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エッセイ:大ちゃんは○○である27

「おはようございます。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
開始時間になり、扉が閉められ、スタッフの方の挨拶が始まった。
最終的に書類選考通過者50名程はいただろうか?
先にも書いたように根拠のない自信はみなぎっているのに、なぜだか周りにいる人間が皆すごい人達なんじゃないかと思えてくる。
何を見たわけでも、何を聞いたわけでもないのにだ。
僕は緊張の糸を切らさないように話を聞いた。
「今から順番に名前をお呼びするので、呼ばれた方は自己紹介、自己アピールをして下さい。
終わりましたら、受付でお渡しした一枚目にある『月』の朗読をしていただきます。最後は二枚目にある台本の読み合わせをここにいる遠藤というスタッフと行っていただきまして、退室という流れになります。合否につきましては一週間以内に合格者の方のみ、こちらからご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします!!!」
僕は改めて周りを見回した。ざっと見た感じだが、男女比はちょうど1:1ぐらいだったと記憶している。
「では、早速はじめていきたいと思います。高橋一也さん、前へどうぞ。」
『えっっ!!』
とても驚いたのだが、一同に集められた書類選考通過者は全員で進行の説明を受けた後、
数名を残して別室に移動するものだと思っていた。
約50名がこの一室に揃っている状態でオーディションが始まるということは
最初に呼ばれた高橋一也なる男は約49人のライバルの前で自己PRや朗読等を披露することになり
最後に呼ばれる1人はライバルが誰もいない中で自己PRや朗読等を披露することになる。
一度全員が別室に移動させられ、数名づつが呼ばれて審査が進んでいくものだと思い込んでいた僕は
『まじかよ!?この状態で始めんの!?公平か不公平かはよく分かんないけど、なんとなく不公平じゃない?』と思った。
この状況であれば誰だって一番最初にやりたいに決まってる。

つづく

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