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THE GUILD勉強会#03 「データ×UXデザイン」を聞いて今できることを考えてみる

THE GUILD勉強会 #03 「データ×UXデザイン」に参加させていただきました!同僚に教えてもらって初めての参加です。noteも初めて…なので色々わかってませんが会社の仲間に素晴らしさを伝えるつもりで書いていきます!

登壇者の方々

大竹雅登さん(dely株式会社)
山田智久さん(アドビシステムズ株式会社)
安藤剛さん(THE GUILD)
鈴木陽介さん(日本経済新聞社)

全体的にこんなお話が中心となっていたかと思います。
・多くの企業でデータの活用がうまくいっていない理由
・データを意思決定のために活用する!
・データをきちんと見て、分析してコミュニケーションするチームの作り方

ちなみに自分は受託WEB制作会社デザイナー→事業会社の一人目インハウスデザイナーになったばかりで、ウェブ解析士の資格持ち、もうすぐローンチの新サービスを製作中のため、こんなポイントに気をつけて聞いてました。

・少人数のチームでも実行すべきかつ取り組みやすそうなアイディア
・チームがデータ分析にアレルギーを持たず、ポジティブに取り組むには
・サービス初期に早めに整えておくべき体制について

それでは早速内容のレポを。

認知バイアスを回避するためのアイデア検証プロセス
大竹雅登さん(dely株式会社)

データで失敗するパターン
1. データを見なさすぎる
2. データを間違って解釈する
3. データの精度を不必要に高めすぎる

データは意思決定のための材料。改善プロセスをフォーマット化して、正しい意思決定につなげる!

例)食材名でレシピ検索した検索結果ログを分析すると、他の食材に比べて「豚肉」で検索した人の離脱率が高かった

データをもとに課題を発見したらまず整理!

①課題事実
 誰がどう見てもそうである事実を取り上げる。解釈を入れない。
②原因仮説
③解決策

 解決策の案出しはどうやって?
 事例から案出し → これまでの経験の引き出し、リサーチ力が大切。
 競合ではどうなっているか?などの調査も必要
 デザイン原則をもとに組み立て → 先人の知恵をもとに考える

社内、社外含めてユーザテストを行い、定性的な検証アプローチで大局的な反応を見るそうです。ユーザが目の前で操作するので、どこに原因があるのか分かりやすく、スピード感も出せるとのこと。
A/Bテストもいいけれど、数値が高かった理由がよくわからないままだったり、ボタンを赤くしてみたらクリック率が上がったけど、実はユーザはよく分からなかったからとりあえず押してたなんてこともありえるそう。

確かに、数値で結果が出たパターンだったとしても、実際何が良かったのかは、推測に頼っている…ユーザテスト、ちゃんと検証プロセスに取り込みます。

デザインフェーズの検証が終わったら、
検証済みアイディアの確度の高いものを実装フェーズに渡していく

こうすることで、確度の低いアイディアにかける無駄な実装の工数を減らすことができる。

当日のスライド:認知バイアスを回避するためのアイデア検証プロセス
https://speakerdeck.com/entregulss/validate-ideas

UX/UIを高度に改善!AIを有効活用するためのポイント
山田智久さん(アドビシステムズ株式会社)

UX/UI改善で定量データを用いた分析は重要。
AIを組み合わせると機械学習を用いて、深堀りがやりやすくなり、効果的な改善ができるようになる。

AIはどう使えばよいか?
AIテクノロジー機能は「手段」であり、活用イメージが描けなければ効果が出ない。概念だけで活用を考えると迷走する。使う前の思考プロセスが重要。

ポイント① AIでカバーできるUI/UX改善プロセスの範囲
●自力でできる範囲
・改善目的と目標の定義
・改善仮説の事前定義
・事後評価
●AIがカバーできる範囲
・分析と改善企画
・施策の実施

②目的と目標の間を言語化し、指標化することでAIの使いどころをわかりやすくする
【指標】PV、購入数、離脱率など数の話
→良しあしを判断したり予測するためにAIを使う

【ディメンション】流入経路、デバイス、性別など軸の話
→指標に影響をあたえる要素を見つけるためにAIを使う

③AIを活用する領域を分析と施策に分けて発想する
改善目的を定義し、改善目標と仮説を徹底的に言語化することで、着目すべき指標と指標ベースのアクションが定義できる。指標に対する「分析」と、アクションにおける「施策」を、AIを使って行う。

当日のスライド:UX/UIを高度に改善!AIを有効活用するポイント
https://speakerdeck.com/tomohisay/uiwogao-du-nigai-shan-aiwoyou-xiao-huo-yong-surupointo

なぜこれからのデザイナーにとってデータが重要なのか
安藤剛さん(THE GUILD)

データの分析自体はやっている企業が多いが、活用が進んでいない企業がほとんどである。(会場でも、活用進んでます?という問いに対してほとんど手が上がらず)

データの活用進んでますか?
総務省のデータによれば、データを活用していると答えた企業が
日本51% アメリカ69%
「積極的に活用している」と答えた企業の割合については
日本31% アメリカ59%
約60%の企業がデータ活用している社員は20%以下と答えている。
そんな中デザイナーがデータを扱えることはチャンス!

データの活用が進まないは何が問題なのか?
ダッシュボードはどの会社にもあるけど、その付き合い方を見ていると「置いてあるだけ」で活用されていない。
素人から見た「飛行機の操縦席」のようなもので(スイッチやパネルだらけ…)、見ても全然わからない。アクションする気が起きない。

グラフが何を表しているのかわからず、認知が進まないと、誰も置いてある場所すら分からない状態になりがち。コミュニケーションが生まれないということは企業のデータのUXが悪いということ。

データ分析として一次情報(現場の意見)はすごく重要なので、データを活用する人が増えるほど組織が賢くなる。

インフォグラフィックの重要性

そこで、インフォグラフィックの話。
企業でよく使われるグラフも、もちろんインフォグラフィックの一つと言える。インフォグラフィックが活用される分野は下記の3つで、

・マーケティングは「訴求・記憶保持」重視
・エディトリアルは「訴求・理解」重視
・学術・科学は「理解・記憶保持」重視

企業でのグラフ活用は学術・科学の分野に近く、訴求の要素が弱い。
同じデータであっても、どういうメッセージを伝えたいか整理し、より美しくすることで、記憶にとどめてもらいやすくなる。
インフォグラフィックのコツは安藤さんがTwitterで呟いてます!とのこと

Slackをダッシュボードにするとコミュニケーションが生まれる

サービスの初期の段階ではダッシュボードを作ってもコミュニケーションが生まれにくい。美しいダッシュボードがあったとしても、そこに人が2人以上いないとコミュニケーションは生まれない。
noteチームではSlackをダッシュボードにしているとのことで、毎日グラフが送られてくる。
(redashbotを使っておられた)
https://qiita.com/hakobera/items/6df154adb3d99b1ca7dc

こんな風に人が集まるところにグラフが送られてくることで、そこにカジュアルなコミュニケーションが生まれる。
他の人のデータの見かたを可視化できたり、常日頃チームの仲間がどういう数字を気にしているか分かるので、重視すべきKPIが見えてくる!

明日からデザイナーは何すべき?
・伝わるデータのビジュアルをデザインしよう
・データを介したコミュニケーション自体をデザインしよう

当日のスライド:デザインとコミュニケーションで改善するデータのUX
https://speakerdeck.com/goando/dezaintokomiyunikesiyondegai-shan-surudetafalseux

創業140年の古い会社でデータの民主化を進めた話
鈴木陽介さん(日本経済新聞社)

2011年ごろから日経新聞電子版の内製化を始めた。
日経新聞電子版の購読は月額4,200円で、60万人が利用。

電子版が登場する以前は、誰が読者なのか分からない状態が130年続いていた。(新聞販売店の顧客情報はもらうことができない)
電子版以降、やっと属性が分かるようになり、CRMのような土台が出来た。
どのボタンを押したか、どこまでスクロールしたかなども把握できるように。
2015年FTの買収により得られたデータ活用についての知見も吸収している。

データ分析の民主化「データ道場」
お金や人員を投入してデータ分析の仕組み作ったけど、使われないということは起こりがちで、なぜなら触り方が分からなかったり、そもそもアクセス方法が分からなかったりする人もいる。

そこで、データドリブンな組織にするのための「データ道場」と言う教育制度開始。専門会社にカリキュラム作成と講師役を委託。
データ分析のノウハウを身に付けるためのトレーニングを3か月間行う。
毎週1日3時間、5-10人で行い、宿題が出る時もある。
エンジニアを対象とせず、ビジネス企画やデザイナーが対象。対象者によって扱われるトピックは変わる。

PDCAサイクルを回すための基本姿勢を身に付けるのは大事。
よく分からないアイディアが突然来て実行に移すのではなく、ビジネスゴールに結び付いてるか確認し、ダッシュボードを作ってみる。
ネガティブなことが発生したら施策をやめられるようにトラッキングしたり、施策を実行する前にインパクトを考えてみる癖もつく。

データ道場参加者がUIを改善し、クリック率4倍になった事例も!
スクロールのデータをとってなかったらとろう!という話が出たりするようになる。
データ道場の成果として、現在200人以上がRedashに登録しSQLの基礎的な知識を持っている(すごい…!)。

そもそもデータの民主化はなぜ必要なのか
真面目にやるとコストがかかるし、一部に任せているとやれる範囲が限られる。そもそも分析したことがない人は、とらなきゃいけないデータが分からない。プロダクトの担当者が分析してみるのが重要!

当日のスライド:創業140年の古い会社でデータの民主化を進めた話
https://speakerdeck.com/yosukesuzuki/nikkei-data-driven-20180823

第2部のパネルディスカッションで印象的だったお話

●データとの出会いときっかけ
・クラシルは2016年5月にアプリを出したが、とにかく伸ばしたかった。先人の知恵を借りるのが一番いいと思い、グノシーやメルカリの知り合いに聞きに行った。(dely大竹さん)

データをどう周りに普及していっているのか
・常時テレビに出しておく。ブログで共有してくれるメンバーがいるので、成功事例を出していく。(日経鈴木さん)
・他の会社が発表しているデータ(事業のKPIなど)があったら、自社と比較してみんなで見ると、面白いから見るようになる。(dely大竹さん)
・データの見せ方は重要。あえて紙で、A3サイズ1枚で表現すると見るモチベーションが上がる人もいる。(Adobe山田さん)

●経営層はデータ活用にどれだけ理解があるのか
積極的にデータを活用しているFT社に影響を受けたところも大きい。外圧をうまく作るのは大事かも。FTにサービスを見せたところ、パフォーマンスはどうなんだ、と最初からデータを気にしていた。(日経鈴木さん)

今回の学びをどうアクションにつなげよう

今回の勉強会で、第一線のチームの事例を知ったことは、何回も頭を殴られたような体験でした…特に、漫然とダッシュボード作るかーなんて考えていたところだったので、みんながデータ気にしてコミュニケーションが起きるチームにできなきゃ意味ないじゃん、とハッとしました!

少人数のチームでも実行すべきかつ取り組みやすそうなアイディア
・Slackでビジュアル化されたデータを共有して、意見を交換する習慣をつける。
まだSQL書けるスタッフを入れたり育成するには時間がかかりそうですし、今のところサービスはWEBだけなので、Google Analyticsの結果をSlackに自動共有するようにしようかなと
・検証プロセスにユーザーテストを組み込む
チームがデータ分析にアレルギーを持たず、ポジティブに取り組むには
・ビジネスの成果に結びつく分析をして、伝え方も意識する
・成功事例の共有。いきなりグラフを送りつけるのではなく、伝わるビジュアルに加工する
・データの見かたやアクセスのしかた、分析について、ビジネスサイドのメンバーが実際にやってみる場を設ける
サービス初期に早めに整えておくべき体制について
・検証・改善プロセスのフォーマット化

初期にやるのは難しいかもしれないけど、これもやりたい。
・データ基盤を構築できる人材やアナリストの採用をスタートする

あとは何より、こういった勉強の機会にチームみんなでどんどん参加していって知見をアクションにつなげたい。

会場も素敵だし運営もスムーズで、快適に楽しく勉強することができました。また次回参加したいので、当選することを願って…!

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