見出し画像

【ドラフト】『カルドハイムリミテッド大考察(準備編:2『氷雪+誇示+アーキタイプ』)』

こんにちは、ぞんびです。

鉄は熱いうちに打て、極寒の地カルドハイムではより一層そうするべきでしょう、ということで準備編の後編を書いていこうと思います。
前回は予顕一つを書くのにかなりのエネルギーを使ってしまったので、今回は残りのカルドハイムの特徴になりますね。
正直に言うと、予顕ほど語ることもないので結構スピーディーな記事になると思いますが、伝えたいエッセンスは込めていくので是非お付き合いください。

序文は前編はこちら
白編はこちら
青編はこちら
黒編はこちら
赤編はこちら
緑編はこちら
多色&無色編はこちら

2:氷雪 

カルドハイムに再登場したメカニズムが氷雪呪文/パーマネント及び氷雪パーマネントから生まれる氷雪マナです。
氷雪カードはそのほとんど(2枚を除く)が氷雪を集めていることに恩恵をもたらす能力を持っています。そのため、集めれば集めるほどそれぞれの効果が強くなると言えます。
その一方で氷雪であるカードの機能的な傾向は特にありません。コントロール向けカードが多いとか、アグロ用として強いという傾向ですね。万遍なく様々な傾向のカードがそろっていると言えます。
そのため、例えばゼンディカーにおける『ならずもの』が機械的に集めるだけでもある程度デッキの傾向が決まったのに対して氷雪ではそうはならないと言えます。
総じて、それぞれの氷雪カードをどう集めるとどのようなデッキの動きになるかを把握してイメージする必要があると言えるでしょう。

2-1:凍り付いている意味

氷雪パーマネント/呪文及び氷雪土地を採用することによるメリットは主に二種類に分かれています。
A:そのカードのために支払った氷雪マナを数える、あるいは起動型能力に氷雪マナを要求する。→氷雪マナを必要とするカード
B:コントロールしている氷雪パーマネントの数を数える。あるいは氷雪パーマネントに作用する。
この二つですね。
いくつか注意点としてはまず『非パーマネント氷雪呪文』を参照するカードはアンコモンに1枚しかないということです。自分が氷雪をとれているかを感覚的に把握する場合には、そこは抜いて数えるべきでしょう。
また、氷雪を参照するカードの中でも必要な枚数(マナ数が)1/2/3/Xと別れています。当たり前のことですが必要数が多ければ多いほど運用が難しくなるのはもちろんのこと、その中でも氷雪マナを起動型能力として用いるカードは氷雪マナに対する『独占性』が高いことを意識するべきでしょう。
代表的な氷雪利用カードである氷皮のトロールなどは顕著で、サポートがなければ他の氷雪カードを運用することが出来なくなるといっても過言ではないかもしれません。

画像1

これらも含めて、氷雪カードを扱う際には現在ピックしている中で『どのように氷雪カードを参照しているカード』が『それぞれ何枚あるか』を適切に把握することが肝要と言えます。

2-2:氷雪の懐の広さ

氷雪はそれぞれを取れる枚数が大事ですが、では実際にどのくらい取れることを期待できるのでしょうか?
大雑把な計算になってしまいますがおおむね以下の数字が基本だと思います。
・氷雪基本土地+2色土地は24枚
・コモン枠からはおおよそ23~24枚
・アンコモンはおおよそ9枚
・レアはおおよそ4~5枚
これら合計60~65枚を8人で取り合うことになります。
この枚数によれば、氷雪絡みのアーキタイプを目指すことを許されるのは卓内で3人前後と思われます。
意外と多い人数かとも思いましたが、ここに更に『積極的に氷雪を目指していないが、特定の強力なアンコモン以上のカードを2パック目以降で見つけた、あるいは見つける予定のため氷雪カード(主に土地)を抑えておく』というプレイヤーが混ざることが想像できます。そのあたりを踏まえるともう少し厳しい人数となるでしょう。純粋な氷雪カードの枚数よりも氷雪土地を何枚取れるかが重要であることが多いためですね。(上記の氷雪参照パターンのAB両方に土地は影響するが、それ以外のカードはBにのみ影響するため)
そのため、氷雪カードを評価する上では次の二点がことさら重要になり、その二点を離す際に上記の数字などがかかわってくると思われます。
・このカードは氷雪を集めるきっかけになるカードかどうか
・このカードが必要とする氷雪カウントは何枚か
これらをしっかりと見極めたいですね。

3:誇示

カルドハイムで新規登場したキーワード能力です。
『攻撃に参加したターン中に1回だけ使える』という制限を持ち、マナを支払うことで使用できる能力ですね。
テクニックとして覚えておくべきは、この『攻撃に参加したターン』という範囲は意外と広いということですね。
見落とされやすく大事と思われるのは以下のタイミングでしょう
・攻撃宣言後、ブロック宣言前
・ブロック宣言後、ダメージ割り振り前
特に前者はMTGAだとフルコントロールモードにしていないと止まらない可能性があります。確認次第留意するべきでしょう。
ケースが細分化されすぎるのでここでは触れませんが、それぞれのタイミングで起動すると良い能力/場合や逆に待った方がいいタイミングがあります。適時判断するしかないですね。

画像2

3-1:誇示能力の特徴

誇示能力は、その『攻撃に参加しなくてはいけない』という条件通り自分のターンの戦闘で有利になるような、あるいは今後の戦闘が有利になるような攻撃的な能力がそろっています。
また、誇示は白/黒/赤の3色に大きく偏っています。(青に至っては0!)
その3色の特徴及び誇示能力それぞれの傾向から非常に攻撃的な能力でありそのようなデッキ自然に採用される能力と言えます。
余ったマナを攻撃に使うことのできる能力という点で、早くて攻撃的なデッキが求めている能力そのものだと言えるでしょう。
ただし、誇示を集めることにはあまり意味がなく、また誇示同士がマナを取り合ってしまうことになる事も考えられます。
そのため、誇示があることそのものに価値を乱して集めるというよりは、自然に入る強いカードが誇示を持っているパターンを探すべきでしょう。

3-2:誇示は攻撃できるのか?

最大の問題点です。誇示持ちのクリーチャーたちは水準程度あるいはそれ以下のサイズしか基本的には持ちません。
また、誇示能力も基本的にはコストに対しての効果が高くはなく、基本的には誇示を繰り返して使うとしての評価になりえると思います。
そして、そういう観点で見ると誇示持ちクリーチャーの共通点に気が付きます。それは、極一部(神話レアとレアに1枚ずつ)を除いて回避能力を持たないということです。
恐らく意図されたデザインですが、このため誇示を繰り返し使うためには何らかの工夫が必要でしょう。
コンバットトリックでもいいですし、幸いなことに今回は装備品が強めです。それらの力を使い誇示を押し付けることができれば大きく有利になれるでしょう。
逆に自分が防御側に回る際には『誇示を殴らせない』ことを意識するべきだと思います。これは、単に攻撃前に除去するという話だけではなく、ブロッカーとして採用するクリーチャーのパワーを意識するということですね。
2/0/6である巨大雄牛は序盤の壁として確かに巨大なんですが、誇示に好き勝手殴らせてしまうことはデメリットになりえるという話ですね。
もちろん、別の考え方として一部のクリーチャーは水準サイズがあるためそれらのクリーチャーで誇示関係なく序盤に攻め、手札がなくなったときに疑似的な手札として使うパターンももちろんあり得ます。それぞれのケースで考えることが必要でしょう。

総合して、誇示は白/黒/赤の3色を絡めたビートダウンを成立させるために無視できない要素だと思います。ただし、誇示そのものに評価をつけるのではなく誇示の内容にしっかりと目を向けるべきでしょう。


4:カルドハイムのアーキタイプ

近年のセットは対抗色2色の組み合わせにそれぞれアーキタイプがデザインされており、それらを中心にデッキを組むのが通例とされてきました。
カルドハイムでも同じくアーキタイプがありそうなのでまずは見てみましょう。推測ですが恐らくいかがアーキタイプ一覧です。
白青:予顕
青黒:氷雪、墓地活用
黒赤:誇示、狂戦士
赤緑:マナ加速・・・?
緑白:トークン
白黒:天使、ダブルキャスト、墓地活用
黒緑:エルフ、氷雪、戦士
緑青:氷雪、多相
青赤:巨人、インスタント/ソーサリー、ウィザード
赤白:誇示、ドワーフ、オーラ装備機体
このようになっています。
ですが、これらのアーキタイプを意識してカードリストを改めて見て見るとまた新たな事実に気が付きます。
そう、アーキタイプを支援するカード/アーキタイプに恩恵を与えるカードが少なく、薄いのです。
緑黒のエルフなどが顕著ですね。エルフ支援と言えるカードは神話1枚、レア2枚、アンコモン2枚、コモン1枚です。低レアリティで少ないのもありピックしてみると全く見かけないレベルかもしれません。
その他のアーキタイプも恵まれているものもありますがほとんどが支援カードは数枚しかなく、『アーキタイプに属するカードと支援カードをかき集めて強いデッキになる』ということは今回期待しづらいと言えます。
そのため、そのような属性でくくったアーキタイプではなくもっと広範な『殴るデッキ』『受けるデッキ』などの分け方を意識してカード評価とピックをする必要があると思われます。
また、この特徴のせいでこの後に待っているカード個別評価の難易度が上がっていますね。前回までは『あらかじめ強いアーキタイプに目星を付ける』→『アーキタイプ単位で点数をつける』→『そのアーキタイプの中で順位をつける』ということをしていたのですが、それがしにくくなっています。
もっとも、それはそうとアンコモン以上に『アーキタイプを目指す恩恵が大きいカード』自体はちゃんと存在します。しかも結構強い。そのためアーキタイプに従うべきか大分類でデッキを目指すべきかは選択するタイミングが来そうです。
つまりはしっかりと個別に分析して評価する必要性がありますし、カード強さが環境で上下することを考えると事前評価はあまり当てにならないかもしれません。ごめんね。


5:その他カルドハイムの特徴

専用メカニズムなど以外の部分から見るカルドハイムの特徴です。

5-1:コモン除去の質

各色極めて高いと言えます。それぞれの色で見ても歴代で最上位のレベルでそろっていると言えるでしょう。
白:歴代最強の平和な心+扱いやすいレンジストライク。レンジストライクの方は予顕前提な部分があるものの概ね使いやすいでしょう。
青:予顕バウンス+鴉変化+怪物縛り。どれもやや癖があるものの、そもそも青に3種類あるという事実が強いです。どれも軽めなため青全体のテーマである予顕と相性がいいですね。
黒:4マナ確定除去+1マナー3修正+オーラ+被ダメ破壊+氷雪土地分マイナス修正。どれも1枚ずつ見るとやや歴代より弱めなんですがそれぞれ長所で補い合えますしデッキ単位で生かすこともできます。総じて質が高いと言っていいでしょう。
赤:1マナ2点+3マナ4点+5マナ6点。すべてインスタント。この時点で評価が高いのに、それぞれ一定条件でより強くなるおまけつきですね。どの除去範囲も頼りになり、最も除去が強い色と言っていいかもしれません。
緑:予顕つき弱者狩り+プチ寄せ餌。弱者狩りの時点でだいぶ強かったんですが、ここに予顕がつくのはかなり大きい意味がありますね。寄せ餌もこの環境では除去+αとして十分使えるタイミングがあると思われます。
このようなラインナップです。赤を中心に除去がやや軽めであり範囲が広いですね。こういうときはコントロール側としてもビートダウン側としても扱いやすいので、クリーチャーは除去されやすいものと思ったほうがよさそうです。

5-2:クリーチャーのサイズ感

極寒の地では生命が育たないので、カルドハイムは全体的にクリーチャーが小さいです。
緑に4/4も3/3もいないとか、赤の5~6マナ域がすっぽ抜けてるとかが顕著ですね。
3マナのコモンは3/2が大半以上を占めており、タフネス4やパワー4そのものが貴重になっています。
これらはつまり、攻めるクリーチャーを一方的に止めるサイズのクリーチャーが少ないという見方が出来ます。そのため、全体的にはアグロが攻めやすい環境と言えるでしょう。
ただその一方で、一部クリーチャーは壁として破格のサイズを持っています。巨大雄牛、神の間の守護獣、煙霧歩き、リトヤラの同族探し、戦慄の乗り手などですね。これらが一度出てきてしまうと、工夫なしには乗り越えることが出来ず一気に攻めあぐねてしまうことも考えられます。
評価の時には攻める側受ける側共にこのサイズの不足問題を意識する必要があるでしょう。
その上で全体的に見ると受け側がやや優勢に思えます。アンコモンまで視野を広げるとだいぶ壁の選択肢が増えるからですね。攻める側は線の細さは変わらないままです。攻める際には安直に3/2を並べ続けるだけのデッキにならない意識が必要と思います。

5-3:メカニズムの干渉

勘のいい人は気づいたかもしれませんが、カルドハイム固有メカニズムである『予顕』『氷雪』『誇示』は互いに干渉しあっていると言えます。どれも『マナの支払い』に関連する能力だからですね。それぞれ色が微妙に違うのでキレイに組めている間は気にしないかもしれませんが、ひとたびずれ始めたり混ぜようとすると『予顕で効率よくマナを使いたいのに誇示に払わなくちゃいけなくなる』『誇示にも氷雪にも払うマナがない』などといったことが発生すると思われます。そのため、デッキ全体で見て『マナの支払い』度合いがどの程度なのか気にする必要があると思います。

最後に

内容を4個入れてなお予顕より短い記事でしたがお付き合いいただきありがとうございました。
前後半合わせてこれらの5つのファクターが、カルドハイムのリミテッドを難しくしていると思います。特にやはりアーキタイプ支援の不足によるカード評価軸の一つが欠けているのが事前記事を書く上では難しいですね。
次回からはそれも踏まえてカード個別評価記事、まずは白編から行こうと思います。是非皆さんも一緒に評価軸を探したり、その評価軸を使ってみたりしてみてください。


また、今回の記事は無料公開としていますがもし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。

ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?