EV の依存関係

資源依存理論でバッテリーと車体との協業に関する電気自動車の開発の話が載っていたので、当業者としてもう少し深掘りして見ます。とは言うもののあくまでも個人的な感想ですので違う点は指摘ください。

自動車メーカーのバイイングパワーと、バッテリー供給量からセルサイドのパワーの依存関係の話ですが知財を絡めます。バッテリーを作れる所が限られるために、サプライヤーの方が強いという相対的な交渉の形です。

リチウムイオン二次電池(LIB)大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)が有りますがどのように今のトップシェアになったのか見ていきます。

ミレニアム2000年

ハイブリッド自動のプリウスが開発された90年代後半、その前から電気自動車は研究開発されていました。しかし、その際にネックとなったのが、今でももの足りない走行距離の問題でした。

それでもリースなどでトヨタ自動車はRAV4EVを、ホンダはEVプラスを数年提供しました。実際、沖縄の孤島で利用されていたはずです。米軍駐留基地での使用実績を探したから確かです。アメリカ合衆国での公知にしたかったけど、難しくて断念しました

あと日産自動車のハイパーミニってのも有りましたね。いずれも走行可能距離はエアコン無しで100km以下だったと記憶しています。社内規程で東京⇔大阪は無供給で走行したかったので、この距離ではオーダー(桁違いに足りず)が異なりバッテリーメーカーへの依存関係までは生まれませんでした。日産自動車はこの分野に突っ込んでいたようでした。

しかし走行距離を確保するために、日本では本命としてエンジンとモーターのハイブリッドを各社競うように開発していました。トヨタがモーターショーに展示して他社が一気に参入したというのが、正しい所かも知れないけれど。ショーでは1つのモーターだったけど、プリウスはプラネタリギアを使った2つのモーターだったのは出し抜かれた感じがしました。

ちなみにドイツやカナダでは燃料電池車の開発に注力していました。

今でも細々やっていくみたいですが、反転攻勢出来るのでしょうか?水素供給設備の準備が待たれます。

2010年代

パソコン用のリチウムイオンバッテリーが実用の域に達して、車載用に大型化を図る研究開発環境が生まれます。

リチウムイオンバッテリーが不安定かつハイブリッド自動車を売りまくっていた日本では、電気自動車はハイブリッドを作れない企業がやるものだと軽くみていました。

三菱自動車から三菱・i-MiEVがリースや発売されました。iPhone などアップルのアイシリーズにあやかってのアイの文字が話題になりました。三菱のメイン·サプライヤーはジーエス・ユアサでした。

翌年は日産自動車により日産・リーフが発売されました。日産のメイン·サプライヤーはNECだと記憶しています。フォードのメーター表示でエコな走行をする事に葉っぱ(リーフ)が育つ特許と意匠に迂回していたのでこの名前に何か食いつきました。

記事で生産開始などで記載されているのは、バッテリーの劣化が激しくて数年ごとに交換するためにリース扱いだったためです。

これ以外のハイブリッド自動車にもバッテリーを搭載しており、各社リチウムイオンバッテリーを共同開発していました。

ソニーのリチウムイオンバッテリーから火を吹く画像が出回って、車に積んで良いのか話題になり、一歩進んで大手自動車メーカーは自社関連企業を合弁会社として作ります。

日産自動車のNEC

ホンダのジーエス・ユアサ

トヨタは何処かとベッタリって感じではなかったです。自前で研究開発していました。

でもバッテリーは化学なので自動車以外の外部の力を借りる必要が有りました。

三菱電機や東芝など周辺の電気機器も存在感が有ったんですよ。当時は。

このようにラインを作って、事故やリコールの無いように作り込むので双方向で依存関係は高まります。

とは言え、各社リチウムイオンバッテリー搭載車両を毎年販売するため、マンパワーも足りなくなり、また技術的にもこなれて来ると別のサプライヤーを選び出します。

あそこのバッテリー良いよという評判は直ぐに駆け回り、また足りないリチウムイオンバッテリーを韓国から購入し出しました。

三洋電機の高圧バッテリーは当時から開発者の評価が高かったです。

BYD  Tesla の米中EV メーカー

BYD (ビーワイディ)はパソコン用のリチウムイオンバッテリーから車載バッテリーに参入と思いきや、EVを作り出します。

当初は故障だらけだと、報告が来ていたのですが、中国の官公庁を中心に量産化されて台数を増やして行きます。民間には手厚い助成金支給もあり、メーカーはそれ以外にも百花繚乱、農村で手作りされ出します。

BYD はエンジン車まで作り出し、少し関係も有ったんですが、それは別の話。

同じ頃、環境に優しいということで、PayPalマフィアのイーロンマスクがEVを作ります。

テスラはパソコン用のリチウムイオンバッテリーを直列で繋ぎまくって初期の開発を行っていました。

ロータスの車体にパソコン用のバッテリーを直列つなぎして鬼のように搭載し、販売していました。

カッコいい専用車両が出てから、風向きが変わりすぎて、トップランナーになりました。一時期、工場の跡地を使うなどトヨタと協業したりしていた記憶も有ります。

いずれの会社もマスクや医療機器などもいち早く作成する機敏さを兼ね備えています。

EVを作り始めに両者ともパソコンを作るようにバッチを当てつつ作りだし、あれと言う間に追い抜かれました。

創業者は強い想いで、素早く行動します。それがEVでの早期参入にも繋がったのだと思います。

米中の規制

アメリカはというか西海岸はクレジットで縛ります。EVはゴールド、Pin-HEV はシルバー、ハイブリッドがブロンズみたいなランクを付けて、販売数に応じて必要な数値を義務化していました。

クレジットが足りなくなるとテスラ詣でして、全数EVで余っている分を購入していました。

西海岸は海からの風を高い山脈が塞き止めて、大気汚染が滞留する地域です。そこで大気汚染の原因となるガソリン駆動を目の敵にしていました。担当から外れたあと当初はブロンズで有ったハイブリッド自動車はクレジットから外れEVに特化されたようでした。

そうなると欧米各社も日本や韓国のバッテリーなどを使ったEVを販売していきます。

中国はもっと露骨に販売するための承認を実質、中国の地場メーカーに限定していました。

そこで一躍発展したのが中国のCATL です。担当から外れたので、記事を少し長いですが転載します。

世界最大の電池メーカーになったCATLは、どんな会社だろうか。中国福建省を本社の所在地としているCATLは、2011年に設立された。もともとは小型家電用バッテリーを製造していたAmperex Technology(ATL)という香港の電池メーカーで、その自動車用電池部門を別会社化したものだ。そのATLは、米アップルのiPhone用電池の生産を請け負ったこともあり、業界ではそれなりに有名であった。…
CATLはドイツ企業のBMWとの協業がきっかけとなり、力をつけ始めた。その後、同じくドイツのフォルクスワーゲン(VW)やダイムラー、仏プジョー・シトロエングループとの取引にも成功。中国市場に進出している外資系自動車会社と協業することで、成長の足場を築いた。
 外資系自動車メーカーがCATLの電池を採用せざるを得なかったのには背景がある。現在、世界最大の市場となっている中国で電気自動車を販売するためには、中国政府が推奨する電池メーカーの製品を使わないといけない。その推奨メーカーには、日本のメーカーも、韓国のメーカーも、入っていないので、中国で一番価格競争力があり、高品質なCATLの製品が選ばれたわけだ。
 その結果、外資系自動車メーカーのほとんどにCATLの電池が採用され、CATLはパナソニックを抜いて世界最大の電池メーカーになったわけである。ロイター報道によれば、2020年のCATLの生産能力は、合計で50GWhに達するといわれているが、生産規模を拡大し、100GWhにするという噂もある。

ここにあるATL 実はある日本企業の子会社でその会社はCATL にも資本注入しています。

この日本企業、TDK のホームページによると2005年に

リチウムポリマー電池を生産するAmperex Technology Ltd.(ATL)を買収することで、TDKは将来的に成長が見込めるエネルギー分野の“素材技術”を強化できました。
現在TDKはリチウムポリマー電池分野におけるリーディングカンパニーです。

だそうです。資源依存理論で言ってたバッテリーと車体との協業よりも、国の意向に左右され業績が大きな影響を受けます。

電気自動車の開発についても、国の補助金が左右されます。日本のエコポイントは企業を間違った方向に動かしました。

バッテリー形状

最後に少しだけ知財的な技術的な話。初期は乾電池のような丸型バッテリーだけでした。

少しでも長い走行のため、積載率を上げるため箱形になります。円だと四つ端に無駄が生まれるので、ラミネートを使って積み込み易い長方形にします。

この形でトヨタ自動車などが規格化を図ります。

以前も書きましたが三洋電機が凄く良いシステムを販売していたので、各社導入していました。

規格化を図り台数を増やせば単価が下がります。

すると、低価格競争を仕掛けてきたのがビーワイディ、いつの間にか車まで作り出します。

異動で離れているうちに、三洋電機を買収したPanasonicがここまで苦境に陥ったり、韓国企業がここまで延びるとも思っていませんでした。

2日、グローバル市場調査会社・SNEリサーチが今年1月、電気自動車のバッテリー出荷量基準メーカーシェアを調査した結果、LG化学が22.9%のシェアでパナソニック(27.6%)に次いで2位となった。三星(サムスン)SDIとSKイノベーションは、それぞれ5.1%(4位)と2.8%(7位)を占めた。これにより、韓国国内バッテリーメーカー3社のシェア合計は30.7%で、前年同月(14.2%)に比べて2倍以上成長した。韓国メーカーのシェア合計が30%台を超えたのは今回が初めてだ。
韓国国内3社が共に急成長を続けている。LG化学の今年1月のバッテリー出庫量は1671MWhで、前年同期比2倍以上に増えた。同期間、三星SDIの出庫量は371MWhで22.7%が伸び、グローバルランキングが6位から4位に上昇した。SKイノベーションも出庫量が二倍以上に伸びて、12位から7位へとランキングが大きく上昇した。

今回見たCATL なんて知らないうちに、あっという間にトップですからダイナミックです。

電気自動車の特許で、忘れてならないのがテスラが不争を宣言したことだと思います。トヨタもハイブリッド自動車の特許の使用を契約を結べば無償貸与していますが、デンソーなどのシステム購入が前提に見えますので意味合いが異なります。

あくまでも個人的な意見ですが、テスラは大手自動車メーカーからの特許訴訟を避ける手段だったのでは無いかと思うぐらいです。

それほど特許出願していないのでカウンターパンチも打てないし、いっその事なら先手を打って宣言しとけば、大手自動車メーカーは弱いものイジメや、環境問題に優しくないという評判を気にすると思ったのでは無いかと、ゲスの勘繰りです。


でもwithコロナで耐久財の最高峰、車の需要は数年復活しそうにありません。

テレワークでバッテリーは産まれないし、移動自粛は直撃です。

根本的な検討、変更をと言われても、本当にノープランですよね。

有識者のコロナ対策の記事も出て来たので、参考にしながら家に居ます。ステイホームです。

接触しないなら自家用車には再び脚光を浴びるチャンスは来ると思いますが、それが数年後だと資金がショートします。

資源依存理論、ワクチン頼みは間違いの無いところです。

イーロンマスクが今日、自社の株価が高いと有り得ない発言。

大麻を吸ったとか、お騒がせな方ですがこの分野で嗅覚が発したので、電気自動車の将来性は抜群だと思います。

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