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重力ピエロ 小説

あらすじ

主人公は泉水。春という弟がいる。

春は母が強姦に遭い生まれた。

その境遇は春だけでなく、家族にとってあまりにも大きい出来事であった。

大人になると泉水は遺伝子に関わる仕事、春は街に描かれた落書きを消す仕事をしていた。

ある日連続放火事件が起きた。その事件には法則性があった。放火が起きる前に放火現場の近くに落書きがされる。

その落書きを消していた春はその法則性に気づく。春は泉水と共にその犯人探しを始めた。

泉水は犯人探しをしている中で春の異変に気づく。そして放火と落書きの犯人は春である事に気づく。

春は28年前に強姦事件の現場で放火を起こし、犯人である葛城に警告を送っていた。

そしてついに葛城を放火現場へ呼び出しバットで葛城を殺してしまう。

その後、泉水は自分も葛城を殺そうとしていた事を告白する。

泉水と春の父は兄弟が何かを起こしている事に感づいていた。父は春に対してそれを問うが何もしていないと春は答える。

「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」父の言葉は家族を救う最高の台詞だった。



感想

春とその家族はレイプ事件について常に考え続けていた。春が葛城を殺した後の泉水の言葉が印象的だった。

「お前以上に、このことを真剣に考えた奴なんて、この世にいないんだ。それなら、他の奴に評価させるなよ」

私は殺人を認める事はできないが、春や泉水の行動を否定する事もできない。それはかわいそうとか同情ではなく、先ほどの言葉の様に、かなりの時間考えた末の結論であり、今さっき来た私が否定できるものではないからだ。

春は葛城がいなければ生まれて来なかった、その矛盾に苦しんできた。しかし父の春への言葉は家族を救う言葉だった。

この言葉は葛城との繋がりを忘れさせてくれる言葉だと感じた。

春と父は血の繋がりはないが、普通家族より家族だと感じた。

ピエロが空中ブランコで飛ぶ時重力を忘れる。

「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんてなくなる」

「わたしやあなたは、そのうち宙に浮かぶ」

こんな前向きな言葉はない。

以上。

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