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休職して、職場復帰するときのコツ。

休職中、一番気になるのは「これから無事に仕事していけるか」ではないだろうか。

私は大学卒業後、入社してわずか半年で”うつ状態”になり休職した。3ヶ月休職したあと職場復帰。そのあと5年間働くことができた。

休職中、職場復帰を考えれば考えるほど不安になると思う。周りの目、業務そのもの、人間関係……特にメンタル不調で休職した場合は、その職場に原因があることが多いので「異動できるか」なども気になるポイントではないだろうか。

そこで今回は、私が休職して復帰し、その後に起こったことを書こうと思う。休職中で、職場復帰したいけど不安な人の参考になったら嬉しい。

人事担当者に正直に話そう

休職が決定したとき、人事担当者などからヒアリングを受けることがほとんど。そのとき、言いにくくても正直に原因を話すことが大切だ。

問題の人物がいる、業務自体が合わない…など原因がはっきりしているなら、それを伝えないと会社も対策ができない。

特に、問題の人物がいる場合は言いにくいと思う。『その人に伝わってしまったらどうしよう』『今後、仕事がしにくくならないかな』と思ってしまう。

そういう場合は、伝え方を工夫すればいい。

私の場合、こんな状況だった。

原因は「先輩が仕事を教えてくれないこと」だった。先輩は仕事を1回しか教えないスタイルで、2回同じことを聞くと「前言ったよね?」で一蹴されてしまう。

しかし、接客業なので分からなくてもお客様が来てしまう。私はそのうち「仕事ができない新人」として扱われるように。

パートさんからお叱りの手紙をいただいたり、お客様に怒られたり、負のスパイラルに陥ってしまった。最終的に先輩たちに呼び出されて説教されたのがトドメになり、休職することになった。

…この状態を、人事に伝えるときはこうまとめた。

仕事で分からないことがあったとき、解決できなくて困っていた。先輩は”一度で覚える”という教え方だが、私にはできないと感じた。その結果、お客様にもご迷惑をかけてしまい、申し訳ないと思っている。

まずは内容を端的にまとめて、現状を把握してもらうことが大切。私は伝えたいことを箇条書きにしたメモを持参して、読みながら伝えた。

気持ちの部分は、ヒアリングが進んだあと伝えるとよい。

「先輩は”教えるのが面倒くさいと思っている”印象がある。他に、パートさんからお叱り手紙をもらったこと、先輩たちに呼び出しをされたことが辛かった。精神的に追い詰められ、どうしたらいいか分からなくなった」

このように、気持ちの部分を伝えた。あまりに感情的になるのは問題だが、「どういう状況で追い詰められたか」伝えることも今後働いていく上では欠かせないポイントなので、正直に伝えること。

私の場合は人事担当者に気持ちが伝わり、部署異動させてもらえることになった。

ちなみに、すでに「異動したい」と思っている場合は、はっきり「異動させてもらえないか」打診すること。もし異動できなくても、原因がわかっていれば何かしら対策を講じてくれるはずなので、ヒアリングは正直に話すことをおすすめする。

周りの目は、どうにでもなる

私が一番気になったのは、周囲の目だ。復帰して新しい部署に行っても『休職=問題のある人』と扱われないかが心配だった。

復帰してみて感じたことは『普通に仕事をすればいい』。

業務を覚える姿勢を見せ、感謝を忘れなければ「この人は大丈夫だ」と信頼を得られる。1ヶ月もたてば自分もその場に慣れ、周りも自分に慣れるので大丈夫。

正直、職場ではそれぞれが「自分の仕事を中心」に考えている。はじめは”新しい人が来る”と注目されるだけで、そのうち何も思わなくなる。

周囲は「休職した」事実より「今仕事ができているか」の方を重視する。

これから復帰する人は、周りの目はその程度と考えて過ごせばOK。たとえミスをしても素直に謝り、仕事を覚える姿勢を見せれば大丈夫。

原因人物と会ってしまったら

原因人物がヤバいほど、会ってしまったらどうしようと不安になると思う。

「絶対に恨まれているよな。どこかで会ってしまったら…!」と心配するのが正直なところではないだろうか。当人に会ってしまう可能性は、同じ会社で働いていたらありうること。

私の場合、研修で先輩と会う懸念があった。

しかし実際に会ったときは、お互いに距離をおいて何事もなかった。先輩も私が休職をした時点で「自分のせいだろうな」と思っているので話しかけてこない。

ただ、原因の先輩以外の方(元同じ部署の先輩)からは睨まれたり、資料を回してもらえなかったこともあった。

でも、そのときはあたらしい部署で楽しく仕事ができていた。その人たちにどう思われようが意外と気にならず、「やっぱり変な職場だったんだな」思った程度。

私はこのとき、あたらしい部署の人たちやお客様との関係を大切にすることを重視していた。この切り替えが良かったのだと思う。

あたらしい関係を大切に

このようにスタートをしくじった私だが、その後は5年間、人間関係に恵まれて楽しく働けた。異動させてもらえたこと、あたらしい部署がいい人ばかりだったことが大きな要因なのは確かだ。

ただ、自分の行動で良い状況を作ることができた実感もある。

休職から2年ほど経ったときに、周りから当時のことを聞く機会がチラホラあった。

人事「本部の人から、”あの子からよく電話をもらった。受け答えも感じが良くていい子だよ”…って聞いた。こんなに仕事に熱心な子に辞めてほしくないと思った。」
上司「実は当初、休職した子を受け入れることに前向きじゃなかった。でも、人事から”仕事熱心ないい子だから”とお願いされた。本当にその通りで助かってる。来てもらって良かったよ。」
先輩「新人なのに、色々なことを知っててすごい!お客様とも上手に話せてるし何も問題ないよ。今までよっぽど、ひとりで頑張って仕事を覚えたんだね」

真面目に、一生懸命仕事をしていれば必ず誰かが見ていてくれる。だから、復帰後は自分なりのスピードでいいので、仕事そのものに集中すれば大丈夫。

また、一緒に働く人、異動させてくれた人事担当者・上司への感謝も忘れないこと。「こんなに大切にしてもらっているから、頑張って働こう」と前向きに仕事ができる。

今まで雰囲気の悪い部署にいて信じられない人も多いと思うが、やさしい上司や先輩はたくさんいる。

復帰に不安な人は、「とりあえず仕事を覚えよう」だけ思っていれば、大丈夫だ。その気持ちが、楽しく働くことに繋がっていくから。

復帰して、その後の話。

私は結局、あたらしい部署の人間関係にとても恵まれて、復帰後は「仕事行きたくないと思う朝がない!」くらい楽しく働いた。

上司から先輩、パートさんまで、みんなで私を見守ってくれた。困ったら助けてくれるし、ミスしたときはきちんと注意しつつ、良い方法を教えてくれた。

その後、あるコンテストに出場し、見事受賞することができた。内容は、舞台の上で自分のセールス技術を発表するものだった。もちろん、元部署の先輩たちも見ている中で行った。

講師の講評の際、思わぬ事件があった。

「以前、あなたの顔を見たときは正直、すごい暗い子だなって思ったの。でも今はこんなに笑顔で接客ができていて…本当にびっくりしました、感動しました!」

講師は定期的に各部署を回って指導を行っている。以前というのはもちろん、元部署にいた頃の私。

ちょっと気まずかったけれど、改めて今の部署の人たちに感謝の念が湧いた。そして、元部署の先輩たちに、前向きな復讐ができた気もした。

以前は「自分は仕事ができない」と思っていて、先輩たちの冷たさは私に不備があってのことだと自分を責めていた。

でも、実際はそんなことなかった。私は仕事ができない人間なんかじゃなかった。後輩に教えることを避ける先輩に、傷つけられていただけだった。

その後、原因の先輩は「後輩のつかない部署へ異動」。睨んだり、資料を回さなかった先輩はあらたな新人を追い込んで異動させた。

組織で仕事をする以上、人間関係は選べない。でも、忘れないでほしい。素敵な人間関係を築ける職場があること、誰かに精神的に追い詰められたら人事担当者に相談していいこと、休職して復帰しても誰も責めないこと。

復帰は勇気がいるけど、自分らしく真摯に仕事すれば、大丈夫だ。見ている人は見ていてくれる。必ず。

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