【怖い話】ポケベルに届いたおばあちゃんからのメッセージ【実話怪談】
ふと思い出した高校生の頃に後輩が体験した怖い話。
これは高校2年生か3年生の時、1歳年下の後輩(以下Y)が体験した話だ。
当時僕たちが通っていた高校は一応街中にあったのだが、Yの自宅は高校から車で2~3時間くらいの強烈な田舎だった。
もちろん毎日通うのは不可能だったため、Yは高校の近くに下宿を借りていた。寮のような感じの下宿だ。
その下宿の向かい側には、地元ではそこそこ大きな病院があった。
Yは普段からその病院の目の前にあるバス停を利用していたのだが、ある日の昼間、ちょうどバス停の前を通りかかった時、一人のおばあさんに話しかけられた。背の低い白髪頭のおばあさんだったそうだ。
「K駅に行くにはどのバスに乗ったらいいですか?」
たぶん病院帰りのおばあさんだろうと思ったYは、バス停の時刻表を確認し、
「○○時○○分の○番のバスに乗ればK駅につきますよ」
と言いながら振り返ると
なんと、おばあさんがうつ伏せで目の前に倒れていたのだ。
倒れた拍子に頭を打ったのか、頭の下からは真っ赤な血がどんどん広がっていったそうだ。
パニックになったYだったが、場所が大きな病院の目の前ということもあり、近くにいた人がすぐに病院に知らせてくれて、おばあさんはストレッチャーで運ばれていった。
Yはそのまま下宿に帰ってしまったため、おばあさんの安否はわからなかったそうだ。
その日の夜、Yは友達とバイクで遊びに行く約束をしていた。下宿まで友達がバイクで迎えに来る予定だ。
しかし下宿には門限があり、21時で玄関が施錠されてしまうため、夜に遊びに出るには、こっそり窓から出なければならない。
バイクに乗ってきた友達が下宿の裏に着いたら、近くの公衆電話からポケベルを鳴らす。Yはその合図で窓から出発するのだ。
友達からの連絡を待つ間、Yは同じ下宿仲間と自分の部屋で昼間あったことについて話していた。
「あのおばあさん大丈夫だったかなぁ」
「駅までのバスの乗り方を聞いてくるくらいだったから、遠くから来たんだろうなぁ」
「今はどこにいるのかな。家に帰れたのかな、それともあのまま入院しているのかな」
と、話していた瞬間、ポケベルが鳴った。
「ウシロニイルヨ」
バイクの友達が下宿の裏に到着したようだ。
Yの部屋で話していた下宿仲間は解散し、Yは靴を持って窓から静かに出かけていった。
外に出たYは下宿の裏を見渡すが、バイクも友達も見当たらない。
きっとすぐに来るだろう、そう思ったYは通りで待つが、10分経っても20分経ってもバイクに乗った友達は現れない。結局その日友達は現れず、Yは仕方なく下宿に戻ったのだった。
次の日、Yは学校で友達に「なぜ昨日ポケベルに連絡だけして結局来なかったのか」と問い詰めた。
すると、友達は「昨日は急に兄貴がバイクに乗って出かけてしまったから行けなかった。だから連絡もしなかった」と言ったのだ。
兄貴(ヤンキー)がバイクを使っていたなら仕方ない、、、そう思うYだったが、じゃあポケベルに届いた「ウシロニイルヨ」のメッセージは・・・?
Yは友達に「ウシロニイルヨ」というメッセージが届いたことを伝え、実際にポケベルの画面を見せた。
しかし友達は「絶対に送っていない」と言う。
そこでYは思い出した。
「ウシロニイルヨ」というメッセージが届いたのは、自分が倒れたおばあさんについて、「今はどこにいるのかな。家に帰れたのかな、それともあのまま入院しているのかな」と言った瞬間だったのだ。
もしかしたら「ウシロニイルヨ」のメッセージは助からなかったおばあさんが最後に親切にしてくれたYに対して送ったメッセージだったのだろうか。
そんなお話。
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