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メロンソーダ

俺はメロンソーダが憎い。

ファミレス、カラオケ、ネットカフェ、気がつけばどこにでもいる。

そのくせコンビニやスーパーで売ってないと思わせといて、たまに売ってるというフェイントもかましてくる。

俺はもちろん、家族や友人、会社の上司も、なんなら入れ歯のおじいちゃんだって知っている。

メロンソーダと名前にあるのに基本無果汁、プチ詐欺罪だろう。

自然界にないケミカルな緑色、そして冷たく甘い。

おまけに炭酸入りで爽快感もあるときたもんだ。

単調な色と味わい、どうしてこんな奴が愛されるのか。

人間は怒られて、泣かされて、何も残せず、無駄に何十年も生きて年老いていく。

こいつはいつ何時も宝石のような輝きを放ち、誰の手にも届くほど手軽だ。

俺はこいつの様には生きられない。

でもメロンソーダも皆んなから愛される代わりに弱点がある。

それは永遠に変わらない事、自分から変えられない事。

でも自分から変えられないからこそ、皆んなから愛されているのかもしれない。

そんな不器用な愛され者をたまに好きになる俺がいる。

こいつもたまに俺と同じなんだと。




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