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ローカルコピーライターが会社を作るまでの約10年間、サバイブするためにやってきたことのほぼ全て

2021年12月20日にザツダン株式会社を設立しました。新潟、というか、おそらく地方都市ではちょっとめずらしい、コピーライティング専門の会社です。

2013年にフリーランスのコピーライターとして創業。最初の数年は思いつくことを手当たり次第やっていた記憶があります。その全てが功を奏したのかは分かりませんが、少しずつ仕事のご依頼をいただけるようになり、創業10年を目前にして次のステップに進むことができました。

初心忘るべからず。ザツダンがここまで歩む中で試してきたトライアンドエラーを書き出してみたいと思います。独立したばかりの方や今後の独立を考えている方は、何かヒントが見つかるかもしれません。

【1】名称(屋号)をつける

フリーランスで仕事をする上では、個人名がそのまま屋号みたいなものなので必要ないと考える方もいるかもしれません。でも、私は屋号をつけることをおすすめします。なぜなら、ちょっと会社っぽくなるから。拍子抜けするような理由ですが、これ本当なんです。初対面で挨拶をするときに、「個人名のみ」で名乗るか「屋号+個人名」で名乗るかで、印象がだいぶ変わります。日本ではどうしても企業に所属している方が信頼される傾向にあるので(例:カードやローンの審査など)、個人名の前になにかの組織名がつくと、自己紹介の安定感が増します。たまにせっかく屋号をつけているのに積極的に名乗らないフリーランスの方がいますが、もったいないと思います。名前は使えば使うほど、知っている人が増えて、名前の価値と力が増していくからです。僕は独立したての頃、電話で「ザツダンの横田です」と名乗ったら、仏壇屋さんに間違えられたことがありました。苦笑い。でも、今じゃ聞き間違われることがなくなりました。ザツダンの横田ですと名乗り続けてきた成果だと思います。


【2】ホームページを作る

「新潟 コピーライター」で試しに検索をかけてみても、個人名が見当たらない。これはチャンスかも知れないと考えました。とにかく新規開拓をしなければゲームオーバーという状況だったので、検索した人を一人も逃したくありません。そこで必要なのがホームページ。ですが、最初の頃はお金がありません。無料サービスを使ってブログを開設し、暫定的なホームページとして運用しました。今だったらWixやJIMDOを使うでしょうね。余談ですが、ブログ記事はほぼ毎日更新していました。まだ紹介する実績もそんなになかったので、その日の活動記録をつけていましたね。

◯打ち合わせ×2件
◯写真キャプション×10本
◯ネーミング×1本
◯取材テープ書き起こし(取材時間:約30分)
◯上記からの原稿ライティング(約500文字)

↑こんな感じで。少しでも忙しそうに見えたら、仕事ができると勘違いした人が依頼をくれるんじゃないかと思っていました。


【3】SNSもやる

発見される確率を高めるという意味ではSNSも重要です。Twitterから依頼をいただいたこともありますし、Facebookの「知り合いかも」は人生の予告編なんじゃないかと思うくらい、その後の人間関係に繋がったことが何度もあります。コピーライターのようなニッチな職能は、出会った時にニーズがなくても、ある日「あ、あいつに頼んだらいいじゃないか」というタイミングがやってきます。スムーズに思い出してもらえるように、日々の投稿で記憶の中の「何となく知っている人の箱」に入れておいてもらうことも重要なんじゃないかと思います。


【4】ユニットを作る

創業から約1年後、同じく新潟でフリーランスのコピーライターとして活動していた小池杏子を迎えました。雇用関係などはなく、二人の個人事業主が屋号を共有する形でした。仕事も基本的には自分に依頼が来たものを、そのまま自分ひとりで担当。協力するのは、作業量が多い案件や、様々な角度からの切り口が必要な案件。ですがその場合も、請求書を発行する外注スタイルです。ではなぜユニットの形を取ったかというと、ひとりでやるよりも差別化が図れると考えたため。「新潟のコピーライター」というだけで数が少ないのですが、「新潟のコピーライターのチーム」となるとさらに希少性が高まる。当時、新潟ではコピーの価値への理解が今以上に広まっていなかったので、「コピーライターのチームがある=それだけコピーの仕事がある」というある意味で逆算的なブランディングが必要でした。それに、もっと現実的な面では「名刺を配る枚数が2倍になる」というのもあります。小池も僕も「ザツダンの◯◯です」と自己紹介するので、2人分の速度でザツダンの知名度が上がっていくというわけです。これも地味に効果があったように思います。

ちなみに小池はザツダン株式会社には参加せず、「COTO COPY WORKS」という屋号で新たなスタートを切りました。今も頼れる外部パートナーとして、色々な場面で助けてもらっています。

【5】地元で活躍するデザイナーに連絡を取る

新潟では、たくさんのグラフィックデザイナーやWebデザイナーが活躍をしています。彼らがデザインの仕事をする中でも、言葉(コピーに限らず文章全般)が必要になるはず。しかしクオリティの高いテキストを制作できるプレイヤーの数は少なく、デザイナー自身がライティングまで手掛けていることも珍しくありません。売れっ子のデザイナーほど、デザイン以外の業務は外注したいと考えるのは自然なこと。闇雲な飛び込みでクライアント開拓を試みるよりも、デザイナーにアプローチをしたほうが確度が高い営業活動ができるのではないでしょうか。ただし、相手にとってのメリットを提示できなければただの時間泥棒になってしまいます。「こいつと組むといい仕事ができそうだな」と思ってもらうための準備をした上でアプローチをするようにしましょう。


【6】デザイナーの団体に入ってみる

知り合いのデザイナーから「新潟アートディレクターズクラブ」という団体の存在を教えてもらいました。地元のアートディレクターやデザイナーが集まり、その年の優れたデザインワークに賞を与えたり、デザインの価値を社会に発信したりする活動をしています。コピーライターも入会可能だったので、私も一時期会員になっていました。たくさんのデザイナーやデザイン会社とのつながりを持てただけでなく、いろいろな人のデザインの特徴や強みを学べたことも大きな収穫でした。


【7】コピー以外の仕事も断らない

自分の存在を知ってくれる人が増えてくると「コピーの仕事ではないけど、これできない?」と声をかけてくれる人が出てきます。やったことがない仕事には不安がつきまといますが、せっかく開きかけているドアをわざわざ閉めるのはもったいない。また、プレイヤーの数が多くないローカルにおいては「相談したら何とかしてくれる人」はありがたがられます。「やったことはないけど、やらせてください」とまずは受けてみる。やり方を考えていく中でいい方法が見つかるかもしれないし、未来の営業品目になるかもしれない。どうしてもうまく行かなかったとしても、その原因を自分なりに分析して報告する。頼んでくれた相手も、専門家じゃない人に頼んでいることは分かっているので、それ自体がチャレンジだという自覚はあるはずです。その期待に誠実に応えていくことが、明日をつくる鍵になることは間違いありません。


振り返ってみると、なんと不器用で泥臭いことか。でも、会社を作った今、この不器用さと泥臭さを思い出さなきゃいけないなーと感じていたりします。


ザツダンのWebサイトもよかったら見ていってください。


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