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中国を知りたい人は必読!オススメの中国関連書籍の簡易紹介(2022.2.28)

大家好,深セン在住の吉川です。普段は深セン現地で中国人とパートナーとスタートアップ企業経営してますが、仕事以外の時間は本を通じたインプットを行ってます。
中国関連図書の紹介をTweetしているものの、タイムラインで流され、折角の過去の投稿がストックしないのはもったいないと感じ、読んだ本の簡単な紹介やTweetした内容を使って蓄積していきます。

2030中国自動車強国への挑戦

中国深センで生活しているとEV車が走るのは当たり前で、市内のタクシーとバスはほぼ全てBYD。
しかしコロナで日本と中国の往来が断絶された今、この本から学べる内容はとても多く、なぜ中国がEVシフトに力を入れているのか、将来国内メーカービッグ3がどう変化していくのか等、興味深い内容がぎっしり詰まってます。特にTESLAが外資100%で中国に誘致された背景は痺れました。
世界的なサーキュラー・エコノミーのムーブメントの流れで日本も必ずガソリン車からEVシフトをせざるを得ない状況となるので中国からこの分野を学ぶとメリットあります。

中国の「一帯一路」構想の真相: 陸と海の新シルクロード経済圏

一帯一路は中国が全身全霊を捧げる長きにわたる国家プロジェクト。私が深センに越してきた理由の一つでも有り、深センも同プロジェクトの恩恵に預かる大都市です。
アジアインフラ開発銀行(AIDB)を使った発展途上国へのインフラ投資を通じた陸のシルクロードと海のシルクロードは夢あふれる一方、各国が全てウェルカムの雰囲気ではないこともわかります。日本のODA(政府開発援助)と比較してみると日中両国の新興国支援の思想に大きな違いがあることにも気づくかも知れません。
作者は数年掛けて複数カ国を周り現地ヒアリングをした本で、ウォール・ストリート・ジャーナルで受賞をした名作。地政学が好きな人や鉄道を愛する人にはオススメ。


2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か (日本経済新聞出版)

半導体に疎いことがコンプレックスだったことと、Huaweiに関する事件の真相を知りたく読んでみました。
初心者にも読みやすい内容で、半導体は一民間企業だけで完結するのではなく、政府を巻き込んだ国家戦略に組み込まれており、米国、イギリス、オランダ、中国、日本、ロシア、アルメニアの各地の情勢が明らかにされます。多分読んだ後には、アメリカのことが読む前よりも嫌いになると思いますが覚悟しつつ楽しんで読んでみてください。笑

失敗のしようがない 華僑の起業ノート

華僑のボスの間近でビジネスの基本から極意を学んだ日本人の筆者による処世術。書籍の半分が図となっており、実質100ページくらいで読み終わるライトな内容でありながら濃さ200%。
特に起業するときの投資家、起業家、作業者のトライアングルは多くの日本人に欠けている視点であり、これを学ぶと仕事に役立つこと間違いなし。自分で手を動かすことが正しいとは限らないことがわかります。
ただし、仕事以外で活用してしまうと逆に人間関係を壊しかねない思想も含まれているのでテイクケア〜


世界史とつなげて学ぶ 中国全史

中国の古代から現代までを面白おかしく解説されており、読めば読むほど彼の世界観にどっぷり浸かり込んでしまう内容。
中国北部を旅したことがある人には見覚えのある地名がたくさん出現しますし、今のモンゴルやウイグルの人々がどのようにシルクロードやステップ地帯で幅を利かせていて、それがどれほど驚異だったのかがわかります。
大学受験の時に世界史選択だった人には山川世界史にはない気づきがたくさん得られるかもしれません。


ジャックマー アリババの経営哲学

日本人の中でも知名度の高いアリババの創業者ジャック・マーの思想をあらゆる確度で覗いた内容。
ソフトバンク孫正義氏との出会いや投資獲得するときのエピソードも描かれていて彼らが今でもベストフレンドと呼ばれる理由がわかります。最近中国国内でアリババのイメージや株価は悪化していますが、テンセントのポニーと比較した場合ジャックマーは非常にイノベーティブであり、社員にとっての先生という感じがします。いつか中国版松下幸之助や中国版稲盛和夫と呼ばれる時代がくるかもしれませんし、闇に消えるかも知れません。
尚、自分のTweetが見当たらなかったので他に読まれた方の投稿を引用してみました。

始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎

日本の漫画「キングダム」の主人公である秦の始皇帝の真の姿が描かれており、焚書坑儒、5人組制度、思想家ではなく法家(李斯)を重んじたために却って国を短期間で滅ぼした経緯もわかります。しかしこれほど大きな土地を統一するのは並大抵の人間では難しいので偉大と言えば偉大。


最強の未公開企業 ファーウェイ: 冬は必ずやってくる

米中貿易戦争の舞台で翻弄されるファーウェイの成り立ちから今までの会社の発展が事細かに描かれています。
軍人出身の任CEOのマネジメントや孤独を愛する様子は変人にしか見えないけども中国の高学歴エンジニアが一番就職したい企業に選ばれる理由が少しでも見えてきます。特に彼の「顧客至上主義」の考え方は今の中国企業にとっては非常に珍しく、アメリカから半導体の経済制裁を喰らいながらもアメリカのマネジメントを学ぶ彼の愚直で謙虚な姿勢も垣間見れる作品。
専門用語が多いわけではないので読みやすいです。


シャオミのすべて: 世界最強のIoTプラットフォームはこうして生まれた

Twitterで私をフォローされている方なら御存知の通り、私は根っからシャオミをこよなく愛する米粉。
名門武漢大学及びキングソフト出身のエリート雷軍が創業したシャオミの利益に対する考え方やエコシステム戦略をうまく取り込む企業姿勢は学ぶことがたくさんあります。
相変わらず株価には恵まれませんが、私はシャオミをそれでも愛しています。とりあえず本読んだ方は私の仲間になるかも知れません。
ちなみに同社は2022年2月末時点において、掲げている目標は3年以内にスマホの売上シェアをAppleを抜いて世界一になることと、雷軍にとって生涯最後の挑戦と呼ばれるEV車開発・販売。2024年には深センや北京で見かけることになるかもしれません。私は買います。


スッキリ中国論 スジの日本、量の中国

日本人と中国人の考え方の対比が面白く描かれています。
「日本人だからと言って・・・」とステレオタイプな考え方が嫌いな人には相容れない内容ですが、なぜ中国人が我々日本人にとって不可解な言動を取るのがよくわかります。ざっくりと理解するにはちょうどよいし、多分中国人に優しくなれます。私はこの本を読んで中国人に対する反射的な怒りは減りました。もちろんすべてを受け入れるわけでは有りませんが、文化習慣思想が違うことを知るのは人間の進歩ですね。


清華大生が見た 最先端社会、中国のリアル

日本の著名なベンチャーキャピタルイーストベンチャーに勤める夏目さんが中国北京の名門理系校清華大学で過ごす中で学んだことや中国でよく使われるアプリやサービスがわかりやすく紹介されています。
日本人で清華大学を卒業するのは珍しく、そんな方が執筆された本なら読まない理由がないですね!私はいつか清華大学のMBAを受講したいと密かに考えています。もちろん事業がうまくいって余裕ができてからです...



「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム

深センで最も成功しているジェネシスの起業家藤岡さんのご経験をベースに描かれた深センの事業やその中で起こる紆余曲折が描かれています。
私が深センに来る前にインプットする際に活用した本でもあります。同社はジャパンタクシーのタブレットやソースネクストのポケトークなど有名なハードウェアの開発をしています。超すごいです。

https://amzn.to/3pky2kU



事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは?

日本で一時期流行った「ニューリテール」の流れで翻訳された中国発の書籍。中国語では「新零售」と呼ばれる分野で、もはやこの業態自体が当たり前になりつつあるので中国にいると新鮮味が失われつつありますが、日本よりも明らかに先を進んでいるので参考になる事例は豊富。
ちなみに、ニューリテールで有名なのはアリババのフーマフレッシュやシャオミの小米之家(シャオミストア)。両方行ってみたら楽しめますのでいつかお連れしたいです。



アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る

解説する必要がないくらい既に有名な本ですね。コロナ前は、アフターデジタルを読んで深センを視察に来られる若い人がたくさんいるくらい影響力のある本。
深センの平安保険の事例などを通じてどのようなCX(顧客体験)を提供すればよいのかの提言がされており、さすがUIUXコンサルティング会社ビービットって感じです。続編読みたいけど全て本棚に飾りたいので中国に来られる方はぜひ書籍のご寄付をお願いします...笑


アリババ 世界最強のスマートビジネス

アリババの経営哲学には現れないような実務よりの内容が豊富。インターネットってなにそれ?って言う時代に米国に訪れたジャックマーが時代の変革するためにインターネットが重要だ、と気づき初めたアリババ、そして隠れてこっそり初めた裏プロジェクトの「タオバオ」や信用取引を可能とさせた「アリペイ」の歴史は面白い。ちなみに中国の起業家はアリババの歴史を好きな人と嫌いな人にはっきり分かれます。私は好きです。


アント・フィナンシャルの成功法則: アリペイを生み出した巨大ユニコーン企業

史上最高額の上場を果たす予定だったフィンテックデカコーンのアントフィナンシャルの生まれたきっかけや発展の歴史が描かれておりますが、執筆された時にまさかこんな状況になるとは思っていなかったと思うととても複雑になりました。Tweetのとおり「正しいことを正しく行おう」、と自分にも言い聞かせます。


そうだったのか!中国

実は2011年に同志社大学を休学して1年間北京の中国青年政治学院という共産党幹部育成校も留学した際に持ち込んだ池上彰氏の本でとても思い入れがあり、中国に興味を持たれた方には必ず紹介しています。
眠れる獅子と呼ばれた中国がアヘン戦争の悲劇の近代史から現代までの歴史が描かれており、「そうだったのか」とつい口にしてしまうくらい頭の中がスッキリします。何度読んでも発見があるのでオススメです。ただ最新時事ネタを学びたいときには向かないので、ざっくり理解したい人にはちょうどよい、と事前に注意喚起はしておきますね。


ワイルドスワン

あまりTweetしていない理由がありますが、実は中国国内では禁書となっており、何十言語に翻訳され国外で販売されています。
纏足の時代から文化大革命までの歴史が描かれており、正直グロいですが、知らなければならないことは豊富。最初は背景の解説で読むの辛いですが、途中からスイスイ読み進められます。
読書感想のTweetがなかったので、他のかたのTweetを引っ張ってきました。この方が仰る通りヘヴィです。


一九八四年

直接的には中国とは関係がありませんが、引用したTweetにも書いているとおり、村上春樹の1Q84のモチーフとなったイギリスの小説の巨匠ジョージ・オーウェルが亡くなる前年に出版した伝説的SF小説。
1948年の時点から思い描いた1984年のビッグブラザーによる監視社会であり、第二次世界大戦の時代を過ごした経験から感じるナチスドイツのヒトラーとソ連のスターリンの独裁政治を風刺的に描いたカリカチュアです。
今の中国にも通じるところが多く、1984年を読むと理解が深まると考えています。ジョージ・オーウェルの動物農場も有名で、こちらは主人公の豚のナポレオンの独裁政治や朝令暮改にルールが変わっていく世界観が描かれており、1984年より読みやすいです。村上春樹の1Q84には小見出しで「ビッグブラザーは死んだ」と書かれていたり、池尻大橋を境にして世界が変わっていく青豆のパラレルワールドも1984年のダブルスタンダートと重ねていたりと1984年を読んだ方には違った味わいを得られるでしょう。


論語と算盤

新一万円札のデザインに選ばれた渋沢栄一氏の名作です。Tweetにも書いているように明治維新後に500社の立ち上げに関わっている偉大な方です。
150年前に日本の会社が中国大陸でビジネスをする際に必要なスキームが提案されており、それは今中国で事業をする私にも共感することです。そのページを見つけられた方は、ぜひZOOMでお話しましょう。笑


終わりに

これから中国に関連する書籍を追記していく予定をしています。
知識の独り占めはただの消化不良に陥り、独りよがりのロマンチシズムだけなので、なにか読まれたらぜひご連絡をください。もしくはどんな本が読んでみたいか教えて頂ければリコメンド致します!

本とは関係ありませんが中国ビジネスやっている、もしくはやろうと動いている人がいたらTwitterのDMからでも構いませんのでご連絡頂ければと思ってます。私の知識や経験でなにか役に立つことがあれば幸いです。TwitterのDM開放してます〜


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