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リミテッド大考察新年特別編 「デカスロン攻略編」 競技7&8

いよいよデカスロンも終盤になってきましたね。今回はかなりスムーズに終わって、こうして記事も早め&余裕をもって書くことができ、最終戦に向けての英気を養えています。
ということで、今回もMTGAの恒例(になっていきそう)イベント「デカスロン(十種競技)」の参加結果と思考をまとめた攻略記事を書かせていただきます。

こちらは長期間にわたるMtGAのイベントです。数日おきに2競技ずつイベントがローテーションし、クリアした回数によって最後の決勝競技へ参加できる、というものですね。詳細は以下公式記事をご確認ください(英語のみ)。
The Arena Decathlon Kicks Off the New Year with Ten Events, Finals, and Lots of Prizes (wizards.com)
毎度感謝の引用リンクを張りますが、事前の予想情報が欲しいという方は下記の「山辺カフカ」さんの記事が大変よくまとまっているのでぜひご一読ください。何を隠そう筆者も大きく参考にしており、読んでおいていただければぞんび側の記事を読む際の理解力の助けにもなるはずです。是非!
カフカさんサイドもリアルタイムで参加された結果を随時追記されており、こちらの記事とある種リンクさせて読むことができるのではないでしょうか。



今回は競技7『神河:輝ける世界 クイックドラフト』と競技8『エクスプローラーBO3』になります。

他の競技結果は以下です
デカスロン競技1&2
デカスロン競技3&4
デカスロン競技5&6
デカスロン競技7&8ここ
デカスロン競技9&10



競技7:神河:輝ける世界 クイックドラフト

久々に神河の世界に戻されてのドラフトですね。試合形式はBO1と普段通りですが、ドラフトが対人ドラフトではなく、機械的にピックを行う「BOT」相手となります。そのため普段と考え方が変わる部分が多少ありますね。


7-1:事前思考

とりあえずまたまた宣伝です!!!この記事を読んでくださってる皆さんであれば当然ご存じのはずですが!『リミテッド大考察』という記事シリーズを書かせていただいています。リリース前の段階での予想をメインとしてカード1枚ずつの評価を深堀して書かせていただいている記事シリーズですね。手前味噌ですがトータル15万文字ほどあるボリューミーなシリーズなので今から熟読するのはちょっと重いかもですが、流し見だけでもしていただけると理解の一助になるかと思います。


神河の評価は基本的に大滑りはしてなかったです。当世、長い夜の手のような英雄譚クリーチャーたちの評価が全体的にちょっと低くしてしまっていたり、地熱の神のような長期戦向けエンチャント活用カードも少し見誤りました。全体的に「忍者」と「赤と黒系の押し付け」ベースの高速環境だと思っていたためですね。皇国の契りも、外してしまいました。忍術に対抗する侍戦術を重視しすぎていましたが、侍が普通に弱く、一方でロングレンジの緑に絡む白がかなり手ごたえがよく、記事で一応触れていた通り「コモンで安く取れるフィニッシャー」として緑系のデッキにタッチで使われました。

全体的に今の感想としては、「高速」「低速」入り混じった環境だと思っています。想定通り赤黒系、青黒系を始めとして序盤からクリーチャーで殴るデッキは強かったです。ねじれた抱擁や大牙勢団の襲撃といった攻める黒いカードは予定通り強かったですし、忍者の殴りやすさも予想通りでした。赤も比較的安く取れる止められぬ大峨や鉄蹄の猪といった「攻撃有利」なカードが揃いやすく方針に一定の安定感を感じました。その一方で、緑のロングレンジゲームが予想を超えて強かったのも事実です。「更生の季節」を軸にしたアドバンテージプランは頻繁に無限ループを内包できますし、地熱の神によるライフゲインが思ったより大事でした。更に前述した皇国の契りのような手軽に取れるフィニッシャーもあり、ゲームレンジに入った時の強さは半端なかったと思います。

それに加えてBOTドラフトの特徴です。基本的には各BOTプレイヤーは「統計を基に作られたカードの優先度順に取る」「BOT毎にランダムに”好きな色”が割り振られており偏りが発生する」「あとから色替えなどは原則しない」の傾向があります。
その癖を利用するならば以下の方法が一般的な手法とされています。
・早々と色を決定し、決め打ち気味にピックする。
これには2個のアプローチがあります。まずは『あらかじめ、本来の強さよりBOT評価が下げられているコモン及びそれらが属する色/アーキタイプを探り、決め打ちを行う』ですね、古くはラヴニカの献身での「不正相続かき集めオルゾフ」ですね。とにかく不正相続が安く、それらを見かけ次第とる戦術でした。このように、「穴」となるカード群を見つけることができれば普段より歪めたピックにより強いデッキを再現性高く用意することができます。
もう一つは、「再序盤に流れてきたパワーカードで色を早々と決定し、アーキタイプを後から整える」ですね。特定の色の強いカードがはやばやと流れてきたのであれば近隣のBOTは「その色が嫌い」である可能性が高いです。そこに入り込むことによる利益及び入らない不利益は普段より高くなりがちですね。また、BOTのもう一つ発展的な特徴として『2パック目以降の多色カード/アーキタイプの専門性が高いカードをどんどん流す』があります。色を変えたりなどをしないため、現時点で使わないが強いカードを保留で取ったり気が変わることがないためですね。そのため例えば赤黒の鬼流の金床や緑白の気前のいい訪問者のような『特定のアーキタイプできわめて強力なカード』を後から取ることができ、アーキタイプの『後付け』がしやすいと考えています。これを行うためにはやはり前提として『周囲のBOTがやってない色』であらかじめ待つ必要があるため、安い色を見つけたと思ったら早々に入り込むことを考えました。
前者の『あらかじめ決め打ちを考える』はやららないことにしました。BOTの評価は定期的に見直されており、過去の情報がまず今回宛になりません。『青黒忍者決め打ちがおすすめ』という意見なども散見されましたが、『そのアーキタイプの強さ』に触れるのみでBOTの評価について触れていない意見が多く、決め打ち戦術として根拠が足りないと感じました。青黒自体をやらないというわけではないです。
そのため、後者の『空いている色を敏感かつ早めに察知し、判断を早く色を決める』を重視することにしました。また補助として、初手が強力なレアであった場合その色にごり押しすることも考えています。クイックドラフトはある程度上振れが必要なためギャンブルもしなくてはいけないと感じたためです。

それを踏まえて、いかに各アーキタイプのやりたさを整理しました。やりたいアーキタイプが安いサインを見つけたらすぐ参入するためですね。全体的に『自分から攻めれる形』を例によって重要視しています。神河の攻めはパターンが入ったら止めづらく多少のデッキ性能さを覆せるためですね。
青白』:あまりやりたくない。白の強い英雄譚から入り他の色がなかった場合のみ?多色アンコモンは強いがアーキタイプ全体に不安があるため初手には取らない。あとから流れてくることは期待。期待だけに。
青黒』:アンコモン以上スタートならぜひやりたい。あるいはねじれた忠誠スタート。忍者たちの評点が高くなってそうで不安。半端なコモン忍者からはスタートしたくない。
赤黒』:やりたい。鬼流の金床に期待できるためやや弱めのスタートでも色が空いていればGO。これもねじれた忠誠が最高。
『赤緑』:やりたくない。アーキタイプに不安なイメージが付きまとってる。
『緑白』:やってもいい。エンチャント型とコントロール型がありカード評価の見極めが難しいためやや消極的。逆にどちらかのキーパーツが来たらすぐGOかも。更生の季節絡みの無限ループ系のカード評価が低い可能性がある?(評価に入れにくい部分なため)
『白黒』:やりたくない。アーキタイプとして半端であり、多色アンコモンもそこまで強くない。黒い強いカード⇒白い強いカードの手順が発生した場合のみ考慮。
黒緑』:流れ次第。緑の中長期戦デッキの中では使いやすいほう。ただし黒い殴りパーツから取り始めるとこれになりづらいかも。
『緑青』:やらない。緑にタッチカラーした結果これを内包することが多いが意識してこの色パターンを狙わない。多色アンコモンである『空亀』は緑単色のカードとしても強力でありこだわる必要がないため。
『青赤』:やりたくない。青も赤も青赤のパーツと共有する多くが青黒、赤黒で使えるため『青/赤から始めて黒になれなかった場合』の結果として落ち着くことは多そう。赤黒の下位互換になりがちで、鬼流の金床ポジのカードがない。
『赤白』:やらない。多色アンコモンも弱く色自体の組み合わせにうまみもない。
このようになりました。『青黒か赤黒のアグロ方向』が最も好みで『緑白/緑黒の中長期デッキ』が2番手、それ以外にはなりたくないといった感じです。ただし、BOTの評価を度外視しており、何回か挑戦する中で評価の偏りを感じたら話を変えるつもりでした。


7-2:ドラフトと結果

そんな感じでドラフトを始めました。様子見のつもりだったので初手しか画像を残していませんが、初手は『漆月魁渡』スタートという、青黒のボムレアであり絶好でした。

絶好の初手

この後は長い夜の陰が1-2,ねじれた忠誠が1-3,毒血勢団の口封じが1-4と黒が絶好の参入チャンスと思う流れであったため早々に黒は確定します。その一方で、青は終始不安な流れでした。月回路のハッカーとネットワークのかく乱者という重要パートこそとれたもののそれ以外は一切カードが増えなかったです。ただし魁渡が非常に強いため黒単タッチ青のような形でもいいかと妥協し、とりあえずは『黒い忍者系アグロ』の形を目指しピックを進めています。軽いクリーチャーをメインにし、補助カードも軽いものを重視しました。『2/2/1』のようなアーティファクトクリーチャーもとりあえずで多めにとっていますね。
2パック目以降は相変わらず黒の流れはよかったです。青は相変わらず増えませんでしたが高速ホバーバイクが2枚取れたりもあるためデッキとしての方向性はまとまると感じそのまま進みました。
最終的なデッキはこちらです。

忍者自体はあまりとれなかったものの、今回の最強コモンだと感じている「ねじれた忠誠」が2枚に、高速ホバーバイクとネットワークの攪乱者が2枚ずつと十分攻める形はできており手ごたえは感じました。
次元切開のようなサポートカードもとれていましたが、忍者が足りないため不採用ですね。
予定通り攪乱者やホバーバイクで序盤の忍者を通しながらクロックを用意しねじれた忠誠で押し込む動きが強く、無事7-1で勝利となりました。1敗は活力の温泉からの燃え立つ空、軋賜とされてしまい、軋賜は除去するもののテンポとボード両方伸びた相手に殴りきれませんでした。


7-3:振り返りと感じたこと

自分の一回+他の人のピック風景などをいくつか見て感じた結果になります。

・評価の偏りはわからず
明確に安いと思えるアーキタイプはなかったです。筆者がやりたくないとした「青白、青緑、青赤、白黒、赤白、赤緑」のどれかが安かった可能性がありますが、これらのアーキタイプは特別注目するべきコモンもほぼないため気づかなかった可能性がありますね・・・

・青黒忍者は高い
自分でやったものや他の人のピック風景や結果などを踏まえると、青黒の忍者系列のカードはかなり高く評価されBOTに先に取られているように思います。特に重要カードである「月罠の専門家」は本当に見ませんでした。当世も怪しく、また月回路のハッカーも高めであり、これらが流れてこない忍者は、今回のようなボムレア/アンコモンから無理やり進み、かつ「黒は豊富にとれている」のような逃げ道がない限り決め打ちで目指す魅力は少ないと感じました。
ただし、デッキアーキタイプとしてはやはり強いものであるように感じます。ネットワークの攪乱者はやや安めにとれそうであり、『黒がメインで取れているときの補助カラー』としての立ち位置はいいように感じました。できるチャンスは逃さないようにしたいです。いざやる際には、コモンのトップクリーチャーが全部高いことを考慮し小手の使い魔のようなカードもちゃんととらないと青いクリーチャーが足りなくなりがちなのは注意です。

・黒がねらい目かもしれない
個人的にはそもそも最強カラーは黒です。アグロ面、忍者面に進めるパーツも中長期戦に進めるパーツも両方あり途中で方向性の切り替えできる程度には『共通パーツ』が強く取れやすいです。
そのうえで『攻める黒』において超重要カードである『大牙勢団の襲撃』が強さに対して非常に安く感じました。筆者は1枚のみでしたが7手目で取れており、他のピックでも複数枚回収できているケースが多いです。このカードは単独でのダメージクロックとしても優秀ながら忍術のタネとして優秀であり、また月刃の祝福者のような『エンチャントを要求する黒いカード』を強く使うことも可能にするとピック強度を大きく上げるカードです。もし本当に安いなら黒決め打ちがあり得るかもしれません。
その場合は前述した通り忍者は辛そうなので黒緑か赤黒のチャンスを積極的につかんでいきたいですね。

・緑ももしかしたらねらい目
筆者も感じましたし報告も受けましたが、緑のアンコモン類がやや安くなっている可能性があります。空亀や気前のいい訪問者に旋風脚などですね。特に前二つは2パック目以降流れてきやすいかも。筆者も魁渡のモチベが無ければ緑黒にシフトしていた可能性が非常に高いです。

・決め打ちするならば『緑黒』
総合すると緑黒が強さに大したカードが安い可能性があると感じました。失敗してももともと強い色の組み合わせとアーキタイプなのでリカバーがしやすそうですし。緑黒で決め打つか、『パワーカード』からスタートして色の早決めをする戦術も手ごたえありそうでした。そのどちらかをしたいですね。

・攻めるデッキ推奨
これリミテッド競技のたびに言ってると思いますが攻める形になるデッキの方が今回もいいと思います。基本的には攻撃系のメカニズムが強いエキスパンションですし、BOTドラフトの都合上互いにデッキが強くなりがちなのであれば、よりデッキが早く攻撃的である方が『相手の方が強い場合』にもチャンスが生まれて戦いやすくなると感じました。

・特記戦力
最後に、おさらいの意味も踏まえて特にパワーカードだと感じるコモンアンコモンをいくつかピックアップします。これらが1~5手目などでBOTから渡されたらその色を空いているあるいはBOT評価が安いと判断するポイントがたまると思いました。

・白
皇国の契り、神憑く相棒:白コモンの中で勝率群を抜いてます。取れないならやらないレベル。
魅知子の真理の支配:白のアンコトップかも。エンチャント集めるだけで勝てます。

・青
月回路のハッカー、月罠の専門家、ネットワークの攪乱者、当世:青のクリーチャー四天王です。逆にこれ以外があんまり強くない。攪乱者は安めっポイけど他は高そう。他3枚が複数流れてくるならチャンス。
語られざるものの警告:全アンコの中でもトップクラス。流れてきたら青ごり押ししましょう。

・黒
大牙勢団の襲撃、ねじれた忠誠:これらが取れるのが黒の強さにつながります。襲撃が4手目以降なら全部取ってよさそう。
無孤勢団の伏兵:勝率自体は極端に高くないものの、お互い殴り合うデッキが増えると判断した結果重要だと思っています。早いと感じるくらいにとっていいかも。
梅沢敏郎の生涯:前回は安すぎることで話題でした。さすがに修正されたみたい

・赤
兎電池、熊野と渇苛斬の対峙、霜剣山の製錬者、双弾の狙撃手:どれも攻めれる強アンコモンです。赤の絶好のスタート。その一方でコモンには特記戦力級はないです。

・緑
天空に到る母聖樹、花咲く跳獣、機械壊しの河童:この3枚の存在によりアンコモンの強さランキングは緑が目立ちます。これ全部ベスト5入りしてるので。一方でデッキ全体で戦う色なためかコモン類は飛びぬけたものないです。アンコモンからやはり入りたい。気前のいい訪問者や旋風脚も十分。

・多色
赤白、赤緑、白黒以外の全部は特記戦力扱いでいいです。2~3手目に渡されたら突っ走ってよさそう。青白と白黒はやはりやりたくないですがアンコモンスタートなら忌避しないかも。

・アーティファクト
回路の修理屋、継ぎ接ぎ自動機械、高速ホバーバイク:どれも攻めたり忍術と相性がよく、赤黒でもしっかり機能する良アーティファクトです。色を決定できないのは残念。

以上が整理でした。
最後のアドバイスとして、「記事を読み次第素早く参加する」ことをお勧めします。時間を置くと最終的に追い詰められたプレイヤーたちが「リセマラ」して強いデッキをBOTからドラフトできるまでやり直してくることも考えられるからですね。

競技8:エクスプローラーBO3

最近アリーナで『エクスプローラーアンソロジー』が追加されたことでまた動きのあった、熱いフォーマットですね。テーブルトップMtGにおいてのパイオニアになることを目指しているフォーマットです

8-1:事前思考


基本的にはパイオニアに準じた環境であり、『現時点でパイオニアで強く、エクスプローラーで再現率が高いデッキ』がいいとしました。
パイオニアは筆者は直接プレイしておりませんが、『週刊ふんわりパイオニア』という企画でパイオニア環境を追い続けている眞白井エイドさんと親交があり、そちらを中心に情報交換を密にさせていただいておりました。そのため、パイオニア環境のおぼろげな全体像やプレイ体験はつかむことができていました。記事アーカイブは以下です。


そこでの体験や思考の結果、最初は『緑単信心』をプレイしようと思いました。理由は次のようなものがあります。

・強さ×再現率の指数が高い。
現在のパイオニアではTier1に位置するデッキです。MTGAにおいても先日『ニクスの神殿、ニクソス』が追加されたことによって再現率が飛躍的に高まり9割程度となりました。唯一「ニッサの誓い」のみ未実装であり安定性をやや欠いているものの、元の強さを踏まえてトータルのデッキ強度が最高だと感じました。

・プレイパターンが簡単
大雑把に断じてしまえば、マナクリーチャーをキープする⇒展開してマナを増やす⇒大技を使うの流れのみが存在するデッキです。そのそれぞれのプロセスで選択肢こそあるものの、相手側に対する介入力が低いデッキであるため原則原則最高効率で自分の動きを考えればいいデッキです。そのためパイオニア不慣れでも適応しやすいと考えました。カーンによる選択肢は大きく難しくあるものの、最近はファイレクシアへの門と街並みの地ならしやの追加によってシンプルな安定択が増えています。また、筆者はかなり前ですがスタンダードで「カーン入り緑単信心」を使っていた経験がありカーンの選択肢には慣れていたのも大きかったです。
また、パイオニアは環境速度が非常に速いと感じています。そのためマリガン判断の重きが大きいのですが、そこも一貫した強い方針があるためミスが発生しづらくなると考えました。

・サイドボードがない
このデッキはサイドボード15枚全部が「ウィッシュボード(カーンで飲み持ってきて通常サイドインをしない)」です。環境不慣れな立場ではそれぞれのデッキに対しての細かい相性さやインアウトを把握しきるのは難しいと判断しました。誤ったインアウトでデッキを壊してしまい勝手に負けてしまってはTier1の持ち腐れですしね。そのため、「サイドボードしなくていい」このデッキはパイオニア経験値を不問にしてくれ好都合です。

・理不尽な展開が存在する
筆者が思うパイオニア環境は「攻撃力8:防御力2」の環境だと思っています。押しつけやハメパターン、コンボを持つデッキが跋扈している一方で「ピッチの不在」によりそれらの分周りに対して正面から捌くことしかできないという印象です。そこで、「もっとも理不尽な押し付けパターン」があるデッキを考えました。「1マナのマナクリーチャー8枚」からスタートする初速があり、真夜中の襲撃による超上振れがある緑信心がもっともこの条件に当てはまると思いました。

・二條麻衣さんの後押しがあった
急に宣伝二回目です。ゲーム配信をメインにしてらっしゃるVtuberの方で筆者以上に多様なフォーマットへの造詣が深く、こういうイベントの際のオピニオンリーダーとして実は頼りにさせていただいています。今回のイベントもスムーズに競技クリアされていますね。
他人任せかよという感じですが、こういうデッキ選択の幅が広いイベントにおいては信頼できる人の意見の後押しがあるのは重要ですね。プレイ中などに迷ってマリガン判断やプレイングがぼやけて自滅しづらくなりますし、再挑戦する際も問題点の洗い出しがしやすくなります。是非皆さんの後押しにこの記事もなれれば幸いですね

二條 舞衣-Nijo Mai-(@Dancingdress_Sq)さん / Twitter

次点候補としては同じく押し付け側で緑単信心に明確に強い「白単」、思考囲いで防御力を高めれる「ラクドスミッド系」、最近同じくTier1であり再現度も文句がない「エンジェルカンパニー」がありました。
白単は実はあまり好きではなく、ラクドスはサイドインアウトに不安があり(何をサイドボードに用意するかメインの微調整をするか込みで無限の選択肢がある)、エンジェルカンパニーは1マナマナクリーチャーによる押し付けの差で緑単信心に今回は劣るかなと思いました。BO3で5勝する短距離走であるため「ブン周りが強い」を重視した形ですね。


8-2:結果と再選択

使用したデッキはこちらです。二條さんに教えていただいたバージョンから、恋煩いの野獣2枚を大食のハイドラにしました。このカードが好きなのと、最大勢力である予想した「緑単信心」のミラーマッチに備えて有利なカードであると考えたためです。

結果は、ミラーマッチ2回は相手のプレイ練度が低いこともあり後手から制すことができたものの、「青黒コントロール」「白単信心」に負け3-2止まりでした。
この白単信心に対する負けによりデッキの再選択を考慮しました。もともと不利と聞いていましたが、思ったより更に1段階不利に感じたためですね。あっちにだけ介入手段が豊富にある上で、それを突破して盤面を作っても精霊の挑戦1枚で負けるの本当に不利に感じました。負け方にもそれこそ「理不尽」を感じてしまいメンタル面も気になりました。
また、メンタル面でいえば想定以上に緑単信心ミラーが不毛でした。原則として「先手を取ったら勝つ」の構造でありプレイングでどうこうできる限界を感じました。大食のハイドラも結局先手ゲームでは無駄でした。反省です。しかしその一方でミラーに強くする工夫も正直なにも思いつかなかったです。軽く調査した限りではやはり勢力としては最大である可能性が高く、「2回負けたら終わり」のイベントでその運ゲーが含まれていることは非常にリスクに考えました。
不利な白単が一定数おり、緑単ミラーが不毛。この2点を踏まえると実はこのイベント形式では最適でない選択肢になったと感じました。回数を重ねれば「緑単先手ゲー」を制したり白単を避けて5勝できることもあると思いましたが、BO3であり時間と体力の消耗が激しいと予想されました。

そのためデッキの再選択を行うことにします。最低限「緑単信心」と「白単」のどちらかに明確に有利でありもう片方に五分以上であることが条件です。
答えは早く見つかりました。というか実は挑戦前にすでに情報が入っていました。最初の一回はその情報を確かめる意味も含めて緑単信心で入った形ですね。
上でも名前を出した二條舞衣さんから「緑単も白単もくそ多いから、グルール機体がおすすめ。白単相手にかなり強い」という情報ですね。実際にグルール機体を使っての突破報告も受けました。
グルール機体は最近パイオニアで注目度がどんどん高まっているデッキであり、解説した非常にわかりやすい記事が何個か出ておりデッキ理解度も高めることが簡単でした。
簡単に言えば「1マナクリーチャーを使うことによる分周り(緑単信心と同じ思想、1⇒3⇒5のジャンプアップ)」を持ちながら「相手に対する介入手段」が豊富であり、鏡割りの寓話による安定度、各種機体とミシュラランドの多さによる「ビートダウンでありながらも高い(全体)除去耐性」、「一部相手に極めて有効なアクロス戦争とスカイソブリン良採用による戦いやすさ」がウリな感じです。
前述の緑単信心を選ぶ際の基準に照らし合わせても、「サイドインアウトはクリーチャーはほぼ触らず除去/機体/アクロス戦争スロットの交換でいいためデッキを壊しづらく」「ラノエルか除去でキープしやすく」「基本は出して焼いて殴るなのでプレイパターンも簡単(※ただしリーサルパターンは豊富でそこは慣れが必要」「マナ加速を軸にしたブン周りがある」と扱いやすいデッキであるように思いました。そのため再挑戦のデッキとして選択します。

デッキは以下です。ジェガンサを相棒にするためエンバレスの宝剣などは採用していないパターンですね。

再挑戦の結果は4-2でした。予定通り白単相手に非常に強く楽に勝たせてもらいました。しかしその一方で、五分~やや有利と思っていた緑単信心に2敗を期してしまいます。1マナ火力が入っていない分で結局先手のブン周りに介入が間に合っておらず、またアクロス戦争が効果的な盤面になる前に真夜中の襲撃を打たれるとほぼ負けるパターンになっていました。しかし結局これは緑単信心ミラーでも変わらないポイントであり、まだそれよりは良いマッチアップだと感じデッキを捨てるほどには感じませんでした。
とはいえ相手の緑単信心にブン周りを繰り返されてしまい未練がぶりかえしてしまいますw
そこで、緑単信心と交互に挑戦を行うことにしました。
2度目の緑単信心はまたも4-2であり、デッキパワー自体はやはり高いものを感じます。まーた白単に負けてるのでベストでないという手ごたえも変わりませんでした。
そして通算4回目となる挑戦で、無事グルール機体で突破となりました。

白単、白黒氷雪コントロール(?)、ラクドス、グリクシス、青緑テンポ(?)と当たっての全勝ですね。俗にいう「高Tier」ではないデッキ2個とも当たっており、相手側のデッキパワーがやや低く感じたため当たり運も正直ありました。でもそういうデッキに対して押し付けて勝てるパワーがあるのがいいですね。青緑相手は土地2でず止まって正直きつかったですけど勝てたのでパワーを感じました。


8-3:最適な選択肢

改めてこのイベントを振り返るのであれば、少なくとも筆者が参加したタイミングでのベストは同じくグルール機体だと思います。既に述べた理由がどれも実際のプレイの際にも手ごたえがありました。
ただしすでにクリア報告が多数上がり始めています。しかしどのデッキも今回は強いためこのデッキがあまりにも支配的になることはこの3日間の間にはなく、また故に強く意識し続けられることもないとは思いますが、「何かとまとめてメタれる」デッキが出てくるとちょっと不利かもしれません。それでも安定択だとは思います。

緑単信心に関しては時間があり無心で回し続けれるのであれば最適になれると思います。ただし負ける展開での無力感がどうしても高かったりとメンタル面が気になりますね。同じくこれも今後強く意識される側に回りそうなのでそこも合わせてちょっとおすすめ度が下がります。

白単は、増え始めているグルール機体に弱いため筆者だったら使わないです。

触れ忘れていましたがラクドスミッドレンジもおおむねグルール機体に不利なので避けるべき選択肢だと思います。逆にここに強いのがグルール機体の良いところでもありますね。どのフォーマットでも強いデッキのため、馴染みを優先して選ぶプレイヤーも多いと思うので。

他のTier1だとエンジェルカンパニーがいます。グルール機体に圧倒的ではないもののやや強めであるため選択肢には入ると思います。ただし「1マナのアクションが無い」ことによりブン周りパワーの点で他のクリーチャーデッキ達に劣る選択肢だと思います。それはつまりマリガンがやや難しくなる(ラノエルからキープ!みたいな緩さがなくなる)ことにもつながります。緑単信心相手もサイドボード後は有利であるもののメインボードで不利を感じるのがよくないですね。最終的には五分程度になってしまっていると感じます。デッキパワーは高いもののより良い選択肢が多いと感じました。

また、緑単白単グルール機体が多いというフィールドに整ってくるのであれば青白コントロールもお勧めにあげれます。緑単には打消しと全体除去で対抗しやすく、同じ構図をグルール機体相手にもぶつけれます。何なら向こうの介入札が腐るので有利ですね。(ミシュランと機体の処理間違えると厳しいですが。逆にグルール機体使う側はこれらが安直に処理されないように押し付けていきましょう。)
また、「グルール機体に強いから」でおすすめできるとおもったエンジェルカンパニーに強いのもかなりいいポイントです。互いにグルール機体に強いのであれば、直接対決で有利なこちらがあたかも上位互換の選択肢といえますね。
マリガン判断とサイドインアウトも含めてプレイングの選択肢が多く、常にミスの危険性があること、1試合が長引きやすいことからある程度慣れて/理解があるプレイヤーじゃないと厳しく感じるのがリスクです。筆者は避けました。

今回非常に強く参考にさせていただいた『未熟者』さんのnote記事を紹介させていただきます。
グルール機体を選ぶまでの思考経路と、そのあとどう取り組んだかがわかりやすく記載されており、非常に参考にしやすい記事となっております。これからエクスプローラーやパイオニアに参入される方は是非読みましょう。

参考までに、アゾリウスコントロールもサンプルレシピを置いておきます。好みで放浪皇を増やすと上述のグルール機体などのビート相手への勝率がさらに良くなると思われます。


以上で改めて第七、第八競技の思考結果でした。
サクサク終わったのでのびのび記事がかけましたね。参考になりましたら嬉しいです。


最後になりますが二つ宣伝です。
意見交換やドラフトを一緒に観戦したり交流する場としてDiscordのサーバーを立ち上げています
もしよければどなたでもお気軽に来ていただいて一緒に活動やご意見いただければMTGAのドラフトを楽しみやすいと思います。この記事を読んでいただいたことをきっかけにドラフトを始めてみたいという方もぜひ!
リンクはこちら。

また、筆者は非公認MTGA大会『まじ☆すと』というものを運営しております。Vtuber/配信者/動画投稿者/記事執筆者/etcと、インターネット上でMTGAの活動をされている方を広く集めた大会になります。ぜひこちらも公式アカウントから気に留めていただけると幸いです。前回無事『新春CHAOSちゃんぴおんずカップ』を開催させていただきました。今後も大会企画をしてきますし、次は1/20,21,22『まじ☆すと ~じゅうさんかいめ~』を予定しています。是非応援いただけると幸いです。
MtGAstreamer_tournament/まじすと(@mtgastreamer)さん / Twitter
また、今回の記事は無料公開としています。が、もし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。是非よろしくお願いします!

では最後の第九、第十競技をクリアしたらまた書きます!

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