自分の持ちものの「整理」を続けていると、今まで辛かった「捨てる」という作業が楽しくなるという体験をしました。

家の中の「もの」の整理をしっかりやり始めてから2年後から3年後位に、「捨てる」という行為がそれまでは罪悪感だったのに、急に「嬉しいこと」に変わりました。
それは、「捨てる」ことに慣れたからではなく、ものの持ち方、買い物の仕方が変わったからです。

「整理」の最初は過去の自分の負債との戦いです。

片付けられなかった女だったわたしは、
安かった、可愛いと思った、毎年買ってるから、オシャレだと言われたくて 。
そんな理由でどんどんものを買ってきては、どんどん家の中で迷子にした。
「どこにいったかな、みつからないな、まあいいか、買ってこよう」
冬に着るインナーも、買ってきては無くし、買ってきては無くし、着たい時に見つからないと困るから、少しくらいボロになってても捨てずに残しておいた。
そうやって迷子のコの代わりを買ってきてはまた迷子にした。

そんな私が「整理の仕方」を教えてもらって家中の「もの」と向き合う事になった。

たくさんの
「迷子になったもの」
「使ってあげられていないもの」
「持っていることも忘れてしまっているもの」
これらは私の今までの悪事が招いた負債たち。

そんな負債と向き合うのは辛かった。
「使ってあげられなくてごめんね、私が悪かった。」心を鬼にしてそのコたちとお別れした。

お別れしたあと、その日整理したスペースは、少し光が当たってるような気がした。

くる日もくる日も心を鬼にする日が続いた。使われることなく地層と化したかわいそうな「もの」たちとの別れ。
別れるたびに、少しだけ空気が軽くなるのを感じた。

冬のインナーは同じ形のものが15枚くらい発掘された。きれいなものをチョイスして、4枚だけ残した。

家の中の「使っていないもの」を発掘するために、家中の収納庫の整理を少しずつ進めた。
収納庫の整理が1週した後、もう一周使ってないもの探しをした。
2周目は整理が上手くなっているのか、さらにものを減らすことができた。

わたしがくじけずに進めたのは「少しずつ」やったからだと思う。
少しずつだったから、過去の不出来な自分を見つめる辛い作業、「ものとの別れ」を頑張れた。いっぺんに沢山やろうとしてたらきっと辛くてくじけてただろう。
そうやって少しずつ頑張った場所は、見るのも嫌だった状態から、お気に入りの場所に変わる。わざわざその場所に行ってニコニコしてみたり、引き出しを開けるたびにテンションが上がったりした。

じゃあ、明日もほんの少しがんばろう。

そうやって一歩ずつ山を登っていった。山を崩していったの方が正しいのかも。


そうやって家中を整理した後は「もの」を買うのが嫌になった。
「使ってあげられなくてごめんね」
ものに謝りながら散々お別れをしたから、そんな経験はもうしたくないと思ったのか、ぱったり物欲が止まった。
なんでも欲しがってた私が、なにも欲しくないなんて不思議な体験だった。

そうしてなにも買わずに1年半から2年過ぎた頃に、転機がやってきた。

「このスカート、大好きで履きすぎてボロボロになってきたから捨てようかな」
その隣のスカートも色がくすんでたから一緒にさようならした。
「使ってないもの」を捨てるのではなく、それこそ昨日まで「使っていたもの」を捨てたのは初めての体験だった。

その瞬間

「あのコの代わりになるスカートを探さなきゃ、どんなコがいいかな」

急にやってくる物欲。
あのコの代わりだからうんと美人じゃないといけない。大好きって抱きしめてあげられるコじゃないといけない。
すごくすごく悩んで「家に迎え入れたコ」はとても可愛くて、クローゼットの中でピカピカ光ってた。

その日から、買い物が怖くなくなった。
新しいものを買った時は今まで使っていたものを捨てる。「今まで役に立ってくれてありがとうね」と思って捨てる。

「ごめんね」とあやまって捨てていた今まで。
「ありがとう」と言って捨てられる今。
ものは使ってこそ、役に立ってこそお互い幸せなんだなって実感できた。

今年はコートを買いました。
コートを買う基準は、2年後に捨てても大丈夫と思える価格のもの(背伸びしていないもの)で、他の服と喧嘩しない、ベーシックな色。
コートを買うときに「これでクローゼットのあのコートとはお別れ」と思いながら買い物しました。クローゼットのコと別れられないなら、新しいコートは買いません。

帰ったら古い方のコートをハンガーから外して、そのハンガーに新しいコートをかけます。
「いままでありがとね」
そのコートを着て出かけた場所が何箇所か思い浮かびました。今までわたしを暖かくしてくれてありがとう。

使ってるものを捨てるのは怖くないです。むしろ幸せ。
整理を始めた日は、こんな日が来るとは思わなかった。捨てるのってずっと辛いと思っていた。

買い物をしながら「帰ったらアレを捨てよう」と思うとワクワク。
帰る足取りが軽い。
捨てたついでに別のものも捨てたりする。「コレを捨てたらまた買い物ができるかも」と思いながら。

冬のインナーは、今年2枚買ってきて、去年来ていた2枚を捨てました。(そう、最初は4枚残したけど2枚で十分な事に途中で気付いた)

買うためには捨てないといけない。捨てられないなら買ってはいけない。たったコレだけのルールで「家の中のもの」の交通整理ができるまでになりました。

最初は辛い整理。でも、乗り越えたらハッピーが待ってます。

ほんとです。

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