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1年前「青森ドブル」と揶揄され、挫折したカードゲームが、一念発起で世にでた『あおもりアッテラ!』になったことを、改めて紹介してみる。

この記事は、ボドゲ紹介02 Advent Calendar 2020の17日目の記事として書かれました。

はい、どうも。
珍ぬと申します。
ここ1年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれ90本くらい書いています。
よろしくお願いします。

ADVENTERの前回、16日目はkobaさんが、マンカラ系ゲームの1つ「トグーズ・クマラック」の紹介でした。
ゲームで使う石の数が150以上あるって、どういうこと?

さらに、姉妹ADVENTER「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2020」もあります。
16日目は、おしょうさんが『ブラス:バーミンガム』のキーパーソンについての紹介でした。
キーパーソン、素晴らしいワレスバカっぷりです。

17日目はおべべ????さんの、「店員さんのオススメのゲーム教えてくださいよ」です。

では、本編はじめます。


なぜボードゲームを紹介するのか?

はい、いきなり根本的な質問です。
なぜでしょうか。

プレイヤーがいないと遊べないから仲間を増やしたいとか、ゲームのルールや世界観が好きだからとか、推しのゲームデザイナーだから薦めたいとか、初めてプレゼントされたゲームだからとか、様々でしょう。

私的な解釈になりますが、別の言葉に言い換えると、

このボードゲームを応援したい

となると思います。
場合によっては、「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2020」で2日目のぼーずさんのように、クソゲー扱いからのドンデンラブコール的ツンデレをかます高難度な応援もあります。

今回、応援したいボードゲームは『あおもりアッテラ!』です。

実はすでに、『あおもりアッテラ!』、その前身の『チーキィ』については何度かnoteに書きました。

また、改めて書くことにしたのは、やっぱり

ADVENTERを見る人って、
たくさんいるよね。

そういうことです。
特に不特定多数のボードゲーム好きの目に触れる機会ですし、いまだとある事情をよく知らない方も多いでしょう。

特に後者。
背中をおされたツイートがありまして、

これはとくにショックではありませんでした。
ただ、このあとのスレッドのツイート

に、なるほどなー……と思いました。

ごめんなさい。
開発したデザイナーは前作と同じ
はちつぶさんもなんです。

……って、なんで自分が謝るのかよくわかりませんが、そういうことなのです。

ただ、再出発の際、カードの構造やルールなどの開発はちつぶさんともうひとつ加わった企業がありました。
おそらくそのプラスワンのことをさしているのでは、と解釈します。

……ちょっと話が先に進みすぎました。

改めて時系列を遡って、1年前に起きた騒動からはじめます。


クラウドファンディングを取り消す事態

ゲームの開発者などが商品化するために、応援者から資金を集めるプラットフォーム、クラウドファンディングがあります。

2019年10月に、『あおもりアッテラ!』の前身にあたる『チーキィ』というカードゲームで、クラウドファンディングを立ち上げました。
ところが、炎上してしまいます。
そのへんの詳しい事情は、Table Games in the Worldでニュースとして取り上げられました。

結果、開始数日でクラウドファンディングを自らキャンセルすることになりました。
言い換えると、

応援される舞台から自ら身を引く

選択を取りました。

この騒動に関して、Twitterなどであがった、主な意見・批判は、
・「ドブル」の構成をそのまま使っている。
・「トランプ」と「ドブル」の組み合わせで特許を取ろうとしている。
・オリジナルの作者の権利を無視していないか。

などです。
その一方、疑問もありました。

逆に応援する人の声って、なんで見つからないのかな?

実際、あったかも知れませんが、本当になかったかも知れません。


じゃあ応援してやろうじゃないか

クラウドファンディングを取り消したあと、はちつぶさんは、『チーキィ』をさらに良くして再チャレンジすることをTwitterなどで表明していました。

ならば、応援しようじゃないか。
といいつつも、青森八戸までで向かうわけでもないし、リモートするわけでもなく、

リメイク『チーキィ』に向けて、
なにかプラスになる情報を渡そう

そういうことで、こんな記事を書きました。

ところで、なんで応援するのか?
単なる判官贔屓、ではありません。
それは、上にあげたnoteにも、12月10日に「Board Game Design Advent Calendar 2020」向けに書いた記事、

にあるGame Systemと関わります。
なんだかんだ言って、

トランプとドブルを合体させたコンポーネントが欲しい。
正直言って、おのれの欲望や
こんな面白いことを止めたやつ、誰やーーーーーー!
それ、ハンドヘルドコンピュータと携帯電話を合体させた
スマートフォンはパクリじゃん、と言ってるのと同じや。
お前ら、スマホ使うなーーーーーー!

というのが心の叫びです。

【お詫びのテロップ】
我欲バリバリに
取り乱した発言があったことを
お詫びいたします。

年明けのサプライズ

その後、『チーキィ』の進捗がなんだかんだあるのかというと、なにもなく2020年となりました。

ところが年明け早々(1月上旬)、面白い事が起こってしまいました。
その内容は、以下のnoteを読んでください。

この記事にも書きましたが、再チャレンジはかなり順調に進んでいるようです。
開発中の写真を見ると、

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右上のカードがわかりやすいと思いますが、アイコンの数が4個に減っています(「ドブル」は8個なので半分)。

ドブル

あきらかに「ドブル」離れをして、オリジナルゲームに向かっていました。
そのへんの時期の様子、気になったので

『あおもりアッテラ!』事務局に質問してみました
(回答して頂いたのは事務局の佐々木さんです。
お忙しいなかのご協力、本当にありがとうございます)。

質問:
クラウドファンディングをキャンセルして、「ドブル」と異なる構造にしましたが、いつ頃かたちになったのでしょうか。
また、その構造にいたったきっかけは何だったのでしょうか。
回答:
あおもりアッテラ!の構造が完成したのは今年の2月でした。
きっかけはやはりクラウドファンディングでの反応でした。
ドブルのルールではいけない。しかしシンプルな絵あわせカードゲームであること、トランプの要素があることというコンセプトは崩せない。
そのような制約の中で、再開発がスタートしました。
構造の基本となったのはトランプの13×4の構造でした。
そこから発展させて、現在の形になりました。きっかけがあったというよりは、辿り着いたというイメージがあります。

ということで、さらにひと月以上検討して、完成したようです。

………あれ、「ドブル」のアイコン数は57種類。
もしかして、アイコン数減ってない?

質問:
『チーキィ』では、アイコンを57種類用意したと考えます。『あおもりアッテラ!』は52種類なので、5種類不使用になったと推測します。
その5種類があれば、どんなものかお教え頂けますか。
回答:
「チーキィ」のクラウドファンディングの際に公表したものでいうと、
「アスパム(青森市)」「青森県の形」です。
「青森県の形」は現在ジョーカーで使われています。
その他のアイコンについては、外した自治体に申し訳ないので非公表とさせていただきます。

貴重な裏話。
ちなみにアスパム(青森県観光物産館)はこちら。

アスパム

個人的な第一候補のアイコンは、

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つゆ焼きそば(黒石市)でした。


ところで、ゲーム開発ははちつぶさんだけではありません。
完成した『あおもりアッテラ!』の箱裏をみると、

東北のデザイン社

という表記がありました。

質問:
『あおもりアッテラ!』の開発に、東北のデザイン社が加わるようになったのは、いつ頃でしょうか。
また、そのきっかけは何だったのでしょうか。
回答:
東北のデザイン社さんは開発当初から、グラフィックデザインの担当として携わっていました。
構造の開発に参加されたのは2019年12月ごろから。
依頼をしたというよりは、打ち合わせの流れで、一緒に開発していきましょうとなりました。

冒頭に書いた「開発に加わった企業」とは、東北のデザイン社のことでした(ちなみに『チーキィ』の開発開始は2019年4月ごろ)。


完成から発売までの長期スパン

カードのアイコン構造も決まり、オリジナルのゲームルールもできたので、春に発売予定でした。

ところがその後、なんの音沙汰もなく半年以上経過しました……。
……が、10月1日に、はちつぶさんから

えっ!?ついに?

ついに1年越しでの完成&発売です。
これだけ遅れたのは、おそらく新型コロナの影響だろうな……そう思ったのですが、

質問:
当初、2020年春発売の予定でしたが、延期になりました。
新型コロナなどの影響はあったと思われますが、遅れた理由は何だったのでしょうか。
また、延期から発売までのあいだは、何をしていましたか。
回答:
遅れた理由は「箱」です。
当初制作していた箱では強度が不足していたため、店頭に並ぶ前に変形してしまう恐れがありました。
新しい設計図で制作できる業者さんを探していたのですが、過去に類似商品がないこの三角形の紙箱を
実現してくれる所がなかなか見つからず、発売を遅らせることになりました。
(ブリキ缶ではあったのですがコストがあいませんでした。)
幸いなことに、青森県内に一から設計図を見直してくれるという業者さんが5月に見つかり、
10月10日の販売を目指して進むことになりました。
ちなみに発売日の2020年10月10日は、数字が揃っている感じが絵あわせゲーム的だなと決定しました。

意外な回答!

箱だってさ。

確かに、あの三角形のカードにフィットしつつ軽くて丈夫なつくりをしていたので、ただものではないと思っていたのですが、販売予定が遅れてもこだわりにこだわったたプロダクトだったとは。

その話を知って、この紹介記事を書く前に箱のこと書きてぇぇぇ、と心動かされて結実したnoteがこれ。

箱問題も無事解決して、

『あおもりアッテラ!』2020年10月10日
ON SALE

とあいなったわけです。
ただ……あまりというか、ほとんどの人が

1年前のことを忘れてれるんじゃないかってくらい
(騒いだ人も)反応が薄いよなあ……

印象がありました。
このへんは再チャレンジの期間に、中途経過など定期的なアナウンスをしていたら違っていたかも知れませんね。

ちなみに、Table Games in the Worldさんは、Twitterで取り上げていました。


2重の意味で未完成なので、応援しがいがある

さて、自分はどのような態度をとるつもりだったのかというと、

発売されてから応援しよう

でした。
もの(プロダクト・製品)の開発には口出しはしない。
できてから、ああだこうだと色々書くつもりでした。

というのも『あおもりアッテラ!』は2重の意味で未完成のボードゲームなのです。

まず1重目は、ゲームのジャンル
何度も書くのでくどいのですが、「Board Game Design Advent Calendar 2020」の10日目でも書きました「Game System」になります。

『あおもりアッテラ!』には、説明書に3つのゲームルール(「あおもりアッテラ!」「あおもりオデベラ?」「あおもりネッテバ!」)が書かれています。

しかし『あおもりアッテラ!』は、トランプのように新しいゲームを創発できる

汎用コンポーネント(おもちゃ)

でもあります。
なので、どんどん新しいゲームを作って応援するということができます。

既存のボードゲームでも、既存のルールに沿ってのファン拡張など追加のルール・コンポーネントを作って応援することができます。
ただし、Game Systemの場合は、ほぼルールも追加コンポーネントもなんでもありの世界です。

実際、トリックテイキングゲームを作ったり、

紙ペンゲームをつくってみたり、

箱について語ったnoteでは、アクションゲームをつくったりと、やりたい放題です。

2重目は、「ドブル」とは異なるカードの構造

『あおもりアッテラ!』の構造は大雑把に説明すると、「ドブル」と同じ構造をカードにアイコン8個から半分の4個に減らし、それを4倍用意してうまくバラけさせている……まあ、そんな風になっています。

さらに細かく説明したnoteはこちら(↓)。

ところで、「ドブル」の場合は、カードのアイコン構成構造は基本1種類固定です(使わないカードの選択で多少変わるが)。
なので、「ドブル」はさまざまなアイコンのバーション(ドラえもんしかりポケモンしかり)が出ていますが、構造は一緒です。


ところが、『あおもりアッテラ!』のカードのアイコン構成構造

4個ドブル×4個ドブル×4個ドブル×4個ドブル×トランプ

は、ほぼ無限です(言い過ぎですが)。
そういった意味で、未完成です(実際、『あおもりアッテラ!』の全カードのアイコンの内訳を調べてみると、完璧な構成ではなかったのですが、味のあるチョイスをしています)。

さらに言えば、パクリ……ゲフゲッフン!
もとい、フォロアーやインスパイアに優しい構成構造なのです。
構成を少々変えれば、アイコン以外のオリジナリティもちょっと加味されます。
ほかの都道府県全バージョンを仮に作ったとして、全部ちょっとづつ異なる構成構造にできるのです。

あれ?
そう考えると、1年前にいろいろ批判したおかげで、新基軸のコンポーネントが生まれたので、結果オーライですね。


そろそろ終わり

長くなってしまいました。
ぼちぼち締めていこうと思います。

……おっと、1つ忘れていました。
『あおもりアッテラ!』を購入するにはどうしたらよいのか。

質問:
店舗での販売は、現時点て青森県内のみですが、県外(アンテナショップなど)にひろげる予定、計画はあるのでしょうか。
回答:
はい、計画はあります。具体的な予定や店名はお知らせできませんが、実現できるよう進めています。
青森県外へ就労、就学した方にも、手にとって欲しいなと思っています。

店舗での購入は、来年以降県外でもできるかも知れません。

通信販売は『あおもりアッテラ!』のサイトでしています。

加えて、『あおもりアッテラ!』を青森県内のすべての小学校に届けたいクラウドファンディングを12月17日現在も行っています。

終了は12月23日。あと1週間あります。
応援したい方は、ぜひ。

すみません。
17日目選んだのは、そういうあざとい狙いです。
念のために断っておきますが、珍ぬは青森県人でも『あおもりアッテラ!』の関係者でもございません。
ただの、物珍しい人間です。人間か?多分。

ということで以上です。

ボドゲ紹介 Advent Calendar 2020」18日目はぬんさん、
ボドゲ紹介02 Advent Calendar 2020」18日目はFuji_Yosさんです。

お読みいただきましてありがとうございました。

では。

【余談】
本当は、このnoteを書く1週間前に、実際に青森へ訪問して店舗の様子など取材する予定でした。
しかし、新型コロナの暴れっぷりに考慮して、泣く泣く取りやめました。
……なにせ、自分の住んでる街にDMATが駆けつけておりますんでね。
逆に先方に心配かけさせますよ。

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