ボードゲームの説明書に学ぶ、「伝わる」引き継ぎ資料の作りかた 理論編
1月は、人が会社を辞める時期です。
それは、求人が多くなる3月に標準を合わせて、会社を去る人が比較的多くなるからだとか。
そんなふうに誰かが辞めると発生するのが「引き継ぎ」です。辞める人がやっていた仕事は、誰かが代わりにやらなければいけません。辞めなくても、異動でも同じことが発生するでしょう。
でも引き継ぎは大抵、あんまりうまくいきません。その理由のひとつが、「残念な引き継ぎ資料」です。
辞める直前の人はバタバタと忙しくしているもの。
後任者と直の打ち合わせをせずに、資料だけ残して去ってしまうこともあるかもしれません。
そこで資料が残念だと仕事のやり方がうまく伝わらず、結果後任者はイチから仕事を構築することになります。すると生産性は大幅ダウン。前任者は後任者の恨みを買い、引継ぎは失敗というわけです。
それは「人に仕事をつける」と言われる、日本的メンバーシップ型雇用の影響かもしれません。普段から自分に「ついている」仕事を、いざというときにでも他人に「つける」のは簡単ではありませんよね。
でも自分が辞めたり異動する時、どうせなら気持ちよくキッチリ引き継ぎして、その後も後任者たちと仲良くやれた方が人生ハッピーではありませんか?
そのいいアイデアをボードゲームで見つけたので共有します。見るべきは、ボードゲームの説明書です。
ボードゲームの説明書は「伝わる」ようにできている
こと、他人に何かをやってもらう(=引継ぐ)ための資料として、ボードゲームの説明書よりも優れたものにはなかなかお目にかかれません。
なぜか。それは、ボードゲームの説明書が「伝わる」ようにできているからです。
ボードゲームとはつまり、非電源系、アナログゲームです。遊びたい人は、自分の手でコンポーネントを動かして遊ばなければなりません。そこで動かし方を学習するために、プレイヤーは説明書を読む必要があります。
これが理解できなかったり、誤解を与えるような書き方になっていたら、遊ぶ前に即・駄作認定です。作り手もそんなのは御免なので、説明書を慎重に作ります。
というように、プレイヤーにとってもゲームの作り手にとっても生命線たるボードゲームの説明書は、遊ぶときに迷わないよう、細心の注意を払って「伝わる」設計がなされているのです。大抵の場合は。
逆に電子ゲームでしたら、説明書はなくてもいいかもしれません。初めての起動の際に、プレイヤーがこなさなければいけないチュートリアルタスクを入れておけばいいのです。
そうでなくても適当にボタンを押せば何かしら反応があるので、次第に学習することができるでしょう。
引継ぎのためにボタンを押すだけで進行するチュートリアルを用意するわけにもいきません。
だからここはひとつ、アナログなゲームの良きところを真似するかたちで「伝わる」引き継ぎ資料を作成するのが、人生をハッピーにするのにつながるという気がします。
★実践編に続きます。合わせてぜひどうぞ!
ナイスプレー!