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インハウスデザイナーってなにしてるの?

僕は受託系のデザイン会社でのグラフィックデザイナー兼営業を経て現在インハウスデザイナーをやっています。
受託系のデザイン会社の友人やフリーランスのデザイナーからはインハウスってならないほうがいいって聞くけど実際どうなの?という声を聞きます。
今回は受託系もインハウスもどちらも経験した僕の仕事内容から、インハウスデザイナーが良いのか悪いの参考にしてもらえれば嬉しいです。

インハウスデザイナーをざっくり紹介

インハウスデザイナーとは受託系のデザイナーと違って事業者内に所属するデザイナーです。
一般的なデザイナーという仕事の印象は、クライアントがいて、クライアントから仕事をもらってスポットで仕事を受注するという流れでしょう。
一方でインハウスデザイナーはクライアントはいないので外部からデザインを受注することはありません。主に社内の制作物をデザインするデザイナーです。かなりざっくりですが、そういう棲み分けになっています。

デザインで手を動かす時間より考える仕事が多い

では、さっそくですがどういう仕事をしているのか?という話に入っていこうと思います。
インハウスデザイナーのとき、受託系デザイナーのときの大きな違いはデザインをする時間が少ないということです。
ただし、ここでデザインといってしまうと考えたりすることもデザインの一部になってしまうので誤解がないように言うと…
インハウスデザイナーの場合はIllustratorやPhotoshop、AdobeXDやFigmaなどのデザインツールを使ってる時間は少なくて、考えたりする時間が多いという感じです。

手を動かしてデザインを作っている作業時間よりもデザインをどう作ったり、どうやってデザインを組み立てていくか、どうやってこのプロダクト・サービスを売っていくかデザイン、考える時間が大部分であるということです。

例えば受託系デザイナーの場合は「新商品はAという商品です。なのでこの商品を売るためにWebページと、ポスターを作成してください」とクライアントから依頼があります。

一方で、インハウスデザイナーの場合は「新商品の名前はどういうものが良いかな?どういうところで、何をして売っていけば良いか。コストや販売時期はどうしよう?」という段階からデザイナーが入っていることが経験上ほとんどです。
僕が以前健康食品・化粧品メーカーに居たときは商品開発段階でチームとして動いていたのでパッケージのサイズも、ダンボール1箱にいくら入るか、1パレットに何個詰めるか、までデザイナーが設計していました。

デザインはアウトソーシング

社内に所属するデザイナーは受託系のデザイン会社に比べてかなり少人数です。僕の経験上だと1人のときもありましたし、5人くらいの規模のときもありました。
しかし会社全体の制作物の制作をしないといけないためアウトソーシングをしながら制作物をどんどん作っていかないといけません。
その影響もあってデザインツールを使ってデザインする時間よりもディレクションやチェックする時間が多くあまりデザインする時間はありません。時と場合によりますが、1ヶ月間IllustratorやPhotoshopを1度も開かないっていうこともあります。

何でも屋?グラフィックデザインからプロジェクトオーナーまで

正直インハウスデザイナーってなんでも屋みたいなポジションになることが多いです。
先程も申し上げた通り、物流の観点も入れたパッケージデザインをしないといけなかったりする場合もあります。
たとえそれがWebデザイナーとして入社しても。
小さいものだと会社で使う名刺から、プロジェクトのオーナー業務までかなり多岐にわたります。
商品開発部に所属していたときはサプリメントの売り方から発案してプロジェクトを成功させないといけないという業務もありました。
え〜!そんなことやったことないよ。みたいな業務も数々ありました。

こんな変わったデザインの仕事がありました。

今までで変わった仕事だったなあと思う仕事を紹介します。

  • 会社のバッジ制作

  • 1パレットあたりの積載数を加味したパッケージデザイン

  • 16ヶ国語を使ったパッケージデザイン〜Webデザイン

  • 展示会のディスプレイ制作

  • 制服のデザイン

  • オフィスのインテリアデザイン

などなど…。僕がグラフィック・Webデザイナーとして入社したにも関わらずなんとなく社内ではデザインって言ってしまえば何でもできる人なんじゃない?というなんでも屋さんみたいな印象でした。
結局、僕もやったことないけどなんとかなるでしょ。と思って何でもやってたのも要因かもしれません。

発案からリリースまでが仕事

インハウスデザイナーの場合、仕事の依頼があることも多いですが多くの場合自分で仕事を作り出すことが多いです。
待っていても基本的に何も仕事がないっていうことも多いです。
事業としてもデザイナーにもとめているものは、自発的に事業成績がよくなるような発案をデザイナーに求めていることが多いです。

例えば会社のパンフレットが古いままになっていたり、アプリが使いにくいままになってたり…事業内にいると改善すべきものが大量にあります。
その中でどれを優先していって、発案していけば良いのかを判断してリリースまでして改善していくのが仕事です。

社長や部長など役職ある人の御用聞きみたいな仕事でもある

務める会社に寄りますが、会社によっては社長や部長とかなり距離が近いことがあります。
以前、会社の従業員数が200人規模の会社でしたがデザイナーが2人しかいなかったので基本的に会社の側近みたいなポジションでした。
社長がああしたい、こうしたいといったことを御用聞きしてデザイナーが社長が言ったことを解決していく感じでした。

以前、Webデザイナーだった僕に社長が「会社にある観葉植物をもっとキレイにして、玄関は見栄えのある大きい盆栽を置いてほしい」っていう依頼があったときはかなりしびれました。
レンタルの観葉植物の会社を選定したり……。社長の好みを探ったり……。なかなか大変でした。

インハウスは自発的、自走したい人にはおすすめ

インハウスデザイナーでやっていける人は自分で考えたこと、やりたいことだけじゃなく、事業をよくするために「仮設を立てて」「行動に移し」「結果を残す」ことができる人です。
結果は正直、数字でわからないところもあったりしますが、とにかく自発的に行動したい!自走して事業拡大を進めたい!どんどん会社をよくしたい!という人にはかなりインハウスデザイナーは向いています。
例えば、会社で定常的に使ってるアプリケーションや、表、システムをもっと効率的にできそう!と思ったりするタイプの人はインハウスデザイナーに向いていると思います。

やりがいはあるけれど…こんな人には向いてない

インハウスデザイナーに向いていない人も居ます。受け身な仕事の働き方がよくて、現状維持で安心するタイプです。
インハウスデザイナーの仕事は多岐に渡る上に事業の方向性は世の中の流れと同じくコロコロ変わっていきます。むしろ変わっていかないと世の中では衰退してしまいます。
何もかわらないように見えるマクドナルドや吉野家、ローソン、居酒屋チェーン。実は何も変わってないように見えて毎日すごい進化していっています。
そんなどんどん変わっていく方向性についていかないといけない、それを自分で仕事を作ってこなしていかないといけない。
それが苦痛な人にはインハウスデザイナーは向いていません。
むしろ、言われたことだけやってたいし、会社の業績にあまり関与したくない、安定的な収入があれば平坦でいい。そんな人にはインハウスデザイナーは向いていません。

インハウスデザイナーを続けたいか?

僕はデザイナーになった当初はデザイン会社を作って色々なデザインに携わりたい、そう思っていました。
それがデザインを受注するたびに、いや本当はもっと数字改善を追っていきたい。もっと事業に関わって自分の力も使って事業を拡大させてみたい。そう思うようになりました。
なのでクライアントとデザイナーというポジションではなくもっと密な関係になれるインハウスデザイナーになって今ではやりがいが毎日あります。
そりゃあ、大変なこともすごく多いですが、自分のデザインの力で目に見えて数値改善したときは喜びも大きいです。
インハウスデザイナーを続けますか?という問いにはYES!と答えます。それが今のインハウスデザイナーをやってる僕の答えです。

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