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動かす力、固定する力
"しっかり固定して。"
「筋肉がウェイトを持ち上げる」
そうしないと、トレーニングにはなりません。
「筋肉がウェイトを持ち上げる」ためには筋肉が発揮した力がウェイトに伝わらなければなりません。
筋肉が発揮した力がウェイトに伝わる。
このためには何が必要でしょうか。
私は「固定力」だと考えています。
力強くて大きな筋肉を目指すトレーニーは、「動かす力」にばかりに囚われてしまいがち。
とにかくウェイトを動かすという気概、それは素晴らしいものです。ぜひ継続していただきたい。
しかし、ウェイトを動かすだけではいけない。動作のクオリティも磨いていくとさらに良い。
「動かす力」に伴う「固定力」を磨くことであなたのトレーニングレベルは飛躍的に向上するはずです。
ベントロウにみる固定力の重要性
今回は例として、ベントオーバーロウ(以下、ベントロウ)を考えていきましょう。
ベントロウは多くの人が行っている種目ですが、80%以上の人がフォームを確立できていません。(筆者調べ,テキトー)
ベントロウでターゲットとするのは広背筋。
広背筋は骨盤から始まり、上腕骨までつながっています。
筋肉が収縮すると、その端と端が近づいていきます。これはどの筋肉でも同じです。
つまり、広背筋が収縮すると、骨盤と上腕骨が近づいていくことになります。
以下の①②のシナリオを見てください。
①骨盤の位置が固定された状態で、広背筋がはたらくと前方にある上腕が身体の真横に戻ってくる。
②腕の位置が固定された状態で、広背筋がはたらくと骨盤が引き上げられ、腰が反る。
さて、ベントロウでは①②のどちらを行うべきでしょうか。
簡単ですね、答えは①です。
①では、負荷がかかっていない端の骨盤側を「アンカーとして固定する」ことで、広背筋の収縮力が、腕を引き上げる力、バーベルを引き上げる力に変換されます。
「広背筋がウェイトを持ち上げる」とはまさにこのことです。理想的な動作と言えます。
いっぽう、ベントロウで②を行うとどうでしょうか。
これは、バーベルを持って腰をヘコヘコしているだけになります。
このとき、広背筋は確かに収縮しています。収縮感もあります。
しかし、この方法では、負荷がかかっていない端(骨盤側)しか動いていません。これは「広背筋がウェイトを持ち上げる」ではありません。
全くもってトレーニングにはなりません。
当たり前ですが、筋肉を収縮ポジションに持っていけば「収縮感」を感じられます。
②のように骨盤側を動かしたとしても収縮感は感じられます。
チーティングを使って、トップポジションでだけ、筋肉の収縮ポジションを「掴まえ」たとしても収縮感は感じられます。
しかし、その収縮感は筋肉がウェイトを動かしたことの証明ではありません。
このことから、私は収縮感をトレーニングの指標にすることは危険だと考えています。
あくまで正しいフォームでトレーニングを実施した結果として、収縮感があるのです。
収縮感があれば正しいフォームで行えている、というわけではありません。
収縮感はあくまで正しいフォームの結果であり、それそのものに価値はありません。
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以上、ベントロウを例に「固定力」の重要性を見てきました。
そもそもベントロウそれ自体が非常に難易度の高い種目ですので、まずはデッドリフトで「負荷を保持しつつも安定したベントオーバーポジション」を確立する訓練が必要です。
これが私のいつも言っているところの基本種目の重要性であり、「ウェイトトレーニングの素養づくり」としてのBIG3の役割です。
今回例に出した②の動作のように全くバーベルを動かさずに腰をヘコヘコしている人はさすがに居ませんが、要はその程度の問題です。
どれくらい骨盤側が固定できているか、どれくらい骨盤側がバタついてしまうのか。
実際のトレーニングでは多少のエラー動作を許容しなければならないこともあります。ただ、あまりにヒドい動きを続けているとケガをしたり、そもそもトレーニング効果が低かったりするものです。
これを危惧して今回の記事を書きました。
以下のまとめだけでも持ち帰ってくれると嬉しいです。
まとめ
筋肉の一方の端をアンカーとして固定、一方を力強く動かす。こうすることで「収縮感」に惑わされない、「筋肉がウェイトを持ち上げる」動きが実現できる。
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