Netflixのライバルはワイン!? 事例で分かるジョブ理論
作れば売れる、新商品が発売されたら飛びつく、流行りのものを所有していることがステータスという時代は終焉を告げ、「ニーズがある」という漠然とした理由ではいまや商品は売れなくなってきました。この物質的に飽和した現代で必要な考え方がジョブ理論です。
ジョブ理論はジョブ・雇用・解雇という独特な表現を用いるのですが、これはアメリカ出身の経済学者であるクレイトン・クリステンセン氏が考案したからですね。
ひとまず「ジョブ=用事」「雇用=購入」「解雇=購入の中止」と理解しても差し支えありません。
ここからは「ジョブ理論」に関する私が特に面白いと感じた事例を2つ紹介していきます。
事例1 朝のミルクシェイク
クリステンセンはミルクシェイクの販売量を増加させたいと思い、買い物客のことを観察していました。すると朝、車で来てミルクシェイクを1杯だけ買う客が多いことに気づきました。客になぜ購入したのか?という質問を投げかけたところ、「ミルクシェイクは運転中の退屈を紛らわしてくれるし、おなかにも貯まるという答えが返ってきました。」つまり、これがジョブでありミルクシェイクはその解決のために「雇用」されたのでした。また代替品としてバナナやドーナツも上がりましたが、バナナはすぐに食べきってしまうから退屈を紛らわせないし、ドーナツは運転中には食べづらいという理由から朝の運転というジョブからは「解雇」されたのです。
事例2 ネットフリックス
リード・ヘイスティング氏は97年にDVDをネットでレンタルし郵送するというサービスを立ち上げました。 そしてこれこそがネットフリックスなのです。ヘイスティング氏は投資家だった時も、CEOとしてネットフリックスへ関わる時も「家でリラックスした時間を過ごしたい」というジョブについて考え抜いてきました。そして2007年にはDVD部門を本格的にストリーミング事業へと転換しました。 彼のライバルに関する面白い発言があるのですが、「ライバルはアマゾンか?」と問われて「リラックスするためにすることはすべてライバルだ。ビデオゲームとも競うし、ワインとも競う。実に手ごわいライバルだね」と返しています。ジョブについて考え抜くとライバルは異なる市場にもいるわけですね。
リラックスする方法は1つではないし、顧客のジョブを考え抜いたヘイスティング氏だからできる発言。実に面白いと感じます。
物質的な豊かさにこだわる社会が終わった現代で、生き残る1つの方法である「ジョブ理論」。 あなたも実践してみては?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?