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2024年9月の記事一覧

ミステリーサークル

ミステリーサークル

ミステリーサークルを作る

立入禁止の柵を越えて

雑草の無法地帯で

草を一枚一枚丁寧に畳んで

しっかりと空から見えるように

星と月の灯りだけでも見えるように

大きく

目立つように

おかしく

空を飛ぶあの人が

寂しくないように

笑えるように

いつでも帰って来れると

安心できるように

そう思って

その側に座れば

僕も寂しくないだろう

星に食べられる

星に食べられる

なにか悲しいことを考える
人差し指に息を吹きかけ
ベランダの手すりから
月面までの距離を測る
月に耳を描いて
ベランダの手すりでショパンを弾いた

そして僕は星に食べられる
星に食べられる僕を
君は苦笑いをしながら呼んでいる
それは遠い出来事 懐かしい出来事

なにかケチなことを考える
言葉を求めすぎて
何も言えなくなって
僕は馬を夢見る
馬の立髪は畦色で
その立髪で作った弓でバッハを弾く

そし

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日差しの雫

日差しの雫

嬉しい言葉で布団から抜け出す

Father John Misty

Honeybearは泣いていない

昨日降った雨のように

しとしと

しとしと

しとしと

日が差してくる

3月25日

蕾の隙間から

甘いにおいがのぼり

空の色を塗り替えている

新宿東口 AM7:30

新宿東口 AM7:30

ゴミと枯葉が

カラカラと転がる駅前

植え込みの花のベットで

空き缶とペットボトルが横になっている

ホームレスのタバコの煙

日焼けした外国人観光客

落とした傘を拾うのに5秒かかる人

まだ電気の消えてない顔と声の集団

どこを向いているのだろう

あちらこちらあちこちこちら

みんなそれぞれ

それぞれの方に

歩いて行くのだろう

おはよう

もしかしたら

おやすみかもしれいないけど

ウエストサイドの池

ウエストサイドの池

ウエストサイドの

枯れた池で

おもちゃの船が転覆している

煙突のついたクルーズ船

船底は深いネイビー

日の光がぎりぎり届く海の層と同じ色

その池には

この季節の侘しさや

このまちの寂しさが

全て投げ込まれている

僕はその池に視線を投げ込む

サウスサイドから飛んできた

渡り鳥が啄んだ鮮やかな羽が

この池に投げ込まれたら

船はもう一度揺れるだろうか

僕はその池に昨日の悲し

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よく似た夢を見ているのかもしれない

よく似た夢を見ているのかもしれない

ジャムを塗りたい

赤黒のいちごジャムを

素肌の上に

それが虹を渡る準備だと信じている

きっとあの人はそういう魂を持っている

赤黒のジャムも限りなく薄く広げれば

ピンク色に透き通る

僕はそのとき

珈琲を両手に持って現れる

眠い香りに包まれて

二人で机を挟んで向かい合い

顔を横に向けて

ただ虹を見ていてた

ピアノが聞こえたら

ピアノが聞こえたら

ピアノが聞こえたらどうしよう
坂の途中の2階建て、白い塀に囲まれた、青い屋根の家から
遠くにふかふかの雲が浮かんで、静かな午前10時、遠くから車の音が聞こえる。ピアノはきっとアップライトで、その上にはミラノの写真なんかが飾られている 読みかけの本が何冊か積まれているかもしれない
部屋にはトーストと珈琲の香りが残っていて、ローテブルにはまだ朝食の抜け殻が残っている バターナイフにはジャムが少し付いて

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