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中国異業種スマートカー参入 続編

電気自動車にコネクトや自動運転など色々ついたものをスマートカーと呼ぶらしく、前々回に続き異業種参入を見ていきます。

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自動車メーカー関連でないと馴染みが無いらしく簡単に左側のピラミッドを説明します。ご存知の方は次のスマートカー参入まで進めて下さい。

自動車業界には、完成車メーカーを頂点とするサプライヤー(自動車部品メーカー)のピラミッド構造が存在している。サプライヤーピラミッドは、アイシン精機やコンチネンタルのような1次下請けメーカー(ティア1)、新日本製鉄やエヌビディア、クアルコムなど2次下請けメーカー(ティア2)……といった具合に重層構造になっています。

ピラミッドの階層のひとつ上から発注されてそこに納品するので、部品メーカーの序列が厳格に決まっていました。

何故CASEで電気自動車への参入がが増えるのか?

これがEV、というかCASEで変わるという話です。理想的な自動運転でぶつからなくなれば、そんな衝突時のボディを作ることもなく簡易的な構造になります。作りやすくなれば参入障壁は減ります。

電動化でEVになれば更に部品点数の多いエンジン周りが要らなくなるのでこれまで電子機器製造していた会社でも行えます。上のように衝突要件を気にしなくて良くなれば更にハードル下がります。また統合システムだけで無くて、自動車メーカーに作らせてノウハウを培うのも余りに過当競争なので有ります。

電気自動車には高圧バッテリーから低圧バッテリーまで各種用意していますのでコネクトの通信情報サービスもやり放題です。スマホでは当たり前のソフトウェア更新OTA も行え実際に自動運転を更新した会社もあります。EVの制御機能の更新や、そもそも最上位グレードしか作らずソフトウェアでダウングレードする方法も取れます。スマホのノウハウを、自社のコアコンピタンスと見なして利用出来ると見越して参入してきます。

シェアはそれこそネットにつないで情報を取る必要があります。この電源という意味でも短距離走行後の充電という意味でも電動化で恩恵あり。自動運転なら無人で運用できるのでタクシーの運転手、運転席も有効活用出来ます。スカイと見るとDJI は正統性のある直系モデルですしね。

いずれの意味でも既存のままではやっていけないので脱皮しようとしています。またこのタイミングなら参入出来ると今回は大手が参入しています。


スマートカー


HUAWEIのスマートカー。前回も書いた3年間は自動車業界に参入しないというファーウェイの任正非CEOの言葉は裏を読み返す必要がありました。

https://note.com/zshiki/n/nc47e45448bba


3年後には分からないという事ですね。Baiduのアポロ計画のように途中で参入というのがありそうです。


その検索システムで有名な中国IT大手バイドゥ(百度)は、自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)と合弁自動車製造会社「集度汽車」を設立しています。

2024年までにはスマートカーを市場に投入するため元エアバス中国イノベーションセンターCEOの羅崗氏を招聘しています。アポロ計画に躊躇した自動車メーカーの方が正しかったようです。



スマホで有名なシャオミは自動車製造事業に今後10年で100億ドル(約1兆1000億円)を投資するとのこと。まずは100億元(約1689億円)を投じ、完全子会社を設立し自動車製造を行っています。記事だと

3月30日、シャオミグループ(小米集団)創業者兼CEOの雷軍氏が、シャオミ(小米科技)春季新製品発表会で、スマート電気自動車(EV)産業への参入を表明した。…自動運転関連企業、特にチップやLiDARを開発する企業へ出資するという形になる可能性が高い。製造工場では、「宝沃汽車(Borgward Automobile)」、「開雲汽車(Kaiyun Motors)」などとコンタクトをとっていたことがわかっているが、宝沃汽車との交渉はすでに中止されたようだ。消息筋によると、シャオミはEVメーカーのBYDとの提携を検討していたが、現在は一定の実力を持ちつつシャオミの事業に全力を傾けてくれるパートナーを探しているという。

自動車製造事業についての検討を開始したのが2021年1月15日とのことで正式発表までわずか2.5か月、スピード感が日系企業や雇われ社長の製造会社とは異なります。


中国家電大手の「ハイアール(Haier)」が「上海汽車集団(SAIC)」とスマートカー事業の参入しようとしています。

ハイアールは上海汽車傘下の自動運転技術開発企業にも投資するそうです。



中国ネット配車サービス最大手の「滴滴出行(DiDi Chuxing)」もEV完成車の開発・製造部門の立ち上げを進めています。自動車サービスプラットフォーム「小桔車服(Xiaoju Automobile Solutions)」の副総裁を務める楊峻氏がトップです。この楊氏は、比亜迪(BYD)と共同開発した配車サービス専用EV「D1」の最高製品責任者(CPO)も務めています。
以前にも配車サービスが参入する動きはあったようです。

「曹操出行(Caocao Chuxing)」や「T3出行(T3 Mobility)」など大手自動車メーカーの支援を受けるネット配車サービス企業も専用車種の開発を試みていた。しかし、大量生産には至らず、結果的に滴滴が最初に量産を実現することとなった。

曹操出行は吉利汽車(Geely Automobile)傘下の相乗りサービスです。T3出行は大手揃い踏みの第一汽車、東風汽車、長安汽車のネット配車です。パートナーも豪華でテンセントにアリババが共存しSuning までいます。これだけ揃い踏みでもOEMが親会社でも専用車種には至らなかった。

ここにバイドゥ(百度)、シャオミにハイアール。名だたる企業が参入してきます。

 統合システム

統合システムに該当するところに参入するのが東芝の家電事業買収で日本でも有名な美的です。

1月27日、美的(Midea)電気機械事業部がEV駆動システムや熱マネジメントシステム、先進運転支援・自動運転システムなどの自動車部品製品を展開していると報じられました。

最近では

3月1日には、ハイセンスが自動車向け空調大手のサンデンホールディングスの約75%の議決権を取得し、エアコンのサンデンの筆頭株主になると発表しました。サンデンが開発した次世代自動車用電動コンプレッサーや統合熱マネジメントシステム、自動車空調システムは新エネルギー自動車に広く採用されています。この分野に参入するのだと思います❗


3月3日にも、TCL創業者李東生氏が方針を表明し、同社は既に新型車載用製品部門を立ち上げており、新エネルギー自動車事業のブームに乗り、新エネ車向けコア部品のサプライヤーになると意気込みを語っている。

このTCL はパナソニックの液晶テレビを委託生産するなど技術力は折り紙つきです。美的(Midea)は東芝白物家電を、ハイセンスも東芝デジタルテレビを買収していますし旺盛な事業拡大を感じます。

細かい参入はこの記事以外にも多数あるようですので、土地勘を養うためにここからは正しい戦略だと思います。

キーデバイス

半導体や高圧バッテリーが該当します。

元々CATL について概観していました。

https://note.com/zshiki/n/n26aaba53ab98


日本電産なんかもここからピラミッドを登りそうです。

また、通信するTCU は標準必須特許で狙われまています。車全体の5%とか請求されたら売価を越えるため、国の検討会などでも議論が活発です。

まとめ

知り合いに中国大手企業まだまだEV新規参入しているよ。甘い!と言われ中国の異業種新規参入を再確認しました。

抜けていたのがスマートカ―、スマート電気自動車(EV)産業への参入です。緑色の文字で追記しました。

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このように電気自動車(EV)製造に異業種から本格的に乗り出したことが明らかになったと思います。バイドゥ(百度)、シャオミにハイアール、中国大手は積極的です。またかつてはお得意様だったはずの配車サービスDidi や協業してたバイドゥなど、今日の味方は明日の敵でダイナミックですよね。

テスラがグローバルな事象だとすると中国だと超格安電気自動車が呼び水です。

上汽通用五菱汽車(ウーリン)は価格が日本円で約46万円の小型EV「宏光MINI(ミニ)」を2020年7月に発売し、毎月4万台のペースで売り上げています。

最低価格2.88万元(約46万円)でそれまで赤字だったのが台数を稼いで黒字化したそうです。

五菱は2020年上半期が6.29億元(105億円)の赤字だったのに対し、2020年通年では1.4億元(約23億円)の黒字に転換しています。

インドのタタ・モーターズも以前、ガソリンエンジンの同じ価格帯の格安自動車を作りました。今回はバッテリー込みでこれなので凄いです。

家電メーカーも部品から自動車業界に殴り込み。日本でも日立製作所がホンダ系列をまとめて存在感を、パナソニックも三洋電機から続くバッテリーの残量でなんとか頑張っています。

TCL はパナソニックの液晶テレビを委託生産、美的(Midea)は東芝白物家電を、ハイセンスも東芝デジタルテレビを買収していますし旺盛な事業拡大を感じますね。

検討始めて参入まで3ヶ月ってワンマン社長の面目躍如、中国でも新興企業こそが強みです。

ひとつの理由は米中経済摩擦の中でも自国の自動車は堅調な成長が予想されるためここにこぞって参入してきます。

また時価総額を上げて他の企業を買収するならEV参入は花火としては派手なのもありそうです。今回は何処が残るのか、既存のOEMもうかうか出来ません。

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