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【怖い話】近所の廃墟

以前、知人女性(以下Kさん)に聞いた話だ。

Kさんが子供の頃、近所に1件の廃屋があった。
平屋の民家の廃屋で、ボロボロの塀に囲まれ、朽ちたその家は小さな頃から見慣れており、不気味に思いつつも特に中を気にしたことはなかったそうだ。

中学生になり好奇心が旺盛だったKさんは、ある日の下校途中、友人と2人でその廃屋に入ってみようと企んだ。

周囲を塀と門に閉ざされた廃屋だったが、ぐるっと回ってみると、塀が一箇所壊れており、人一人ならなんとか入ることができた。

中には平屋だが大きな廃屋が佇んでいる。古く重厚な引き戸の玄関は施錠されていたが、2人は割れた窓から中に侵入した。

中は多少荒れてはいたが、とにかく生活感に溢れていた。
いつも通りの日常から人だけを消したような、今にも奥からおばあちゃんが出てきそうな、そんな雰囲気だった。

そんな不気味な雰囲気に耐えられなくなった2人は、明日別の友人たちを連れてこようと言い、そそくさとその日は帰宅した。

翌日、友人たちと数人で廃屋を訪れた。

塀が壊れた部分から侵入するために、周囲をぐるっと回る。

・・・

ない、ないのだ。

昨日は壊れて中に入ることができたはずの塀が、なぜかどこも壊れておらず、侵入することができない。かといって修理した痕跡もなかった。

不気味に思ったKさんたちが廃屋の中に入ることは二度となかったそうだ。

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