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超動くマンカラ番外編:カラハ一人勝ち問題(1)~連続して連なる穴々

2022年から、シリーズで書いています「超動くマンカラ」の枝分かれです。

以前にnoteした「カラハ一人勝ち問題」に関連する記事はこちら。

独立最初の話題、はじめます。

……あ。
念のため、そもそも「マンカラとは?」という方は、Wikipediaとかいろいろ調べてみてください。

連続して連なる穴々

「カラハ一人勝ち問題」とは、「続・ひとりマンカラ・カラハの数列」で名付けました。
マンカラの1つカラハ(Kalah)の追加アクションによって、一気にたくさんの石を得点してしまう配置を考えてみることです。
どのようなことかは「ひとりマンカラ・カラハの数列」で書きました。

と、前置きして。

まず、石1個から18個までの配置を列挙します。
無限に穴がある盤面を考えるので、実際は右側に延々と0(石0の空の状態の穴)が続きます。
そこは(省略しないと書ききれないので)省略します。
※左側:石の合計、右側:盤面の状態(以下、同様の表記)

 1:1
 2:
 3:12
 4:13
 5:113
 6:0024
 7:1024
 8:224
 9:1224
10:1135
11:11135
12:000246
13:100246
14:20246
15:120246
16:13246
17:113246
18:0021357

盤面の1番左側に、大穴があります。
その大穴から、1番近い穴が「空(つまり石0個)」で、さらに続けて隣の穴も「空」である「0」を太字にしています。
すると、

1番近い穴が「空(0)」…盤面の石が偶数個のとき
1番近い穴2連続が「空空(00)」…盤面の石が6個、18個のとき
1番近い穴3連続が「空空空(000)」…盤面の石が12個のとき

となっています。
ん?なんか繰り返しっぽいかも知れません。
さらに石の個数を増やしていくと、4個連続の「空空空空(0000)」も見つかるかも知れません。
調べてみると、石60個のときにあらわれます……予想外なかたちで。


60:00000402468101214

ひとつ飛ばして、5個連続の「空空空空空(00000)」、登場。


連続して連なる穴々の周期性

まずは落ち着いて。
落ち着いた。
振り返ります。

1番近い穴が「空(0)」…盤面の石が偶数個のとき
1番近い穴2連続が「空空(00)」…盤面の石が6個、18個のとき
1番近い穴3連続が「空空空(000)」…盤面の石が12個のとき

これらに、なにか繰り返しっぽさが見えたわけですが、実際繰り返しています。
「空(0)」は、1、0、1、0、1、0、………となっています。
2回に1回、同じ数字が出てきますので、周期が2である、とします。

「空空(00)」の場合。
あらためて、石1個から石12個の配置(右側にもいくつか「空(0)」を知登場させて揃えます)を見ます。

 1:100000
 2:020000
 3:120000
 4:013000
 5:113000
 6:002400
 7:102400
 8:022400
 9:122400
10:011350
11:111350
12:000246

太字の数字を抜き出し並べると、

10、02、12、01、11、00、10、02、12、01、11、00

ですが、6個ごとに折返してみると、

10、02、12、01、11、00、
10、02、12、01、11、00

となって、一致します。

1番近い穴2連続が「空空(00)」…盤面の石が6個、18個のとき

ではなく、

1番近い穴3連続が「空空空(000)」…盤面の石が12個のとき

も含めて、

1番近い穴2連続が「空空(00)」…盤面の石が6個、12個、18個のとき……つまり、盤面の石が6で割り切れるとき

です。
言い換えると、周期が6で繰り返しています。

そうすると、「空空空(000)」の場合は、

 1:100000
 2:020000
 3:120000
 4:013000
 5:113000
 6:002400
 7:102400
 8:022400
 9:122400
10:011350
11:111350
12:000246

太字を抜き出して、並べた

100、020、120、013、113、002、102、022、122、011、111、000

の周期12で繰り返している、と見て取れます。
まあ、実際、そうなっています。


続・連続して連なる穴々

そうすると、5個連続の「空空空空空(00000)」は、周期60で繰り返すことになりそうです。
実際そうなのか。
60ごとの区切りで、石120個、180個、240個……の配置を見てみます(穴に石10個以上あるのは確定なので、右側をカンマ区切り表記を変えます。さらに盤面はどんどん長くなるので、半角にします)。

  60:0,0,0,0,0,4,0,2,4,6,8,10,12,14
120:0,0,0,0,0,1,7,4,8,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19
180:0,0,0,0,0,5,7,6,2,6,10,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23
240:0,0,0,0,0,2,6,7,5,0,4,8,12,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27
300:0,0,0,0,0,6,6,0,8,5,11,4,8,12,0,2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30
360:0,0,0,0,0,3,5,1,1,9,5,11,3,7,11,15,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33
420:0,0,0,0,0,0,4,2,4,3,11,6,12,3,7,11,15,0,2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24, 26,28,30,32,34,36

はい。
見事に5連続の「空空空空空(00000)」です。
といいつつ、石420個の配置は6連続の「空空空空空空(000000)」です。

では、6連続の「空空空空空空(000000)」の先、石420個のさらに420個増やして、石840個の配置を見ましょう。

840:0,0,0,0,0,0,0,3,7,5,9,10,8,3,11,2,8,14,0,4,8,12,16,20,24,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43,45,47,49,51

6連続の「空空空空空空(000000)」どころか、
7連続の「空空空空空空空(0000000)」でした。


続・連続して連なる穴々の周期性

まずは落ち着いて。
落ち着いた。
振り返ります。

大穴からみて一番近い穴とその隣接した穴の状態が、

1連続「空(0)」 …… 周期2
2連続「空空(00)」 …… 周期6
3連続「空空空(000)」 …… 周期12
4連続「空空空空(0000)」 …… は飛ばして
5連続「空空空空空(00000)」 …… 周期60
6連続「空空空空空空(000000)」 …… 周期420

がわかりました。
この流れから

7連続「空空空空空空空(0000000)」 …… 周期840

も推測できます。
これら周期の数字を並べると、

2、6、12、??、60、420、840

です。
なにか規則性があるのでしょうかね。
それとともに気になるのが、4連続「空空空空(0000)」の場合です。
これは「ない」と考えていいのか……ですが、ほかの考え方があります。


一緒。

4連続「空空空空(0000)」の周期が5連続「空空空空空(00000)」と周期60で重なっている、です。
仮として、この考えを受け入れると、

2、6、12、60、60、420、840

となります。
より奇妙な数列になりました。
では、調べてみましょうか。
このシリーズでは(というか、1回目なので枝分かれ前の話ですが)お馴染みの「オンライン整数列大辞典OEIS( The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences)」です。

……流石です。
ありました。

A003418「Least common multiple (or LCM) of {1, 2, ..., n} for n >= 1, a(0) = 1.」

1, 1, 2, 6, 12, 60, 60, 420, 840, 2520, 2520, 27720, 27720, 360360, 360360, 360360, 720720, 12252240, 12252240, 232792560, 232792560, 232792560, 232792560, 5354228880, 5354228880, 26771144400, 26771144400, 80313433200, 80313433200, 2329089562800, 2329089562800,……

A003418は、「1から数えて2、3、…と連続した数字の最小公倍数」です
(実際は、0から(ただし、数列の数字は1とみなして)始まっています)。

たとえば、3連続「空空空(000)」の周期12と、A003418では1、2、3、4の最小公倍数にあたる「12」と一致します。
連続と、1からの最小公倍数だと数がズレて具合が悪いのですが、大穴の数も数えて辻褄をあわせましょう。

さて、そうすると。
8連続「空空空空空空空空(00000000)」が登場する配置は、9連続「空空空空空空空空空(000000000)」と重なって、石2520個のときにあらわれる、ということです。

本当に?



2520:0,0,0,0,0,0,0,0,0,1,11,12,4,2,10,15,17,16,12,5,17,6,16,1,9,17,25,4,10,16,22,28,0,4,8,12,16,20,24,28,32,36,40,44,2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76,78,80,82,84,86,88

ほんまや!

ぜひ、石2520個を用意して確かめてみてください。

ちなみに、こうなると10連続「空空空空空空空空空空(0000000000)」、11連続「空空空空空空空空空空空(00000000000)」が登場する配置は石27720個になります。

正直、確かめる気、「空空空空空空空空空空空(00000000000)です。

締め


第1回目から本編以上に結構なボリュームなnoteとなりました。
石840個の配置とか石2520個の配置とか、サラッと出しましたけど、「カラハ一人勝ち問題」の数列をあげた表みたいなものは、OEISでも数十項程度で、それ以上となるとネットにもリアルにも転がっていないと思います。

なので、表計算で石2520個まで作りました

番外編の次回は、その話にします。

では。


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