人工甘味料はカロリーゼロ?

 最近の巣ごもり生活で、日々の生活習慣、特に食事が気になる方は多いと思います。ついつい食べ過ぎてしまい、摂取カロリーがヤバい…なんてことも。頼みの綱として、カロリーゼロ食品ばかり食べて一安心。でも、ちょっと待ってください!

 カロリーを気にしているあなたは、カロリーゼロ食品について、正しく理解していますか?砂糖などの甘味料が入ってないから、健康に良いのでは?レベルの認識では危険ですよ。そんな方は、ぜひこの記事を読んでいただき、甘味料とカロリーゼロ食品に対する理解を深めてみてください。

 本記事は、サイエンスライター佐藤健太郎さんの著書『炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす』と『Newton別冊 食品の科学知識 第3版』を参考にして書きました。甘味料の歴史や人体に及ぼす影響など詳しく書かれていますので、興味があれば手に取ってみてください。

天然甘味料と人工甘味料

 甘味料とは、その名の通り、食品に甘味をつけるための調味料です。甘味料には、天然甘味料人工甘味料があります。天然甘味料の例として、砂糖はちみつメイプルシロップなど。人工甘味料の例としては、アセスルファムKアスパルテームサッカリンなど。覚えにくい名前の成分ですが、飲料缶の成分表示で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?現在、日本で認可されている人工甘味料は、上記3種類に加え、アドバンテーム、スクラロース、ネオテームの計6種類です。

人工甘味料はなぜカロリーゼロ?

 舌や上あごに味蕾(みらい)と呼ばれる部分があるのはご存じでしょうか?味蕾には味を感じるセンサーが集まっており、甘味や塩味などを感知することができます。食品中の甘味料を味蕾で感知すると、味蕾の奥から脳に甘味の信号が送られ、その結果、私たちは甘味を感じることができます。この機構は天然甘味料も人工甘味料も同じです。

 学校で習うとおり、天然甘味料などの糖質は体内でブドウ糖に分解され、エネルギー源として利用されます。血液中のブドウ糖濃度は、インスリンという物質によってコントロールされています。血液中のブドウ糖濃度が上がると、インスリンにより一部が脂肪に変えられ、体内に蓄積されます。このため、ブドウ糖を多量に摂取すると肥満につながります。

 一方、人工甘味料は天然甘味料とは全く別の物質であり、ブドウ糖が含有されていません。そのため、上記のようなエネルギー源としての役割を果たせず、カロリーはゼロで、ダイエット食品に最適ということです。

様々なカロリー表記

 カロリーゼロ食品は本当に0kcalなのでしょうか?今売られている商品の中には正確に0kcalではない食品もあります。これは現在の食品表示法では、5kcal未満は無視できる程度のカロリーと見なされているからです。

 具体例を挙げると、飲料100ml中のカロリーに対して、カロリーゼロ、ノンカロリー表記は5kcal未満。低カロリー、カロリー控えめ、カロリーライト表記は5kcal以上20kcal未満です。

 500mlのペットボトル飲料だとしたら、この5倍のカロリーになるので、
カロリーゼロ、ノンカロリー表記は25kcal未満。低カロリー、カロリー控えめ、カロリーライト表記は25kcal以上100kcal未満です。

 言葉のわりには意外とカロリーがあるなと感じるのではないでしょうか?これらの表示を正しく理解し、自分がどのくらいのカロリーを摂取しているかを把握しておくことが大事です。

人工甘味料が病気のリスクに?

 人工甘味料を摂取した場合でも、甘味を感じるセンサーが働くため、糖質を消化、吸収する働き自体は促進されます。先ほど説明した通り、カロリーゼロ食品の中にはわずかにカロリーが含まれている商品もあります。いくらカロリーゼロ食品といえど過剰に摂取すると、ブドウ糖が予想より多く吸収されてしまいます。そのため、糖尿病や肥満のリスクを高めてしまうのです。
 
 一方で、1日の摂取許容量を超えないように、適度な摂取をしておけばまず問題ありません。カロリーが低いからといって、カロリーゼロ食品ばかり摂取するのはオススメできません。何事も適正な範囲で活用することが望ましいということです。

まとめ

 ここまで、甘味料とカロリーゼロ食品の関係について、簡単にまとめてきました。以下、本記事のまとめです。

①甘味料には、天然甘味料と人工甘味料(カロリーゼロ)がある
カロリーゼロ食品には、厳密にカロリーゼロでないものがある
③カロリーゼロ食品は摂取許容量の範囲で適切に利用する

 甘味料とカロリーゼロ食品は日常的に摂取するものですので、健康を維持するためにも正しい理解をしておきたいですね。

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