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DMBOK第2章データ取扱倫理

要約

データの倫理原則は、データ活用する組織にとって長期的な成功の鍵であり、倫理的な取り扱いが不可欠になります。人格の尊重、善行、正義が基本的な倫理要求であり、特に差別回避が求められます。
非倫理的なデータ取扱いのリスクには、虚偽的視覚化やデータの変換・統合、難読化・リダクションがあり、これらに対処していかなければなりません。
倫理的なデータ文化を確立するには、現状のデータ取扱いをレビューし、原則やリスクを確認する必要があります。また、倫理的な視点は社会的責任と結びつき、データ分析プロジェクトでの潜在的なリスクを積極的に特定し、内部通報者を保護していかなければなりません。

前の章

前の章である第1章データマネジメントはこちらです。

データの倫理原則

データから価値を引き出そうとする組織が長期的に成功するには、倫理的な方法でデータを取り扱うことが不可欠です。従来から技術的な視点のみでデータを扱っているケースが多く、リスクが少ないと思い込んでいます。

人格の尊重

人々を個人として扱い、尊厳と自律性を尊重する基本的な倫理要求を反映しています。個人の自律性が損われている場合、その尊厳と権利を守るために特別な注意を払うことが求められます。

善行

 ①害を与えてはならない、②出来る限り利益を大きくし、出来る限り害を小さくすることという2つの要素があります。
利害関係者を特定し、データ処理の結果を検討し、設計された処理によって得られる利益を最大化し、損害リスクを最小化するように努めるべきです。

正義

この原則は、人々に対する構成で、かつ公平な取り扱いを考慮しています。
プロセスやアルゴリズムの結果があるグループに偏った利害を及ぼさないかなどが含まれます。例えば、人種差別を無意識に反映してしまうようなケースがこれに当たります。

非倫理的なデータ取扱業務のリスク

虚偽的視覚化

チャートやグラフを故意に誤解を招くような形で、データを表示したりするケースがこれに当たります。 グラフを作成者の意図を反映したような内容や、元のデータとは違ったように見せかけ、人を欺くケースが多くなってきています。

データの変換と統合

データがどこから来てどのように変化したのかを把握していない場合、組織はそのデータがデータ本来のものであることを証明できません。 また、データ品質に関する測定可能な基準を持っていなかったり、見立ていただくメタデータがメンテナンスされていなかったり、データ変更履歴が記録されていないなどのケースが発生すると違法になるリスクが存在します。

データの難読化・リダクション

データの難読化とリダクションは、情報を匿名化し、センシティブ情報を取り除く方法になります。しかし、難読化だけではデータを保護するのに充分ではありません。データ集約やデータマーキング、データマスキング等の方法で難読化しても充分でないケースがあります。

倫理的なデータ文化の確立

データ取扱業務の現状レビュー

 既存のデータ取扱業務をレビューする目的は、どの程度倫理的でコンプライアンス準拠の動機付けに直接直接的もしくは明示的に関連しているかを理解することです。データ共有活動を含むデータライフサイクルを通じて組織がデータを収集し利用して、監視するときの根底にある倫理原則をレビューの成果として文書化する必要があります。

原則、業務、リスク要因の確認

 業務を改善しようとする組織は、個人のプライバシー保護の必要性に加え、業界固有の懸念である財務健康関連の情報を保護する必要性といった一般原則を認識する必要があります。

社会的責任を持つ倫理的リスクモデルの採用

 BI、アナリティクス、データサイエンスの活動には、どれも倫理的視点が必要になります。その視点は、広範なコミュニティーに対する影響を考慮すべき事項です。倫理的視点が必要なのは、データによって害を及ぼさないという社会的責任を組織が負っているためです。

データ分析プロジェクトは、倫理的な課題が人々の目につく事は少ないです。よって組織は潜在的なリスクを積極的に特定する必要があります。さらにリスクに気づき、懸念を表明する内部通報者を保護する必要があります。

まとめ

以上、データ取扱倫理について解説しました。
この章は他の章と比較して、ボリュームが少ない内容でした。 しかし、企業が存続していくためには遵守していく必要がある内容ばかりでした。適切な倫理観とガバナンスを持って管理していかなければいけません。

DMBOKのデータ取扱倫理について特に重要な点を解説しました。ただし、非常に量が多いため解説していない部分が多々あります。詳細は本書を手にとってみて下さい。


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