AV新法反対デモへのカウンターデモに行ってきた報告と感想(2022/05/22)

始めに

 前提条件の情報,私の立場等を述べておく.
 また,内容が明らかに赤色傘の団体に好感を示すものである点を断っておく.完全に中立で見物に行った訳でなく,自身の立場を以って行ったのも有り,主観を大いに含む感想だ.その点予めご了承頂きたい.それが不快であれば読まれない事を強く推奨する.

  • 私は発達障害を有している.

  • 一方で,普通の雇用下で働き周りとの違いを感じる場面は有りつつも,一般社会の中で過ごしている.

  • 今回AV新法に反対する団体が出した声明に含まれていた発達障害への言及に対して疑義・憤りを感じたことにより行動を起こした.

  • カウンターデモの目的1つ目は,声明文への抗議を当該団体に示す事.改訂事実の公表をもっての改訂を促す事.

  • カウンターデモの目的2つ目は,声明文に差別偏見が含まれていた事を知らない方々にその事を伝え訴えかけること.

  • AV新法自体に対して意見は有るが,今回の本題ではないので触れない.感想でも両団体について触れるが,基本的には姿勢等についての言及とし,主張内容自体には言及しない.

 補足情報として,AV新法に反対する団体が出した声明を張り付けておく.(何故か慎重に扱うべきコンテンツ,との警告が表示されますがお進み願います.)
 突然削除して歴史修正,というのをさせぬため,PDFに記録したファイルも添付する.
 因みにだが,連絡先/問合せ先のようなものは一切無く,正式に抗議を述べる窓口は無い.

 下記フォームページの通り,署名活動も行っているようだが,そこにも問合せ先が無い
 プライバシーポリシーも無く,その事を疑問視するツイートをしてしまったばっかりに当該アカウントからブロックを受ける始末.
(罵詈暴言のようなリプは一切しておりません.)

自身の表示シンボル,格好

 私はASDの当事者(一応ADHDも)なので,そのシンボルカラーの青を纏った.水色のシャツ,紺のスーツ,青のネクタイ,青系のサングラス,青色のタスキ.派手でないので目立たないが,もし当日現場で見覚えのある方が居られれば幸いの限り.
 掲げたパネルもスケッチブックに青の字で抗議の言葉を書いたもの.下記を掲げた.
 ”発達障害への偏見声明に抗議”
 ”私達は主体性のある人間です”

実施事項

 単純明快で,デモ会場に参入し,抗議文を描いたパネルを掲げる.

会場の様子

 控え目に言ってカオス.
 元々の人通りの多さに加え,同会場にはAV新法関連の他に,右翼,反ワクチン,反戦と思しき団体がデモ活動を行い,警察官が大勢巡回している状況だった.
 人数は数えてはいないが,赤と紫両陣営を合わせ,多めに見積もって100人達するかどうかという規模ではないかと思う.
 *紫が230人というツイートを見た.しかし,片側230人は居なかったはず.
 *赤が約100人とのツイートも見たが,入れ替わりした人員を含めての数と書かれており,全員が交代していれば有り得なくはないか.

紫(AV新法反対団体)

 洋服の青山に向かい合った,通りに面した空間に陣取って駅側を向いて演説.登壇者を予め決め,順々に演説するスタイル.
 登壇者以外の参加者は基本全員登壇者側を向いていた.
 紫の風船がシンボル.

赤(AV新法反対団体へのカウンター)

 JR駅東口出口に面した空間に陣を取り,紫へのカウンタースピーチを実施.
 段取りして順々に演説者が登壇するようなことはせず,マイクを持ったメインの方々と周囲の参加者がテンポを合わせて声出しするようなスタイル.
基本参加者は全員紫側(および広場内通路)を向いていた.
 赤い傘がシンボル.

感想

全体

 まず第一に,実施して良かったと思う.少なからず,私のパネルに視線を止めてくれた方はいた.パネルの写真を撮らせてほしいと話しかけて下さった方も居た.
 そして,後述するが,赤と紫に明らかな違いを感じられた.ツイッターなどを見ていると,関心の無い方からはどちらも似たようなものとして見られているようだが,第3者として訴えかけるものをもって現場に立ち実際に人に接すると違いが見えた.サングラスをかけており,躊躇いなく人々の視線を注視し,追えたのも功を奏した.
 それぞれを述べる前に結論を書くと,赤の方々に対しての方が高い好感を抱いた.同じカウンター側なのだから当然と考えられるかもしれないが,示し合わせて共闘した訳でもなければ,立場・主張も違う.それでも後述する違いからそのような所感となった.

赤(カウンターデモ)の方々について

●デモ進行:司会進行は無に近く組織力は低い,一方で言う事がほぼ一貫,シンプル
 演説等を段取り良く進めるといった様子は無く組織力は感じなかった.その一方で,終始一貫,同じ事を訴え続けていた.故に,何が言いたいかは解り易い.my body, my choice. セックスワークはお仕事だ.私達を差別するな.という感じのキーフレーズによる叫び.要は終始,”セックスワーカーを見下すな,差別するな”と言っていた.

●”青色”の私への視線・姿勢・態度
 好感を持つに至った根幹.
 赤い傘を持った方々は,群衆に交じって唐突な内容を掲げる私を目に留めると,興味を示してくださる方が多い.皆,”なんだ何だ?”という顔でパネルの文字を凝視して読む.そしてその後,”ああなるほど,そんな事もあったのか”という感じに,頷いたり,パネルを見ながら隣の人と話したりしてくれる.声をかけ,パネルの写真を撮ってくれた方も居た.
 現地で合流した友人と,少しばかり仕事がどうとか会話を交わした折に,こちらに話しかけて下さった方も居た(本業がユニオン関係だからだそうで).宣伝と言えば宣伝なのだろうが,私(と友人)の姿を見て関りをもって来てくれた事には違いない.
 正直,団体としての組織力をあまり感じなかった反面で,上述のように,個々の人々から唐突に表れた”青色”に対する興味・関心のある姿勢,周りを見ている視線が感じられた事から,好感を持つに至った.

紫(AV新法反対デモ)の方々について

●デモ進行:熟練した演説段取り,組織力,一方で主張・論点が定まっていない
 とてもスムーズに司会進行・演説段取りを進められており,演説に熟練した方々の仕事と言う印象.下手な有料講演会等のそれよりも上質なのではないかと思う.組織力は非常に高い.
 一方で,それは本題のAV新法と関係があるのか,ジェンダーが共通項として関わっているだけで,それは論点が違うのではないか?と,落ち着いて聞けば疑問が沸く演説が多い.正直最後には,結局何を言いたいの?となった.

●”青色”の私への視線・姿勢・態度
 
赤団体と対称的.
 私の掲げたパネルを見て,目を逸らす人,最初から目に留めて下さらない人が多い.何か気まずいのか?何か後ろめたいのか?それとも視覚ノイズでしかないのか?興味・関心を示して下さる方が非常に少ない.これは私に対してに限られたものでなく,赤カウンターデモに対しても言える事だと思う.赤のデモの方を積極的に見たり,聞きに行ったりする人が少なく,皆,自陣営のスピーチ台の方ばかり見ている.

 上で伏線を敷いていた事に気付いて頂けただろうか?
 参加者の向き,布陣体制だ.赤の人々が皆自陣営の話者の方は向かず,皆が対峙した相手の方を向いていたのに対し,紫の団体はスピーチスペースと”観客”スペースで向かい合い,”相手”を見る体制となっていない
 ここからは推測・想像なのだが,赤の人々は,それが対抗心であれ怒りであれ,自分を伝えるために”相手・通りすがる誰かの方を,見て・向きながら”叫んでいて,一方で紫の人々は,”相手・他者”は見ておらず,”自分達”を見ていたのではないか?唐突に表れた”青色”への視線の違いもその違いが根にあるのではないか?

◆一部の人に対し声明を読んだ時と同じ憤りも
(注)ここからは,上記以上に主観,私の受取り方によるものを含みます.
 正直,無関心が感じられて残念に感じただけでなく,怒りを感じた場面もあった.紫の人々の中には腕に弁護士がどうとか(一部隠れて読み取りきれない)書かれた腕章をしている方が居たのだが,その方々の視線と挙動だ.明らかにこちらの存在,掲げているその文字に気付いている.しかし,高見の見物で下らないものを見たかような視線を過ぎ去らしてゆく.
 どういう意識でこちらを見ているのだろう.少なくとも,他の一般参加者のような気まずさ,避けようという感じではない.かといって,赤の人々のような興味を示すようなものでもない.何かこう,全く別世界から見下されたかのような感じだった.
 ”踏み躙られた人を護る”のが弁護士ではないのか?政治活動を通して実績を積みたいだけで,踏みつけにされる者のことなどは本当はどうでも良いのか?と感じ,怒りが沸いた.
 現地合流して一緒に居た,同じ当事者の友人も同様に感じたと言っていたので,完全に私個人が歪んだ受け取りをした訳では無さそうである.

メディアの報道について

 事後の各報道を見ても解るだろうが,メディアは殆ど紫しか報じていない.(”青”はおろか)赤の団体のカウンターでもなど存在していなかったかのよう.赤の団体の写真を探そうとしても殆ど出てこない.
 実際現場でもその通りの状況で,報道者は紫の側にばかり居るし,カメラもそちらにばかり向けていた.”報道管制”でも敷かれたのではないかと思ってしまう程であった.
 裏の事情は何を言っても推測でしかないが,もし,デモ団体が複数の報道各社に直接的影響を与え動かしているような状態があるのだとすれば,上に書いた文字通り”報道管制”が成り立っている訳で,非常に恐ろしい事だと思う.

最後に

 色々と感想を述べたが,感想の冒頭で述べた通り,行き,参入した価値は大いに有った.特に赤と紫の,参加者個々人の挙動を通して感じた違いと言うのは恐らく現場でそこの人々を見なければ決して得られなかったものだと思う.
 この新法自体,そしてそれを巡る論争に対して,各々どう考えるかは自由です.
 ただただ,この機に知っておいては欲しい.反対を掲げる団体が出した声明を.そして,(立場は違うが)反対団体(紫)に抗って声を上げていた者が同じ場に居た事を.

以上

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