、バス運転士になると大体太ると言われている。個人的には最初の1年で食事より睡眠を優先したらむしろ痩せすぎで不健康になったので、その後は食事もそれなり取るようにしたらどんどん体重が増えた。元々は「痩せの大食い」と呼ばれていたのに。

閑話休題、適応障害と診断される直前の自分を振り返ると、ストレスで「寝たいのに寝れない」状況がそれ以前よりも段違いに出ていた。当然疲れは溜まるので布団から起き上がるのにも普段以上に苦労しており、この頃に仮眠室で一緒に寝ていた同僚曰く「アラームが鳴ってからいつもの感じで起きていかなかったからおかしいと思った」そうだ。
ついに会社を休んだ日の朝、4時間しか寝られないまま夜2時半に目が覚めて寝付けなくなってしまい、初めて自分の心身の異常を感じた。考えてみるとそれまでの過去数週間の出勤日も朝の目覚めが異様に良かった。ところが、4,5時間しか寝ていないのにちょうど目覚ましのなる頃に気持ちよく起きられてラッキーと思っていて、異常だとは考えもしなかった。逆にいえば、異常な状態の方が仕事にちょうど良かったともいえて、冷静になってみると恐ろしい。

こうして異様に寝れなくなりつつも起き上がれなくもなり、トイレに行く以外は暗い部屋で1日寝て過ごしていた日々が数日。メンタルクリニックはその後に受診したので診断は適応障害となったが、もし予約が早く取れていたらうつ病と診断されていただろう。
不眠からうつ病になる過程を体感しているがゆえに、不眠、ひいては不眠に繋がり得る睡眠不足なるものの怖さが、勉強していてよくわかる。

現在、テキストの折り返し地点ほどまで勉強した時点で、自分がしている仕事がいかに無理のあるものかを知ってしまった。無論、一応法律で労働時間が定められているこの職業よりも更にハードな職業は少なくないはずだ。
日本人の睡眠時間は国別ランキングで世界一短い。睡眠時間の短さが解消される環境改善がなされるだけで、どれだけ心身の病気を患う人が減り働きやすくなることかと考えてしまう。
勉強を続け資格取得をする頃にはまた考えが広がるかもしれない。まだしばらくは仕事復帰できそうもないので、マイペースに勉強を続けて考えていくつもりだ。


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