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ギンズバーグ最高裁判事の後釜
最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグさんが18日にお亡くなりになりました。享年87才。謹んでお悔やみ申し上げ。
この後任選びが大統領選挙、株価にまで影響するという話もあり見ていきます。
最高裁判事
ザ ナインとも言われている終身のご身分なので、文字通り満了されました。
トランプ政権下着任したニール・ゴーサッチ判事と、ブレット・カバノー判事着任後の最高裁は、保守5:リベラル4という力配分で、現在基本的に保守に有利なバランスになっています。最高裁長官も保守で、たびたび知財の判例を出すのでウォッチしてます。後述する ジョン・ロバーツ 17代長官その人です。最近はスイングボードとしてその投票が注目されています。
これまでリベラルというか民主党政権下出身には、四名いて、名前をあげると、
ソニア・ソトマイヨール はラテン系の女性でオバマ政権下
エレナ・ケイガンはユダヤ系の女性でオバマ政権下
スティーブン・ブライヤーもビル·クリントン政権下
そしてルース・ベイダー・ギンズバーグはビル·クリントン政権下
がいましたが今回これが一人欠けることになります。保守ではなくリベラルからしか女性が選ばれないのもいずれの国も同じだと納得出来ます。
追記:トランプ大統領は25日までに女性候補をあげると息巻いてます!
言わずもがなですが残りの五人は共和党政権下で最高裁判事になっていますので保守。昨年作っているので今年の更新はまだですが時系列は以下になります。
表読み方は上から就任時期の早いかた、在任中の判事はパパブッシュの共和党、民主党、共和党、民主党、トランプの共和党にまんべんなくいます。その時の政権下で候補となるから分かりますよね。
まあ、その昔のアンソニーケネディさんのようにスイング票と呼ばれた中道の方もいましたが、今ではよほどがない限り無さそうです。
ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事
ハーバードロースクールから夫の勤務するNYに移りコロンビアロースクールで資格を得る。その後弁護士から裁判官として、女性や少数者の権利擁護に取り組んだ。
ギンズバーグ判事は、「RBG」のイニシャルで親しまれ、映画まで一昨年公開されています。アメリカを代表するフェミニストの1人ですね。
追悼番組の多さが愛されていたと感じます。
先に書いた通り現在の米最高裁は長官を含む計9人の判事が5対4で保守多数となっています。
トランプ大統領はこれまですでに、保守派判事2人を最高裁に送り込んでいます。ギンズバーグ判事の後任も三人目の保守派になった場合、最高裁判事の構成が6対3で圧倒的に保守寄りになる可能性があります。
何故大統領選挙にまで影響があるの?
ゴア副大統領とブッシュの選挙の時にも、票の数えかた、それもフロリダの一部の数え直しで選挙の行方が変わりました。
この時も多数派を占める共和党ブッシュが勝利をおさめています。
50州中最後に勝敗の決め手となるフロリダ州(選挙人25人)における手作業、機械による開票が遅れ、得票数差も数百票と僅差だったため、票の「読み直し」、両陣営による訴訟騒ぎとなり、結局、
ブッシュ氏当選が確定したのは、連邦最高裁での裁定が出された36日後の12月12日になってからだった。
今回はコロナ禍ですから郵便投票を利用する人が増えます。郵送するのは、コロナを恐れる人で、民主党支持者が多いといわれますが記載不備などで無効票など争いの種も出やすい事が予想されます。
このため民主党バイデン候補は圧倒的な得票差を持ってトランプに印籠を渡す必要があるとこれまでも言われて来ました。
11月3日の投票日当日に勝敗が確定せず、最終決着の大幅遅れ、法廷闘争といった“惨事disaster”になりうる
との話です。目算では
全体の30%以上を占めるとみられる郵便投票、不在投票分の開票が1週間以上かかり「バイデン勝利」が宣告されるやいなや、 トランプ陣営はただちに開票結果の[正当性legitimacy]に疑義を呈し、連邦地裁に選挙結果不当の仮処分申請を出す。却下されれば最終的に最高裁審理にまで持ち込む。
バイデン票の中から多くの記入ミスなどによる「無効票」が見つかり、読み直しを行って
郵便による事前投票受付が直ぐそこの9月24日にスタートすることが決まっています。
ここでトランプが最高裁判事を強行採決して更に共和党政権下の判事を選ぶのかが民主党の投票率に影響を与えるかもと言われています。
熱狂的な支援の無いバイデン候補ではなく、反発する反トランプの投票が増えるからです。
そもそも過去の統計では最高裁判事がノミネートされてから上院が投票に付すまで平均すると3月弱かけているため普通にやると11月3日の投票には間に合いません。
ちなみに投票する上院は現在53/100が共和党なのでトランプ大統領が指名した候補が議会で承認される可能性は高いです。
トランプとしても難しい舵取りになりそうです。現状でも一人少なくとも過半数は取れているので民主党の寝た子を起こすような無理はしないんじゃ無いかな。
ちなみに2018年10月5日、カバノーの最高裁判事就任は承認されましたが難産でした。18歳の時1982年のレイプ疑惑を現バイデン候補のハリス副大統領候補にガチガチに攻められました。借りは返すに成るやもしれません。
知財の影響
ジョン・ロバーツ 17代長官になってから連邦巡回区控訴裁判所(United States Court of Appeals for the Federal Circuit; 以下、CAFC)の判決が立て続けに覆りました。
古いですが05年から15年までの特許事件による法解釈で27件中22件でCAFCの解釈に対し否定的な判断がされたと言われています。
これはCAFCが最高裁の判例を根拠にしない独自ルールを作ったことに対する揺れ戻しだと言われています。
最高裁は、自らが下した限られた数の判例―その中にはかなり古いものもある―に強く依拠した。
⇒最高裁の先例を回復させる措置を取った。判決を出すに際して1800年代の判決を持ち出して判断する最高裁に対し、自由な裁量が認められているようにみえるCAFCに対する叱責ですね。
特に、技術革新により生まれた齟齬は特許法改正、つまり連邦議会により行われるべきでCAFCは単に法を解釈するに過ぎないと認識させていると書かれた記事を読みました。
このように日本贔屓でちょくちょく来日されてる元CAFC長官 Randall Rader (ランドール・レーダー)さんも退任後に最高裁から手厚い逆転判決を貰ってます。
これは、10年後を追っかけてる日本の高部元所長もなんでしようね。高松高裁の長官に栄転という名のもと、配置転換です。
「予測できない顕著な効果の有無等につき更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し」を指示した最高裁平成30(行ヒ)69号や、
確認の利益について「損害賠償請求権を有しないことの確認を求める部分は,逆転で知財高裁の判決を破棄し,」控訴棄却した最高裁平成31年(受)619号などが立て続けに有りました。
どこぞも同じく、下部組織が独自性を持った事をやって周囲も気にし出し、余りに注目を浴びて調子に乗ると締め付けが有りますね。
これで姉妹で知財トップだった一時代が終わったようです。特許庁と知財高裁、色々言われたとは思いますが、造り酒屋のご令嬢らしく、これまでの苦労?に乾杯でもしているのかもしれませんね。
って書いてたら高橋雄一郎先生がTwitterで最高裁判事への布石という見立てをしていました。
同一記事に書いたのに全くノーマーク、流石です!
まとめ
ギンズバーグ判事は多数派の場合が多かったような記憶しかなく、オピニオンもあまり覚えていないのですが、後任によっては長官のように知財フリークでなんてこともあり注目しないと行けません。
もちろん知財高裁の大鷹一郎所長もですが、在籍中に、私の案件がここまで行くことは無さそうです汗
少なくも日本の弁理士が読んでる審査基準に準拠してないとか裁判所でぶち上げても、勝訴は覚束無いので、
リーガルテックで判例研究を自動化する開発をしている方は、最高裁判事の思想信条傾向にも気をつけて、やらないといけないから大変そうです。
世間では中絶や銃規制などが話題になっていますが、それ以外でも、勝率判定ソフトは判事の選出から大きな影響を受けます。
そろそろリーガルテックの最近の傾向もまとめなきゃ。
数年前にアメリカの大手法律事務所への質問にリーガルテックの使い勝手はどうですか?って言ってたのが、やはり日本でも色々出てきました。
仕事が楽になり、いずれ自分の首を締める内容なのでしっかりウォッチします。イイネが1つでも付けばリーガルテック続報します。
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