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「模倣と創造」によせて

今回は、図工やっていく上で読んでよかった本について。

【模倣と創造】 佐宗邦威 著

別の学校の図工教員に教えてもらった本なのですが、自分が図工を教えていく中で考えていた哲学の背を推してくれるような、とても刺さる内容でした。


大きな構成としては

・模倣

・想像

・創造

という3章に分かれていて、
【創造力は生まれ持ったセンスだ】という思いこみの人々に向けて、そうではないということと、

ではどうやって創造力を伸ばしていくのかが、イラストとともに、丁寧に書かれています。

そのように書くと、

ビジネスをアート思考で乗り切るみたいな指南書や、アート系の本と同じジャンルの棚に置かれそうですが、

これは、創造する、ということを軸に、どう幸せに生きるか、みたいなヒントの本=哲学書なんだと感じました。


別の記事でも書いたのですが、いまは図工にどっぷりつかった図工の教師なのですが、
大学では国語を学んでいたので、初任のころは、少し自信がありませんでした。

なので、美大出身の先生方に負けないように、劣らないように、

思いつく限りの自分にできることを社会人1年目から数年まで独学でやっていたのですが、偶然にも同じようなことが、クリエイティブな考えを持つためのこの本にも書かれていました。

※その頃のことを振り返って書いたのがこちらの記事


また、お金やフォロワー数など、外的な価値ではなく、クリエイティブな思考になることで、自分の中に価値を作り出して、それが幸せに通じる

というようなことも、この本には書かれています。

(他の記事を読んでいただければなんとなくわかるとおもうのですが)ぼくが図工を一生懸命学び、研究しているのは、まさに、この考えがこれからを生きていく上でとても重要になると考えているから。

外的な価値がわかりやすく世の中にあふれている中で、揺るぎない自分の中の価値を作り出すことが、どれだけ幸せにつながるか、そしてそれを軸に教育できるのが図工である、という実感。

つまり、自分にとってこの本は、決してビジネスの指南書なんかではなく、

暗中模索な過去の自分や、それを経て得た哲学を持つ現在の自分を

大丈夫、間違ってなかったよ」と肯定してくれる存在の本だったな、と。

「13歳からの〜」と書かれていますが、いわゆる中堅と呼ばれる世代で、この本に出会えてよかった。

このあとの図工教員としての人生を少し自信を持って進んでいける気がする。


この著者の佐宗さんが、多摩美術大学のチャンネルで、こちらの本でも書かれていたエッセンスをわかりやすく講義されていました。

合わせてリンクを貼るので、ぜひ、多くの方に見ていただきたい。

そしてできればこの本を読んでいただきたいな。


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