水中では負けない男
水中だったら絶対に負けないのに、俺!
先日上級生にかけっこでマウントを取られて憤慨していた小1の息子の台詞である。
まるで水中生物代表みたいなセリフだ。
息子は小学校入学前に、
4泳法をマスターして
週3,4回、多い時は1日2時間泳ぐ男児だ。
1日に走る距離より泳ぐ距離の方が長いのではと思う日もある。めっちゃ泳ぐ。
そんな彼だが2年前までは、
スイミングスクールに行っても
後頭部がからっからに乾いた状態で
プールから上がってきていた。
コーチには相当な水嫌いと認定されていた。
スクールにペア割で一緒に入った友達に悪かったし、むしろその子がどんどん先にいってしまって
息子は明らかにやる気を無くしているようだった。
スイミングって幼児期の習い事代表格の割には
そもそも最初から水泳やりたい!
水大好き!って子が少ないように思える。
友達と一緒とか、
行ったらアイス買ってもらえるとか
何かしらの外発的サムシングがないと
通うことすらままならないのだ。
半年ほど進級試験も停滞して、
このまま辞めるかもなと様子見していたのだけど、
そんな頃息子の様子が変わってきた。
そもそも水泳以外のことも、
僕は出来ないからやらないと言い始めたのだ。
やる前から諦める癖がついてきていた。
これはまずいぞ。
なんでもいいからやったら出来たという成功体験を味わわせなければと思った。
ちょうど時期は夏休み。
仕事の夏休みや土日、
10日間ほど毎日市民プールに通った。
すごい!水の中で目があったね!
ラッコさんになれたね!
なんて言いながら、大太鼓中太鼓小太鼓ボンゴ、
持てうる限りの太鼓を持った。
息子も最初はアイスにつられていたはずが、
そのうち今日はちょっと潜ってみるかな。
なんか出来そうな気がするなとかいいながら
少しずつだが前向きにやっていった。
そしてその月の最後に、
極め付けのスクール短期教室にも通い、
半年以上停滞していた級からついに進級したのだ。
やったね!出来たね!頑張った甲斐があったね!
その時にはわざわざ口に出さなくても
本人が1番わかっていそうだった。
あれから一年半、
息子はまさに水を得た魚になった。
先日、久しぶりに市民プール行かない?と誘われた。
もはやわたしから教えることは何もなく、
逆に人生初のバサロキックを教えてもらった。
いい感じだよ、
もう少し水中でキックしようか!
頑張れ!
太鼓を持たれたのは完全に私だった。
あの時の進級以来、挑戦することに少しずつ抵抗がなくなってきている。
逆上がり、うんてい、フラフープ。
最初は全部出来なかったけれど、
スモールステップを踏みながら
できるようになる過程が楽しんでいた。
まだまだ最初の一歩はかなり重い方ではあるけれど、水泳みたいにできるようになるかもなという魔法の言葉を唱えては挑戦している。
その魔法の言葉、きっと生涯の財産になるよ。
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