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【日本語と英語】ビジネス英語に滲み出る距離感の違い

この記事では、最近実際に目にしたビジネス英語を紹介したいと思います。

先日、海外のクライアントから次のようなタイトルのメールが届きました。

〇〇 Project Team Quiet Days


"Quiet Days"の意味を調べてみると、次のような訳が確認できます。

静穏日    by JST科学技術用語日英対訳辞書
静かな日    by Google翻訳

あと、アルクの英辞郎では『クリシーの静かな日々』という、1956年に出版されたヘンリー・ミラーの自伝的短編小説が載ってました。僕はまったく知りませんでしたが、この小説は1970年に映画化もされています。ちなみに原題は『Quiet Days in Clichy』です。
1930年代のパリを舞台に、新進小説家、前衛的な写真家、少女の3人の性と愛の日々を描く映画だそうです。


ちょっと話が逸れてしまいましたが、この"quiet days"は、ビジネスにおいて「閑散期」という意味で使われることもあります。
僕が所有している辞書やオンライン辞書では探せませんでしたが、「繁忙期」="peak season" or "busy season"の対義語としての意味となります。「閑散期」という意味で使えるフレーズには他にも、"off-season"や"dead season"などがあります。

ただ、今回僕が受信したメールの内容だと、それとも若干ニュアンスが違います。

メールの本文には、以下のような文がありました。

I would like to update you on our team's upcoming quiet days on Thursday, November 26 and Friday, November 27.
We look forward to providing full coverage again from the following week.

そして、上記の期間に対応できる業務と対応不可の業務が箇条書きで示されていました。
つまりこのメールは、社内の人員が一時的に手薄になる日についての事前連絡です。

僕の試訳だと、以下のような感じになります。

11月26日(木)、27日(金)は、弊社チームが対応できる業務に限りがありますので事前にご連絡いたします。
なお、週明けからはすべての取扱業務への対応が可能になります。

自然な日本語にしようとすると、どうしても質素でかしこまりすぎた文章になってしまいますね…。「ご了承ください」や「ご不便をおかけします」なども付け加えたくなるところです。笑

日本人の真面目さや誠実さも、ビジネスにおいては重要な役割を果たしているのは間違いないと思いますが、一方で、自分たちの業務が手薄になる日を「静かな日」と表現したり、すべての業務が再開することを「楽しみにしています」と表現したりというのは、ポジティブな印象があると同時に、ちょっとした遊び心が感じられて、個人的にはとても好きです。

リモートワークが増え、メールやメッセージ、チャットなどを利用したテキストでのコミュニケーションが急激に増えている今、ちょっとしたニュアンスの違いでコミュニケーションにおける"距離の近さ"が変わってくると思います。日本語としての不自然さや馴れ馴れしさが感じられない程度に"ちょっと距離感の近い"文章を意識して、相手に少しでもポジティブな印象を与えながらコミュニケーションが円滑になるように言葉を選んでいきたいと思います。

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